川崎蝉閑

ガチャ

ドアが開く音がする

そこには中年の男が立っている

「…」

全てを悟ってしまった

薄暗い廊下をその男と歩く

腕を掴まれる

私は緊張しているはずなのに

呑気だ

感情が入り交じりその中で

私は溺れている

私自身初めての経験…

否、初めてじゃないと辻褄が合わないか

部屋に通される

そこには坊さんが一人、椅子に座っている

私が座る椅子もあった

そこに座る

「…」

数分間、坊さんと話した後

私の腕を掴んだ中年の男がカーテンを開ける

そこには白髭を生やしたお爺さんが一人

その爺さんを取り囲むように男が数人

立っている

「…」

爺さんが言った

本当になってしまうのかと

私の中でもやっと後悔という感情が芽生えた

そして、男たちに取り囲まれ

両手を拘束

両足を拘束

目隠しを付けて

前に歩く

首にやや硬い何かが渦巻く

「…!」

ガタンッ

と音がして

私は終了した

全うした

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川崎蝉閑 @kawasemi_desu

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