本編

第1話【第一印象】

入学式で初めて君に出会った。

私のではなく、君の入学式。

でも第一印象は、最悪。

君はどう見てもヤンキー。

金髪、耳はもちろん口にもピアス。

チェーンネックレス、チェーンブレスレット。

そして校門前で他校のヤンキーと喧嘩で登場。

体感10秒くらいで5人を倒し、何も無かったかのように校内に入る。



『初めて見たわ、まじのヤンキー。』

「ね、怖すぎる、てか倒された人血だらけだけど、大丈夫なんかな。」



私の隣を歩き、そう言ったのは来栖ほのか。

私、蒼井菜乃葉の中1からの友人。



『んね、でもほのかが寝坊したせいで私ら遅刻しそうなんよ。生徒会なのに。』

「、、それはすまん。急ご。」






まあその後、入学式には間に合った。

練習通りに新入生を迎え入れ、歓迎の言葉を言って。

入学式が終わると、私は無事終わったことにほっとして、いつも私の休憩場所となっている校舎裏に行った。

いつもは人がいない校舎裏だが、今日は人影が見えた。



『朝の...ヤンキー?』



思わず声に出してしまい、ヤンキーを起こしてしまった。



「あ?だれ?」



言い方はヤンキーらしいものの、寝ぼけているのか全部がひらがなに聞こえる。



『この学校の生徒会長だけど...式で挨拶したんだけど。』

「あー、そーなんだ、おれしきでてないんだよね。」

『え、なんで?てか来てるってことは無断欠席とか?』

「えー、なんでってだるいからじゃぁん。なんであんなながいあいだすわってなきゃいけないの?こーちょーのはなしとかながすぎだし、むり。」

『だるいって...無断欠席したなら今からでも担任の先生に報告しておかないとだよ。』

「えー、めんどくさーい。かいちょーいっといてー、おれえーぐみだからぁー。よろしく、かいちょー。」

『いや、、自分で報告くらいしなさいよ。』

「えぇー、だからめんどくさいってぇ。ね、おねがい、かいちょー。」



あー、なんかこの人めんどいかもしれん。



『...今回だけ伝えておくけど次からは授業とか無断欠席しないでよ?』

「おっけー!わかんないけどー。あ、かいちょーのなまえなにぃ?」

『名前...?なんで?』

「え、ぎゃくになんで?」

『あ、いや、蒼井菜乃葉だけど...。』

「なのはかいちょーね。おぼえた。」

『...君は?名前なに?』

「おれはねぇ、いちくらたいが。市場とかの市にぃ、倉庫の倉にぃ、大きいに、がは我。」






その後私は1年A組の担任の先生に報告をしに行った。



『あの、A組の市倉大我くんが入学式無断欠席したみたいで、一応報告に来ました。』

「あぁ、市倉くんね。まあ、そういう話は彼の中学校からも聞いてるし、わざわざ報告してくれなくても大丈夫だよ。」






『あの、そういう、話って?』

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