裏切られ、道半ばで途絶えた生。然れど目覚めれば、望まれた少女の生。

前世で裏切られ、目覚めた今世では年端もいかぬ少女の身になっていた。それでもこれから彼女として生きることを決めた主人公。しかし目を背けてはならない。主人公はそのことに気が付き、葛藤できる善良で聡いものだったから。ともすれば本来の少女アレティーシアの人生を奪い取ったのだ。ならば覚悟を決め、打ち明けるべきか否か。いや、そもそも娘を思う母親の瞳に嘘偽りは意味を持たず。隠し立てはまかりならぬ故に、主人公は打ち明けることを選択する。けれど返ってきたのは、ただ温かく柔らかい触れ合い。優しい抱擁であった――。
……私(読者)は泣いた。

……序盤から泣かされてしまうとは。

――主人公は望まれ、望んで生きる。
異なる世界で、異なる性で、二人分の命を胸に刻み込み。素晴らしいこれからを。