1-2
「初めまして、
ご察しの通り自己紹介が始まりました。
出席番号は真ん中らへんだから最初でも最後でもない。
安心。
―――――出来るわけねぇだろ!
まぁいいや。
「皆さん、初めまして、島田裕志です。趣味は読書です。一年間よろしくお願いいたします」
少し短い気がするがパーフェクト。
コンパクトイズベスト。
しかし、マジで緊張する。
教卓の前に立つと。
分かるよな!?
「皆さん、ありがとうございました、え〜っと、じゃぁ早速少しゲームをしてもらおうと思います」
ゲーム?
あぁ、名前とか覚えよう的なやつか?
「その名もウォークアンドクエッション」
ネーミングセンスどうなんよ・・・・・・。
「内容は簡単。皆さんにはこれから席を立って歩き回ってもらいます。そして私が『ストップ』って言ったらその場で止まって、最も近かった人と自己紹介、それから私が言ったお題について話しましょう。10個くらいやリます。そしたらもう一回歩いて、って同じようなことを全クラスが終わるまでやります」
なるほど互いの理解を深めると。
で、クラスの人数は偶数だから、絶対に当たると。
良かったボッチにならなくて。
「では始めましょうか」
そういう先生の合図とともにみんな歩き出す。
先生がストップと言うと、みんなが近くに居た人と組み始める。
俺が最初に当たったのは偶然にも昨日電車で声が合った人だ。
なんで?
「「あ・・・・・・」」
向こうも気付いたようでこれもまた声が合う。
「ではお互い自己紹介をしてください!!」
「えっと、島田裕志くんでしたっけ・・・・・・私は
こういう名前知ってる人にどうやって自己紹介しろって言うんだよ!!
安城さんは右側の髪が目にかかるかかからないくらい。
そして身長は俺より少し低いから165前後ってところか。
そして普通にスタイルはいい。
というかフルネームで覚えてんのなにげにすごいなおい。
「では最初に好きな本の作者」
おい問題のチョイスどうなってんだ。
いるけども。
「
「え・・・・・・」
速くない?
俺まだ答えようとしたところなんだけど?
「好きな」
「ランニング」
「ちょ・・・・・・」
「将来付きたい仕事」
だから問題のチョイスどうなってんだよ!!
「探偵?」
安城さんもなんで語尾上がってんだよ!!
てか探偵なんてよく思いついたおい。
とまぁ、こんな感じに先生の変なチョイスの質問とそれに対応した安城さんの即答のせいで惨敗になりました。
あ、これ勝負です。
次のペアがラストということで再度歩き回る。
次は案外話しやすそうな人に当たる。
「わたくしは
「俺は島田裕志だ。よろしくな」
今回のペアは先程のようにはならず、安定した感じに終わった。
というのも、まぁ、水無瀬さんが常人だから、かな?
いや、決してさっきの安城さんがおかしいとかではなくてですね?
◆
下校が始まり、俺は教室を出ると駅に向かう途中にあった図書館へと足を運ぶ。
何を読もうか。
そういえば最近読みかけだった本があったような気がする。
確か・・・・・・摺川瑠南さんの・・・・・・この本だったかな?
その本に手をかけると、その本にもう1つの手がかかる。
手が触れ合ったのをきっかけに両方の手は引っ込んだ。
「「す、すいません」」
声がシンクロした。
相手の顔を見ると安城さんだった。
安城さんは制服で俺と同じく学校帰りに寄ったということが容易に想像できる。
「えっと・・・・・・安城さん・・・・・・だよね?」
俺はそっと訊く。
安城さんは頷くと俺の制服の袖を掴んで引っ張る。
「ちょちょちょちょちょちょ!?」
「・・・・・・いいから来て。それと図書館だから大きな声は出さないで」
その原因
てかこの後もしかして修羅場!?
俺まだ生きたいよ!?
というか心当たりまったくないんですけど!?
親孝行だって禄にしてないのに。
あ、言っちゃった。
みんなしようね(ブーメラン)。
「あの、さ。私がここに通ってることを内緒にしてほしいの」
「え・・・・・・なんで?」
「昔から人に見られるのが嫌で・・・・・・そして知られることも嫌だから」
「だからって・・・・・・ここまでする?」
「だって、島田くんが周りに言いふらさない保証がないでしょ?」
それは否定できねぇ。
友達いるいないの問題の前に俺そういうことを言う人柄じゃないから。
安心してくれ。
初対面で信じろっていうのは無理だろうけどな。
そのまま2人で1時間程度読書をし、共に帰ることにした。
「ところで・・・・・・安城さんはどこに住んでるの?」
「
「
「そうですか?ところでここで会ったのも何かの縁ですし一緒に食事しません?」
「もちろん」
こんな誘いを断るわけねぇだろ。
初めてできた中学の友達と食事をするなんて仲良くなる絶好のチャンスだろ。
俺はスマホで食事をしてから帰ると連絡を入れる。
「折角だし、連絡先交換しない?」
「いいですよ」
「ありがとう」
「これで連絡が取れますね」
「そうだね」
雑談とかその手の類かな?
連絡を取るにしても。
「ちなみにどこのお店とか希望はありますか?」
「いや、特にはない」
「ではここにしましょう」
安城さんがチョイスしたのはイタリアン料理店。
理由はおそらくいちばん近くにあったから。
メニューを見て2人共パスタということで決まると注文をする。
「島田くんは兄弟居るんですか?」
「妹がいる。安城さんは?」
「私は姉が居ます。8つ上の姉が」
「いいなぁ〜俺も姉欲しい」
「いやいやいや、いいことありませんって。すぐに意地張るし、ずる賢いし、保護者気取りだし、本当に困った人ですから、姉って」
「えぇ・・・・・・そんなボロクソに言わなくても・・・・・・」
「妹のほうが絶対可愛いですって」
「いやいや、言うこと聞かないし、くどいし、いいことないよ」
「じゃぁ、交換します?」
「出来るものならしたいね」
「フフッ・・・・・・」
安城さんは見た目に反して内面は結構強気なようだ。
俺は苦笑いしながら話題を変えるべく、話題を探していると料理が届く。
と、安城さんが話題を見つけてくれる。
「島田くんはどの部活に入るつもりですか?」
「俺は・・・・・・部活は入らないつもりかな。安城さんは?」
「私はもちろん入りません」
ですよね。
安城さんの性格からして入らない予感はしてた。
なんだかんだ
「島田くん・・・・・・またご一緒してもいいですか?」
「さっきまで俺を疑っていたのに急になんで?」
「ん〜特に理由はないんですが・・・・・・強いと言うなら居心地がとてもいいから、ですね」
「まぁ、安城さんがいいなら」
「本当ですか?ありがとうございます」
「ていうか、そんなに見つめなくても?」
「裏切られた経験上、人の目を見ることでしか信じられないので」
意外だな・・・・・・そんな一面があるとは・・・・・・。
俺と安城さんはイタリアン料理店を後にすると駅へと向かう。
空はすでに暗くなっていた。
「それじゃ、また明日ね」
「えぇ。学校ではこのことは内緒ですよ?」
「分かってるって」
安城さんとは俺の最寄り駅までは同じ経路だ。
つまり、そこまで雑談していたということだ。
電車を降り、俺は自宅へと帰る。
そこには案の定と言うべきなのだろうか。
陽菜が立っていた。
いや、待ち構えていたというのが正解だろうな。
「どこに行ってたの〜?」
「図書館かな?」
「なんで〜?」
「行きたい気分だったから」
「ん〜なんか怪しいけど・・・・・・お兄ちゃんがこんなに早く友達できるはずがないから真実か」
おい、なにげに失礼なこと言ってんじゃねぇ・・・・・・。
≪To The Next Story...≫
キミの最後の推理は〜中学1年編〜【改】 雪花 涼麗 @nEzum1
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