スコール?
ザァーザァーと大きな音を立てながら水が降り注ぐ。
そう、雨だ。でも普通の雨ではなく、あなりの豪雨とでも言うべきか……或いは海外でよくあるスコールとでも言ったほうがわかりやすいだろうか。
「凄い雨だね」
「うん……梅雨? の雨より酷い」
「あの時の雨はここまで酷くなかったからね。今のはなんというかスコール?」
「ん。でもスコールは厳密にいえば雨じゃなくて風のことを指すらしいけど」
「へぇ……」
なるほどね。
こういうのを聞くと調べたくなる衝動に駆られるけど、知っての通り既にこの世界は崩壊しているのでインターネットなんてものは繋がることはない。スマホの電波マークも圏外だしね。
話を戻そう。
今、私達は道路の途中にキャンピングカーを止めて後ろの居住スペースでのんびりしている。理由はまあ、この雨よね。
普通の雨ならいいのだけど、この雨はやばい。かなり強い雨で大粒。そして窓から見える外の景色を見れば木が結構揺れている。
台風のような状態なので流石にこの状態で進むのは危険と判断し、この雨が収まるのを待つということになったのだ。
「これはしばらく止みそうにないなあ」
「うん。スコールとかの類であれば短時間で止むと思うけど……どうだろ」
外に出るのも少々危険だし、しばらくはキャンピングカーの中かな。マイクロバスが元になっているからスペースも広いし、色々家具と積むこともできた訳で。
「それにしても本当に家みたいに過ごせるよねここ」
「ふふふ。マイクロとはいえ、バスをベースにしているし」
「そういえば以前聞いた時も言ってたね」
「そうね」
結構今更ながらこのキャンピングカーが大きいなという質問を前にルナにされたことがある。
その時にも簡単に説明したけれど、マイクロバスというバスを改造してキャンピングカーにしているのもあってかなり広いのだ。大型バスを使ったキャンピングカーには流石に劣るけど、それでも2人であればかなり十分なスペースがある。
大体、大型バスを改造したキャンピングカーとか日本で走らせてもねえ……アメリカとか海外であれば結構使う人居るかもしれないけれど。
それはさておき、そんなマイクロバスを改造して作ったキャンピングカー。客席は全部取っ払っており、その空いたスペースを居住スペースに大改造したのである。
必要そうなものは一通り積んであり、電気関係も発電機等も搭載させた、結構完ぺきに近いキャンピングカーが完成した訳だ。
とはいえ、一緒に乗るような人も居なかったし、1人で使っていたのだけどね。そこボッチとか言うな。
でも急に世界が終わったのは何と言っていいのかわからない。ここまでの道中でも何度も見てきているけど、建築物などはほぼ崩壊しているものや寸前のものがほとんどを占めている。
でも私の家は特に何もなかったのよねえ。そのままきれいに残っていたし。家族はどうだったのかって? そこは察してほしいわね。
「でも何もあることがないとそれはそれで暇よねえ」
「ん……する?」
「……まだ昼間よ」
曇っているので薄暗いけど、暗いとまでは行かないのでまだ昼間だということは外を見ただけでわかる。
はいそこ、変な目で見ない。別に四六時中致している訳でないのよ。毎日のようにやったら互いに身体がもたないし……。
いやまあ……ほぼ毎日朝にキスすることはあるけど。
「それならキスする?」
「言ったわね」
「んむ!?」
ついついそんなこと言うものだからルナに近づきそのまま口を塞いであげる。両手をルナの身体の後ろに回し逃げられないようにした上で舌を入れる。
「ん……む」
そんなルナは特に嫌がる素振りも見せず、むしろルナのほうも同じことをし返してきているため、そのまましばらく続けるのであった。
==あとがき==
お読みいただきありがとうございます。
こちらで伝えるのを忘れていましたが、もう片方、ノベプラに投稿している方にはAIによるイメージイラストがあります。
見たくないという方はこのままで大丈夫ですが、見たい方がいらっしゃれば、ちらっとだけ見ていただけるとイメージが付くかなと思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます