第3話
南国気質が肌にあったのか、俺は南海の港街に腰を下ろす事にした。
なにせ全部明るくて最高なのだ。
季節によってもの凄く暑い日が続くけど、それを上回る明るさがそこにはあった。
ご飯も美味しいし、港街なので珍しい物とも出会えるし、海洋生物との戦いも楽しいしい。
良い事尽くめだった。
すっかり日焼けした肌が身に馴染んだ今日この頃、俺は狼ダイブアタック家族全員分を食らった。
「痛い!!痛いって!!」
「おう良かったぜ!攻撃が通って!!」
それは神狼へ無事進化した相棒だった。
そしてその家族だった。
奥さんのアタックが一番痛いってどうなのよ。
綺麗に家を吹き飛ばし、街からとんずらした俺の元に、相棒は家族で追い掛けてきてくれたのだ。
薄情者!と詰られて、家族だろ!と叱られて、反省した。
「だって相棒、家買ったばっかだったし」
南国特有の平屋に相棒家族もふもふを招く。
ちっちゃいモフががぶがぶ甘噛みしてくるが、痛いが、俺が悪いので我慢する。
開けっぱなしの窓から涼しい風が入り込み、珍しい魔道具で部屋の温度を下げているから、もふもふ狼達は人心地ついたようにゴロっと床に寝ころんだ。
「だとしても勝手に出てくとか、オメーどーかしてる」
相棒と並んで床に座る。
この感じひさしぶりだ。
「マジない」
「ナーイ」
にゃい、とちっちゃいもふがママの口調を真似をして甘噛みをやめてくれない。
まってこの子生まれたばっかの子?
お祝い用意しないと。
「オメーんチ爆発して、最初は自害かテロかって話になってよ」
「殺されている」
「マジ、ビビる爆発だったし」
「で、調べたらオメーの死体ねぇし、オメーの力の痕跡出るし、オメー何処にもいねぇし」
「心配、したしっ」
「ごめんなさい」
まったくだし、と奥さんが言ってから、俺の頭を撫でた。
「とりまあーし晩飯用意するし、つもる話しとけ」
相棒の奥さんは人狼なので、銀色の体毛のまま銀髪の美女に変化出来る。
「あ、冷蔵庫にあるもの使って下さい。肉なら冷凍室にあるんで、沢山どうぞ」
「助かるし。ほら娘達花嫁修業の時間だし。雄の胃袋掴めないとイー嫁になんてなれないし」
呼ばれた娘さん達が、次々少女に変化し台所に消えていく。
甘噛みしてた子も可愛い幼女になってテテっと走り去っていく。
女の子だったのか…。
賑やかな声台所から聞こえ始めて、休憩していた男の子達は「狩りにいってくるー」と群れを成して家を出て行った。
気付けば生涯を共に過ごしてる、相棒だけが残る。
これは気を遣われたのだろうか。
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