怪力少女と非人間
みぃあ
第1話
ヘルブラウ王国 ヘルブラウ城下町――
の、少し外れた森の方。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「おーい、セイラーー!起きてーーー!」
「んー....わかった....」
気持ちよく寝ていたところに、でかい声が聞こえてくる。
まだ寝ていたいが、そんなことをしたらまた殴られて死んでしまう。すぐに起き上がり、着替えをする。服は紫のシャツに、黒いズボンだ。
髪を適当に結び、急ぎ足で階段を降りる。
「あ、おはよ。もうご飯の準備できるから。」
「ん。」
こいつの名前はアンジュ。一緒に暮らしている女だ。年は俺の2個下で、19歳。
朝飯はいつもアンジュが作ってくれる。
「よし、食べるか。」
「「いただきます」」
飯を食べて、片付けを終わらせる。この後やることが一番時間がかかるので、どんどん終わらせなければいけない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ドレッサーの前に座り、アンジュに
ゴムを取って、丁寧に髪を梳いてもらう。
なんで時間がかかるかというと、俺の髪が長いからだ。降ろしたら太もものあたりまである。しかも毛量もまぁまぁある。
別に適当にやればすぐ終わるのに、アンジュが
「せっかく綺麗でつやつやの髪なんだもん。ずっとこれを維持しときたいの!
でもあんたに任せると適当にやりそうだから私がやってあげてるの。あと長いから一人でやるの大変でしょ?」
といって、毎朝時間をかけて髪の手入れをするのだ。髪を梳くのも時間をかけるし、ヘアオイルとかもつける。
まぁ髪は長いしやってもらうほうが楽なんだけど。
「今日はポニテにするね。セイラ、そこのシュシュ取って」
「ほい」
「ありがと」
「今日は」と言っている所から察しの人も居るだろうが、そう。その日のアンジュの気分によって髪型が変わる。
基本はポニテだが、ツインテやハーフアップ、三つ編みなど。他にも様々な髪型にさせられる。
別にそれに関しては何も不満は無い。むしろやってもらってるから文句を言う立場では無いだろう。
「ほら、出来たよ。ピンもつけたから。もしも無くしたらこれつけて」
「無駄に準備が良いな。別に無くても良いじゃねぇか」
「良くないの。あんたにはわからないでしょうけどね。
まぁいいから、もう店開けるよ。準備して」
「はいはい」
玄関とテーブル周りを軽くほうきで掃き、ドアの「Closed」」の看板を「Open」に変える。
ドアの横には「何でも屋」と書いてある看板がある。
そう。俺はアンジュと何でも屋をやっている。日銭を稼ぐために店を開いた。
何でも屋が一番楽だしな。
「セイラは店の中に居て。私は外で花に水やったりしてるから。」
「りょーかい」
こうやって、俺の一日は始まる。
あと、もう一つ。本当によく言われるんだが、
俺は正真正銘男だ。髪は長いけど。
なら切れって話だが、めんどくさいから切ってない。
怪力少女と非人間 みぃあ @milan_wndhi
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