のんびりと
「いやぁ、かなり補給できたわね」
「ん。流石は基地」
自衛隊基地跡と思われる場所から離れ、キャンピングカーで進むこと数日。現状かなり安定している状態となった。
いや、安定自体は以前からしていたのだけども……安定していたものが更に安定した……と言っては分かりにくいわね。ともかく、当分は大丈夫そうという話である。
「まあ、あり過ぎて全部は流石に回収できなかったけど」
「それは仕方ない」
全部積めと言われたらトラックでもなければ流石に無理だ。比較的大型のキャンピングカーとはいえ、生活スペースもある訳で全てに荷物を載せられる訳ではないのだ。
さて、話を戻すけれども……今回の収穫は食糧や一部の生活用品、浄水器以外にもう1つ。
そう武器である。今まではあまり必要性を感じていなかったけれど、よくよく考えたら人は居ないけど動物やら何やらは居る訳で猛獣とかがいたら対処ができないなと今更ながら思い至ったわね。
車は頑丈にできているけど、猛獣に攻撃されたら傷はつくだろうし……いや傷は自然とつくものなのであれなのだが、問題はその傷の規模というか大きさというかレベル? よね。
かすったくらいの傷とかならいいけれど、へこんだりとかしたら動かすのに支障が出るかもしれないし、下手をしたらエンジンを壊される恐れだってある。
……我ながらそういうこと全然気にしてなかったのはどうなのか。
まあ今までが平和だったから、と一言えば片付くけどこれから先は分からない。そういうことで取りあえず、武器を回収してもらった。私はそっち系は全くなのでルナにお任せである。
で、そんなルナが選定したのがハンドガン……拳銃と言ったほうが伝わりやすいかもしれない。それからアサルトライフル……自動小銃。この2種類をそれぞれ2丁ずつと、それらに対応した弾薬を回収した。
一番はこれらの出番がないことだけども。
「次はどこに行くだろうね」
「また町とか?」
「そうかもしれないわね」
世界が終わっても建物の跡は残っている。それだけで滅ぶ前は人が居たということを実感させられる。当分の補給は必要なさそうなので町についてもひとまずは通り過ぎるつもり。
いやこれ以上は流石に補給過多になるし、前にも言ったと思うけどキャンピングカーだって大きくても限度っていうものがある訳で。
「どこまで続いているかな」
「ん……」
かつて繫栄していた技術で作られた道路だけど、走っているのは私達の乗っているこのキャンピングカー一台のみ。
対向車も居なければ後続車も居ないし、先行車も居ない。
……所々に廃車と言っても間違いないくらい壊れかけている車が置いてあったり、壊れてはいないけど誰も乗っていない車があったり。
「ルナは、この旅が終わったらどうする?」
「え?」
「ほら結局私達って陸地を走っている訳じゃない?」
「ん」
「いずれは海にぶつかるはずだからその先をどうするのかなって」
「それは……」
地球は7割が水に覆われている。水が減ってないのであれば最終的に陸地は終わりを迎える。それは既に思っていたことというか考えていたことだけれど……その先はどうするのかは考えていないのよね。
「引き返してまた違う道を行くとか」
「ふふ。それもありね」
「ん……」
そういいながらルナの頭を撫でると、ルナは気持ち良さそうに目を細める。
身長とか同じくらいだからあれだけどね……まあでも嫌がっていないみたいだし、いいかしらね。
それはさておき。
日本という国の大きさは世界と比べると小さい部類に入る。だから思ったより早く海に出てしまう可能性もある訳ね。
まあ今や崩壊しているので国とか国土とかあまり意味をなさないのだけど。
栄えていたというか、滅ぶ前の時点での地図ならあるのでそれを見ればおおよその位置は分かるかもしれないけど、そもそも目印になるようなものがなくて地図も意味をなさないのよね。
「そういえばまだ大都市跡には行けてないわね」
「ん……それなりに大きそうな町はあったけど確かに」
今更だけどかつて日本だった国のランドマークに当たる東京タワーなどの有名な建築物の跡らしきものは見れてない気がする。
いや、普通に気付かないほど崩壊していて見過ごした……という可能性も無きにしも非ずだけど。
「東京タワーみたいなものが見つかれば地図が役に立ちそうだけどもね」
「ん」
とはいえ……結構地形が変化しているので何とも言えないところではあるのだけども。木が増えていたり、砂漠のようなものがあったりとか……本当に日本? と言いたくなるけど、ぶっちゃけどこの国かなんてわからないわね。
所々で見る看板に書かれたかすれた文字とかから察するに日本の可能性が一番高いのは確かだけど。
「ま、のんびり行きましょ」
「ん!」
そう。
別に急ぐ理由もないし、のんびりしながら進む。そして時々寄り道をして……私達は進むだけである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます