第17話 食べ物の恨みを思い知れ!!


「あきまへん! そんな危ないコトしたらあきまへん! これ以上続けたら、実力行使どすえ!」



 オカンが魔王への攻撃を阻止しようと、立ちはだかった。そこをどけ! 絶好のチャンスを逃すわけにはいかんのやー!



「ほれ、タニちゃん! この竹輪あげるさかい、ミヤコを懲らしめるのを手伝うんどすえ! アンタ、竹輪好きやろ?」


「ああ~!! ち、ちくわぁ!!! 喉から手が出そうなほど、欲しいでヤンスぅ!!」



 自分で攻撃してくると思うたら……タニシを買収しようとしてきた! なんでや、竹輪なんてモン、なんで持ってるんや? いや、逆に「竹輪しか持ってねえ!」からなのか? そんなんどうでもええわ! こんな非常事態にウチは何を考えてんねん!



「オカンの誘惑に負けるな! ウチに付いてくれたら、チュルチュルを一ヶ月分贈呈したるで!」


「く、くはぁ!! 一ヶ月分は魅力的でヤンスぅ!! もう、どうしたらいいかわからなくなってきたでヤンスぅ!!」



 タニシは前足で頭を抱えて、床をゴロゴロ転がり回って悶絶している。……もうなんか人間になってない? 中身開けたら、ちっちゃいオッサン入っとんのちゃうか?



「タニちゃんを骨抜きにするやなんて、アンタは魔性の女か! 卑怯にも程があるどすえ!」



 こんなんで魔性の女とか言われても……。いや、なんか一回は言われてみたい気もするけど、今はそんなことしとるわけにはイカン! 一か八か、オカンも消毒してみたろ!

(※せやかて、良い子はぜえったい、真似したらあきまへんでぇ! ワイとの約束やぁ!)



(ぷしゅ、ぷしゅ、ぷしゅ!)


「いんがすん、がすんっ!!!」



 ワケのワカランことを口走った直後、オカンはぶっ倒れた。オカンにも通用するとは……。というより、魔王の魔力に作用したのか? まあええけど、魔除けの効果はあるらしいな。某ホラゲー開発者が悪霊を消臭スプレーで撃退した話って、ホンマのことやったんや! (※マジで実話です)



「くっ、おのれ! この世界に魔除けのアイテムが存在していたとは、迂闊だった! 許さんぞ、我自らが貴様に引導を渡してくれるわ!」



 魔王は何やら力を溜め始めた。手の平に真っ黒な塊が出現し、だんだん大きくなっていく! アカン、何とかせなっ! こうなったら……最後の手段や!



「せいっ!!」


(バシャァァァッ!!)



 スプレーの蓋を開けて、中身を全部ぶちまけてやった!

(※誤った使い方です。キチンと用法を守ってお使いください)



「ぎょにゃあああああああっ!!!!!!!」



 謎の黒い塊は消滅し、魔王の体は見る見るうちに縮んでいった。なんか、ナメクジみたいやな。まあ、でも似たようなモンなんやろ。



「さあて、お仕置きの時間だ!」



 バン、と魔王の目前に立ちはだかった。年貢の納め時だ。キッチリお返ししてやろう。シュークリームとか、アイスとか、シュークリームとか、アイスとか取られた恨みを思い知れ!



「ま、待て! 話せばわかる! 話せばわかる話だ。……そうだ! 貴様に我が領地の半分をくれてやろう。それで示談としようではないか!」


「てめえはウチを怒らせた! それがてめえの敗因だ!」



 人差し指を突きつけ、死刑宣告をした。あとはもう、やることは決まっている!



「もしかして、オラオラでヤンスかぁ!」



 その通り! 魔王が倒れるまで殴るのをやめないっ! ……なんで、タニシがそんな事知っとんのやろ? やっぱ、中にオッサンが入っているのでは……。



「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」


「へぶっ、ほふっ、へいふぅ、ぱいふぅ、ぱいろん、へいろん、ほぁんろんっ!!!!!!」



 ゴミはしっかりゴミ箱に捨てよう。燃えるゴミの日って、いつやったっけ?

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