第10話 刺激的かつ……!!
「あー、なんかもう、せいせいしたわ!」
魔王を名乗る変態を撃退した満足感はハンパなかった。なんというか例えると、激ムズ超難関ゲーをノーミスでクリアしたみたいな?感じちゃうかな。隠しボスを致命攻撃で瞬殺したような達成感を感じる。なんかもう、最高や!
「あれはさすがに命に別状があるレベルだったんじゃないかな?……一回、見に行こうよ。もし、お亡くなりになってたら、後味が悪いよ……。」
つぐみんは心配そうに何度も後ろを振り返っている。それでも、ウチはつぐみんの手を引き素知らぬ顔で下校する選択を選んだのだ。変態の相手などしてやる義務など一ミリもないのだっ!
「かまへん、かまへん!ほっといたらええねん!あんなん、相手にしてたら、一瞬で日が暮れてまうで?」
「ええ~?でも、かわいそうだよ。」
「ええねんて!はよ帰ろ!」
足早に通学路を駆け抜けようとしたら、謎の黒い影がウチらの行く手を阻んだ。まさか、生きていたというのかっ!
「ふははは!我に恐れを成して逃亡を図るとは、臆病者めが!」
来やがった!リカバリー速っ!くそう、今度こそ息の根を止めたと思ったのに!ゴキブリ並み生命力だ、コイツは!……とはいえ、また体が縮んでいる。空腹だけじゃなくて、ダメージを与えても縮むんだろうか?
「誰が臆病者やねん!変態から逃げる事の何が悪いっちゅうんや!」
「つまらぬ言い訳はよせ。貴様、我に対する恐怖で震えが止まらぬであろう?」
「ちゃうわ!これは怒りで震えが止まらんのや!」
「もう、やめようよ、ミヤちゃん。仲直りして。さっきの事、ゴメンナサイしなきゃだめだよ。」
「あやまりません!消すまでは!」
つぐみんが間に入り、魔王を庇うような位置取りになったため、事態は膠着状態に陥った。これでは下手に手を出せないではないか!いわば、三すくみの様な状態になったのである。
「今度は我の番だ。先程の例はタップリさせてもら……?」
「もら……?」
魔王の動きが突然止まった。何か匂いを嗅いでいる。鼻だけがピクピク動いている。ウチは即座に周囲を見渡した。匂いの発生源はどこだ?
「何だ?この刺激的且つ、官能的な食欲を刺激する悪魔的な香りはっ!」
ウチは匂いの発生源を特定した!アレやっ!“カレーのキングダム”や!確かに悪魔的でクセになる味やけども!しかも、「刺激的かつ」とかうまいこと言いやがって!なんも知らんクセに看板メニューが“HIGH・カツカレー”だと何故わかったんや!(※ただの偶然です)
「あれはカレーの匂いです、魔王陛下。アレを匂いだけで嗅ぎつけるなんてお目が高い!さすが魔王陛下!」
なんかつぐみんがヘンなこと言い出した。つぐみんにキンカレ(※カレーのキングダムの愛称)なんてキャラに合わへん。ジャンクフードに近寄らせてたまるか。
「ツグミよ、ときにカレーとはなんぞや?」
「カレーは世界一おいしい食べ物ですよ!しかもあの店ではお肉の揚げ物がトッピングされているので、反則級の食べ物へ進化させているんです!」
アカン、もう魔王に毒されてるんかもしれへん。つーか、つぐみん、なんであの店の事に詳しいの?キャラに合わないよ。つぐみんみたいな娘はシャレオツなかふぇでランチしてるのがお似合いなんや。キャラ崩壊、ダメ絶対!ウチがあんな店に入らせへんから!
「フム、そそるなソレは!是非とも食してみたいものだ。」
「じゃ、じゃあ、ミヤちゃんがオイタをしたお詫びに私が御馳走します!」
「フム、良い心がけだ!我はくるしゅうない、良きに計らえ!」
「ちょ、待てよ!」
ついつい、某イケメンタレントの名言を口走ってしまった!ウチの行動の結果がこんなことに発展してしまうやなんて。誰がこんなん予想できんねん!クソゲーにもほどがあるわぁ!
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