翌朝


「……朝、か」


 目を覚ます。

 外から入ってくる太陽の光で夜が明けて朝になったことに気づく。スマホの時計を見ると7時30分、と表示されていた。


「なんか寒い……って、あ!?」


 あわてて自分の身体を見る。

 いつもであればパジャマというか寝るときに着る服を着ていたのに対し、今は何も纏っていない……要するに裸であった。生まれたままの姿である。


「ルナ……」


 そこで昨夜のことを夜を思い出し、横を見れば私と同じように何も纏っていない姿のルナがすやすやと寝ていた。


「あーうん。一線超えちゃったかー」


 はっきり記憶が蘇ってくる。夜に性欲というか、人間の三大欲求の話をしたときに性欲の話になってそのままなぜか告白し合うという……そして一緒に寝て。


「……意外とルナ、激しかったのよね」


 恥ずかし。

 でも嫌な気持ではなかった。ルナも私のことを好きだった。これはつまり両想いという訳だ。だからこそお互いにキスをしたことも、そのキスが普通のとは違う深いやつだったというのも思い出してくる。


「……とりあえず。シャワー浴びて着替えよう」


 今回はさすがにシャワー浴びたほうがいいと判断。今でも若干、そのなんというか……まあ、致した? 跡? みたいなのが漂ってるし。


「ルナ起きて」

「……ん」


 軽くルナの身体をゆすりながら声をかける。


「……すふぃあ?」

「はい。愛しのスフィアさんですよ」

「!」


 実際そういうことをしたのだからこの言い方も間違ってはいないだろう。


「す、スフィア……その」

「まずはシャワーね。シャワー浴びてから着替えよう」

「ん……」




◇◇◇




「ん」

「ん」


 シャワーを浴びて着替えた後、キャンピングカー内にある座れるスペース(運転席や助手席ではない)で座る。


「その、ごめん」

「いや、謝らなくて大丈夫よ。それにもう私達お互い両思いだと知った訳だし」

「うん……好き」

「うんうん。私も好きよ」


 そう言って簡単なキスをする。ルナも特に嫌がることなく、私のキスを受け入れてくれるので遠慮なく。とはいえ、昨日の夜のようなディープなのはやらないけど。


「ま、これで晴れて付き合う? ことになった訳だけど」

「ん」

「私達の目的はこの世界を旅することだし、別に変わらないわよね」

「うん」


 そう。関係が変わったとて、目的は変わらない。

 というより、今以上にルナと触れ合うことができるのだから良いことだと思う。とりあえず、目的に変わりはないからこのままキャンピングカーが進むのみだ。


「何か補給すべきものってあったっけ?」

「うーん。ちょっと待ってて」

「あ、私も行くわよ」

「ん」


 水はつい最近補充したし、食料も割と最近だし、軽油やガソリンも同じである。そんなすぐに減るようなものではない。なので補給は必要ないかな? とは思うけど、町に来た時には必ず手持ちの道具とかを見ている。

 ここを逃したら次補給できる場所がないかもしれない、という気持ちで居るので必要そうなものは限度を考えつつ回収するつもりだ。


「特にないわね……」

「ん」


 結局、手持ちを確認した感じではほきゅする必要があるものはなかった。このまま町を通り過ぎるべきか。


「強いて言うなら薬関係?」

「うん。使用期限が近いものもあるからそれを入れ替えるか入れ替えないかくらい?」

「あー……そうだよねぇ。薬も長持ちするとはいえ使用期限があるものね」

「ん」


 少し前にも触れた気はするけど薬も無限に使える訳ではない。使用期限が設定されているのでその期限を過ぎた薬を扱うのは危険である。1,2日程度なら問題ないかもしれないけど。

 包帯やガーゼといったものに関してはちゃんと管理しておけば特に期限はないけど薬品類はどうしても使用期限がある。


 昔の薬は大体2~3年程度だったみたいだけど最近のものは5年~7年くらい持つものも出ているし、更に言うと10年持つものもある。

 とはいえ、結局は期限がある。一番なのは薬を使うことが起きないこと、なんだけどこればっかりは難しい。


「一番期限が近いものはこっちにまとめてある。大体あと半年くらいかな」

「半年かあ」

「うん」


 ルナが優秀すぎる。ちゃんと期限ごとにわかりやすく置いてくれているし並び替えもしてくれているので本当に助かるわね。


「ルナとしてはどう思う?」

「追加で期限が長いものをある程度回収するほうがいいかも」

「まだ期限があるものね。追加で補充するか」


 この町に使えるものがあれば、だけどね。




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