完結企画 親愛なる者(キャラ)たちへ (ネタバレなし)
親愛なる者1 マシロ × 天音朝陽
王都。
聖堂騎士団の室内教練所。
私(作者・天音朝陽)はこの国の文官の身なりで歩をすすめた。
白を基調とし青の刺繍で飾られた法衣をまとった麗人がいた。大司教マシロ・レグナードの隣にゆく。
彼女は聖堂騎士団の訓練を視察中であった。
側近が三人ほどついているが、マシロが手で合図をおくり、側近たちには外してもらうように距離を置かせる。
「マシロ・レグナード大司教。訓練の視察か、忙しいね。大司教ともなると一人の時間もとれないのではないか?」
「そうでもありませんよ。まあ、以前より誰といようが、私は孤独で一人でいるようなものでしたけど」
私はやれやれと言う感じで、肩をすくめ両手のひらを大げさに彼女に見せた。
「相変わらず、嘘が下手な人だな。マシロ、今の貴女は孤独ではないはずだし、秘書官だっていただろう?」
「・・・そうでしたね、あなたには全てお見通しなのでしたね」
マシロは動じることなく、訓練に打ち込む騎士たちを見ている。
私と話をしながらも、マシロは騎士団の訓練に厳しい指示を出し続けた。
苛烈である。
このような彼女の姿勢を、私はずっと好きだった。
マシロは騎士団の訓練に激をとばしながらも、私の対応も忘れない。
「ところで、あなたが完結後に最初に話をしたかったのが私だとは意外でした。どこかで一番好きなキャラはベイガンだって言ってたみたいですが?」
「ベイガンは、好きというよりは気になる存在だってことだよ。作中で一番好きなキャラは貴女だよ」
そういう私に対し、マシロの眼はすこし厳しいものに変わった。
「それにしては私を滅茶苦茶な目に合わせてくれましたね。他の登場人物に対し、とんでもないことばかりしては、全部きっちりヤリ返されてるし・・・、自分でもあきれ果てるしかないわよ」
「ま、まあそこは悪いなあと思っている。ただ、マシロ・レグナード、貴女の生き方や境遇に共感をもってくれる誰かは絶対にいたと思うよ」
(遠い・・・貴女が知らない世界で絶対にいたはずだ)
しかし、その言葉を私はださなかった。
「・・・そんな人が、いてくれたら嬉しいな」
一瞬だけマシロの表情が優しいものにかわるが、すぐに引き締まった元の顔つきにもどる。
「まだまだ、この国には貴女の力が必要なみたいだな」
「ええ、隣国との戦争は泥沼ですし、まだまだ腐敗した役人たちがのさばっています。王子たちの跡目争いなど・・・、気の休まる暇がないわ。今も週イチで私に刺客が送り込まれてきますもの」
権力の中枢をとったとはいえ、まだまだマシロのなすべきことは沢山あるのだ。
「マシロ、傭兵ミハエルを護衛で雇えばいいじゃないか」
私は少し意地悪な質問をしてみる。
「そうですね、少し前まではそんなことも考えたりもしたけど」
「考えたりしたけど?」
「私が、どうしようもなくなった時。手を尽くして、全力で手を尽くして、どうしようもなくなった時、『その時だけ』彼は必ず助けに来てくれる・・・そんな確信があるの」
調子に乗って馬鹿なことを聞いてしまった。
最初にマシロ・レグナードを見た時とは確実に彼女は変わっていた。
騎士団の訓練に指示をだす彼女の側を、気づかれないようにそっと離れた。
私が彼女に抱く感情は深く複雑なもので、女友達、恋人、姉妹、娘、などに抱くような感情ではない。また、親友や戦友に抱くようなものでもない。
今の日本語に私の感情をあらわせる言葉を知らないし、どう表現していいかわからない。
それを表現できる創作者になりたいと、マシロを想いながら静かに誓った。
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マシロのイメージイラストをAIに描いてもらいました。
近況ノートに貼っております。以下はリンク先
https://kakuyomu.jp/users/jinsord/news/16817330666291540431
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作者の地味なお願い。
ここまで読んでいただいた方は、少なくともこの作品をある程度は読んでいただいたものと推測します、ありがとうございます。
貴方は作中キャラ「レヴァント」と「マシロ」どちらが好きですか?また「ミハエル」と「トロティ」ではどちらがお好きでしょうか?
そのあたりのご意見を伺って今後の作品作りに生かしたいと思いますので、コメントか近況ノートにて教えていただければ本当に感謝する次第です。
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