基地跡①


「ねえ、ルナ。これ何の施設だと思う?」

「ん……たぶん基地?」

「だよね」


 キャンピングカーで次にたどり着いたのは何かの施設跡だった。

 意外と壊れておらず、見た目だけを見れば今まで見てきたものの中では一番きれいな場所だった。出入り口と思しき場所の近くに瓦礫があるけど。


「自衛隊基地?」

「どうだろ?」


 見た感じではこの施設はかなり広いと思う。

 表面しか今は見れていないけど、何となく柵があった跡を見た感じではかなり敷地があると想像できる。中に入れば更に奥とかもあるだろうし……。


「行ってみる?」

「ん。何か補給できるかも」

「だね」


 もし基地跡であれば、結構いいものがあるのではないだろうか。レーションとかは物凄く長持ちするから確保しておきたい。自衛隊のレーションは美味しいものがあるしね。

 別の基地跡で偶然見つけたレーションを確保して試しに食べた時はそれなりに美味しかったと思う。あくまで自衛隊のだけど……海外のはわからない。


「食料以外にも色々と揃えられるかなあ」

「武器とか?」

「武器……いる?」

「護身用?」


 前に寄った基地跡には武器はなかったけどね。いや、あの時は詳しく調べる余裕はなかったからそれもあるだろうけど。


「今ならめっちゃ探せそう」


 余裕がかなりあるもの。

 これを機に色々と回収できそうなものは回収してもいいかもしれない。もちろん、キャンピングカーの積載量とかと相談だけど。浄水器とかないかな? もう1つくらいは欲しい。


「でもそうね……凶暴な動物とかに遭遇した時とかのことを考えて武器を回収するのもいいかも」


 今まで気にしてなかったけど、人は居ないだろうが動物はそこそこいるっぽいから中には凶暴なものもいるかもしれない。キャンピングカーを壊されてはたまったものではない。日本だから、という常識? 認識? それらに囚われていたのもあるか。


 危険な動物に対処するために武器を回収するのはアリね。とはいえ、ここまで来る間にそういった動物の類に襲われたことはないけども。

 でもよく考えたら本当にそうよね……完全にうっかりというか忘れていたわ。油断禁物……こんな世界になってしまったのだから何があってもおかしくない。何事も最低のほうを考えて準備するのが一番平和よ。


 ……流石に最低なパターンほうばっかりを考えすぎるというのもまた考えものだけれど。


「銃刀法違反……は別に関係ないな」

「ん。取り締まる人も居ない」


 それはルナの言う通り。

 とりあえずは何かあるか散策からかな。使えそうなものがあったら回収する候補として考えておくってことで。


 優先順位としてはレーション等の食料関係はまあ揺るぎないよね。今のところは困ってないけど水と同程度の私達の生命線である。

 燃料類や医療用品とかもあれば回収したいわね。自衛隊の基地であればそういったものがあってもおかしくはないだろうし。


 問題は何の基地かだよね。

 自衛隊と言っても海上自衛隊、航空自衛隊、陸上自衛隊と3つもある訳だ。まあ、海の音もしないし、近くに水がある気配もないので海上自衛隊の基地の可能性については除外かしらね。

 航空自衛隊であれば飛行機類のものがあるだろう。陸上自衛隊なら戦車関連? いや他にもあるだろうけど。ヘリコプターとかね。

 ヘリコプターって航空自衛隊じゃなくて陸上自衛隊なのよね。これは後から知ったことだけど、当初聞かされた時は驚いた記憶がある。


 どちらかと言えば陸上自衛隊の基地のほうが助かる気がするわね。どっちにしろ、レーション関係はあると思うけども。


「行こうか」

「うん」


 うん。とりあえず行かないとわからない。そんな訳で私とルナは建物中へと足を踏み入れるのだった。


 いざ、基地跡へ。

 ……まだ基地跡と決まった訳ではないけれど。





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