第3話 美しく見えた貴女
あの子はいつも綺麗だった。
私の周りにはいつもいろんな人がいた。
多分幼稚園にいた時にはいろんな子たちと遊んでたと思う。
周りには色んな人がいっぱい居たけど、そんな輪の外で、子供ながらそこそこ大きな体格で凛とした表情で黒髪をなびかせる、まるで夜空に浮かぶ月のように美しいその姿をひと目見たときに私は少し惹かれていた。
小学校に上がるとその子と同じクラスになることができた。
名前を聞くと
それから私は仲良くなりたくて話しかけた。何かあるたびに彼女の近くにいるようになった。
れいちゃんも段々と打ち解けてくれて他の子とも少しずつ話すようになった。
これからもずっと一緒にいる。
と思っていた...。
小学六年の夏休み、最後の夏休みだからと、れいちゃんたちとたくさん遊んでダラダラする日々を過ごしていたある日。
突然親から東京に引っ越すと言われた。
私は当然猛反対した。お世辞にも発展しているとは言えない街だけど、この街には魅力に溢れた自然がたくさんあった。
何より、れいちゃんや他の友達と離れ離れになるのがたまらなく嫌だった。
それでもお仕事だからと強引に引っ越すことになった。
それからしばらくはうまく笑えなかった気がする。
れいちゃんたちになんて言おうか、どうやって言おうか。そう考えると、この街での思い出が溢れて寂しくなって、泣いてしまう。
結局、話す勇気を持てたのは残暑が過ぎてすっかり秋の色が見え始めた頃だった。
まずは一番のともだちのれいちゃんに。
「わたしね、来年の春に東京に引っ越すんだ。」
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