廃公園
「公園」
「公園だね」
キャンピングカーで旅する中、今回訪れた場所は公園だった。正確には公園で合った場所、というのが正しいかな。
でも遊具とかはそのまま残っている。まあ……鉄棒とか、鉄で出来たものは錆びてしまっているようだけど。
「結構広いね」
「うん」
そしてこの場所だけど、結構広め。それぞれの遊具が必ず2、3個くらい置いてあるし種類も豊富だった。
「あ、このブランコ……無事っぽいね」
「本当だ……」
そんな中、大半のものは錆びているのだけど今見つけたブランコは不思議と錆がなく、座る場所も特に傷んでいることはないブランコだった。
「よいしょ」
「……」
「ルナも座ったら? そっちのも無事っぽいし」
「ん……」
私がブランコの1つに腰を下ろし、ルナにも座るように促せばこくりと頷いて隣に座ってくれる。今私達が座っているブランコは2つあるタイプのものだ。
「久しぶりに乗った」
「ルナも? 私もだよ」
そう言って静かにブランコを漕ぎ始める。
キーコーキーコー、と金属の音が私達以外誰もいない公園に響く。本当にどれくらい振りだろうか? 本当に小さいころに乗ったくらいな気がする。
「なんか落ち着くねぇ」
「ん」
夕陽を見ながらそんなことを呟く。
そう。この公園にたどり着いたのは夕方になりかけた頃であり、今まさに日が沈もうとしているのだ。このままブランコに乗りながら夜を待つのもいいかもしれない。
とはいえ、流石にそこそろ夜は冷えてきているので無理はできないけど。薬だって有限だし、何なら使用期限がある訳だ。
風邪とか引いたら元も子もないわね。インフルエンザとかだと更にまずいわね。
今はまだ大丈夫だけれど、それでもあまり薬に依存するのはよくないだろう。全ての薬の使用期限が切れればもう使うことが出来なくなるのだから。
「今日はどうするの?」
「うーん。まあ、もう日が沈みかけているから今日はここで休もうかな」
「ん。了解」
好き好んで夜に運転したいとは思わない。
町とかであれば、辛うじて街灯が生きている時があるからまだましだけど、普通に道路を走る時は真っ暗である。道路にある街灯も付いているものもあるけど数は多くない。壊れているものもあるしね。
「この公園の街灯は生きているねぇ」
「ん、そうだね」
私達はブランコに乗りながら話す。
公園を見渡すと、公園内にある街灯のほとんどが点灯している。まだ太陽ががあるからわからないけど、夜になってもそれなりに明るそうだ。
まあ……相変わらず人っ子一人いないけどね。
「お? あれは……」
「どうかした?」
そんなこんなブランコを漕いでいると珍しいものを見つけた。それを見た私はブランコを少しだけ強く漕ぐ。ブランコが大きく動き、そのまま前に行ったところで手を放し、ブランコからジャンプして着地する。
「よっと」
「危ない」
「大丈夫大丈夫」
そんなやわじゃないし。
着地した後は、ルナにちょっと咎められたけどそこは軽く流し、気になった場所へと足を運ぶ。それに倣ってルナも私の後をついてくる。
「懐かしいなあ。まだあったんだこれ」
「ん。これ?」
そう。公園で見つけた珍しい遊具……それはずばりターザンロープだ。他にもロープウェイだとか、ジップラインだとか呼び名があるけれど。
「そう。ターザンロープ。ロープウェイやジップラインとも呼ばれてたけど……」
これも子供の頃、よく遊んだ気がする。
「年々と言うべきか……うーん。取り合ず、段々と無くなってきちゃったのよね」
このターザンロープ……段々と公園とかでは見なくなってきてしまって遊具でもある。学校とかにもあったけどいつの間にか撤去されていることも少なくない。
理由は様々だけど……まあ、一番は危険だからなんだろうね。ロープから手を離したり、落ちて大怪我を負った事故もあったし……ターザンロープの可動範囲内に人が入ってきてぶつかったりとか。
後者のはそこまでないだろうけど、落ちたりすればそりゃ大怪我を負うし、当たり所が悪ければ死んでしまう可能性もある。
事故がそこそこあったからか徐々に減ってきちゃったのよね。
「でもこれは流石に遊べないわね」
「ん。あっちこっちボロボロ。いつ壊れてもおかしくない」
流石にターザンロープは遊べなさそうだ。ルナの言う通りボロボロでいつ壊れもおかしくない状態だ。流石に怪我なんてしたくないわね。
「もう少しだけ公園見て回ろっか」
「ん」
そんなこんなで私達はこの後もしばらくの間公園を散策するのだった。
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