2人の××


※百合注意





 橋を越え、再び陸? に戻ってきた私達はそのまま車を走らせ、とある場所にたどり着いた。見慣れた景色ではあるけど、ね。


「廃墟」

「ん」


 廃墟、というより崩壊した町? いやどっちも同じか。

 こうした町の跡は道中に何度も見てきた。無事な建物もあれば、跡形もなく崩壊しているものもあれば一部が瓦礫と化した建物もあった。


「所々街灯が付いてるねえ」

「うん。他の町と同じ」


 ここまで来る間にあった町も一部の街灯が灯っていたのもあって、真っ暗という感じではなかったのよね。まあ、街灯がなくても月の光とかが割と明るいけど。


「もう日が暮れるし今日はここで休みましょうか」

「ん、賛成」


 外を見れば太陽が沈みかけている夕暮れ時。

 一応車にもライトはあるけど夜にわざわざ進める理由はないし、これは食べ物と同じになるが睡眠も私達には必要だ。


 人間の三大欲求にもあるしね。えっと確か、食欲、性欲、睡眠欲だったかな? 要するに食欲……に並ぶくらい大事なものなのだ。


 食欲も睡眠欲も普通にあるし……真ん中の性欲についてはどうだろ? 私もルナも全然そんなのない気がしないでもないけど、少なくとも私はそこまで強くはないかな。崩壊前も同じだ。というより、崩壊前”と”同じというべきか。


「……ルナは」

「?」

「性欲って強いほう?」

「っっ!?」


 何気なく聞いた瞬間、ルナの顔が真っ赤に染まり湯気というか煙が出ているように見えた。でもって、私のことを両手でポコポコ叩いてくる。


「痛い、痛い、痛いよルナ……」


 まあ、実際はそこまでではないのだけど。


「な、なんてことを聞いてくるの……」

「ごめんごめん。ほら、人間の三大欲求にあるじゃない? 食欲・性欲・睡眠欲って」

「それは……そうだけど」


 未だに顔が赤い。突然聞くものではなかったわね……。


「そ、そういうスフィアは?」

「私? 私は別にそこまで強くないかな。あ、でも」

「でも……?」

「ルナとならしてもいいかなと」

「!!!?」


 あ、やば。

 何を先走ったのか、私は目の前にいるルナにとんでもないことをぶちまけてしまった。既に口に出してしまっており、ルナにも聞こえているだろうからあわてて口を塞いだところで手遅れだった。

 あーこれはルナに幻滅されたかなー? 嫌われたかもしれない。こんなこと言えばそうなるよね……。


「る、ルナ今のは……「いいよ」え?」


 今なんて言った?


「ルナ?」

「……いいよ。スフィアとなら……わたしも」


 顔を赤くしながらこちらを見るルナ。目もどこか潤んでおり、なんというか……えろい。いや、なんていうのかな? 色気がね?


「る、ルナ……正気?」

「ん。正気。わたし、スフィアのこと前から好きだったから」

「っ!?」


 今度は私が驚く番だった。

 嘘……ではなさそうだ。ルナを見れば一目でわかる。つまり、これはルナの本心であるということ。それはつまり……?


「好きってその……そっちの意味で?」

「ん……likeじゃなくてloveのほう」

「!」


 赤いまま照れ臭そうに言うルナはとても可愛かった。


「スフィアは……どうなの? わたしのこと好き?」


 なんだなんだ……ルナがやけにぐいぐい来るな……いや、原因は私にあるのだろうけど。でも本当に……?


「もちろん」

「それはどっちの好き?」


 ……likeのほう、と言いたかったがそれは違うと私自身が否定する。

 ルナの顔を改めてみる。赤いし若干潤んでいるものの、その目は真剣そのものだ。ここで変に冗談とかを言える訳がない。


 いや……本当は気づいていたけど。

 気づいていたけど……そこには触れないでいた。同性だから? いやそれもあるんだと思うけど……やっぱりこっちが好きでも相手が好きじゃないっていうこともあるから。その場合は関係は壊れてしまうだろうし、それが怖かったのかも。


「好き」

「ん」

「私もルナのことが好き。もちろんloveのほうで」

「!」


 言った。言ってしまった。

 それはいつからかはわからないけど……でも、私は間違いなくルナのことが好きだ。一緒に旅している間にそんな感情が芽生えていた。自覚は多少あったけど……。


「スフィア……」

「……ルナ」


 互いに何とも言えない感じになるものの……ルナは目を閉じていた。これはつまりそういうことなのかな?


「ん」


 そして気づけば私とルナは互いの唇を触れ合わせていたのだった。





あとがき


2人の関係性についてはあやふや(明らかにバレバレ)にしようと思ったんですけど……まあ、これでも1つの区切りということで。

まあ、こうなったからと言って2人がこれから先変わることはないと思いますが。


こういうシーンってあまり書いたことがないんですよね。というか、実際書こうとすると書いてるこっちすら恥ずかしくなってくるやつです。きっと、同じ体験をした作者さんもいるのではないかと思いつつ。


あ、まだ続きますので安心してください。

あくまでのこの作品は旅。終わった世界を2人の少女が旅する話です。2人の関係性が変わったところで本筋に変わりはないですが、所々ちょっと違う描写が混じるかも?(主に百合関係)

まあ、互いに心を知れてオープンな状態になったわけですからね!


ということでこれからも不定期ですがよろしくお願いします。


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