1-1
「犯人はあなたですよね? 根本さん?」
そう言い放ったのは俺の前に立ちはだかる少年だ。
少年は続ける。
「証拠はドアノブに付いた根本さんの指紋、それから犯行現場に落ちていたあなたの頭髪」
「それは事件前に―――」
「だったら被害者の血の上、それから被害者の上に乗っていることについて説明してくれますよね?」
そこに少女が割り込む。
「グヌッ・・・・・・それは・・・・・・」
「それはつまり、あなたが犯人であることを証明しているんですよ」
少女はすかさず言った。
少女の名前は―――――
コードネーム、サーチエクスペンシブ。
そして俺の前に立ちはだかる少年の名は、
コードネーム、サードライン。
「ガキの分際で・・・・・・」
「その態度、認めたという認識で良いですよね?」
俺―――
「だ、第一そんな証拠はでたらめだ!!」
「ほう?これを見ても?ルーズセル」
「ほい」
ルーズセル、というのは俺のコードネーム。
呼ばれた俺は証拠を取り出す。
「そ、それは確か金庫に―――――――」
「あ、これじゃねぇわ。これは俺が作ったおもちゃだったわ。でもこれで金庫にあるってわかったな。ありがとさん」
俺が金庫の方に歩みを進めると、狂気に満ちた根本さんがナイフ片手に突進してきた。
「所詮は
後のことは言うまでもない。
血祭りに上げられた。
◆
それがきっかけで3人は離れ離れになった。
史上最年少、7歳の探偵を引退することになった。
5年後。
≪次は、
無駄な英語の部分を聞き取りつつ、降りるために重い腰を上げた。
今日は晴れて入学式なのだが。
なんで俺がこんなに腰が重いのかと言うと――――――それについてはまたいずれ話そう。
「「はぁ・・・・・・ダル」いですね・・・・・・」
そう声が被ったのは前にいる少女。
お互いに気まずい空気の中、席を立つ。
顔立ちはよく、おそらく入学式に行くであろう人だ。
その人を横目に見ながら電車を降りると、学生の流れに乗る。
ご親切に教員であろう人が学校に続くのはこちら的なことをやっていたので方向音痴な俺でも着くことが出来た。
さて、ここで少し解説を。
ここは狩場・梅川という世界有数の都市。
狩場は観光地。
例えば、向こうに見える少し小高い山はカノスマ山。
そのやや左にそびえ立つ高い山はセリサ狩場山。
どちらも世界自然遺産指定されている山だ。
その割には人の手が入っていないことで有名だ。
梅川は商業地。
狩場の観光で流れてきた人などを受け止める第3次産業だけでなく、第2次産業も発展している。
世界トップクラスの企業といえば、ノイシャワカナ。
それともう一つ忘れちゃいけないのはニルカメット。
閑話休題。
学校は駅徒歩5分のところにある。
その道中には図書館や病院、警察署など様々な必要機関が揃えられていた。
図書館は必要じゃないって?
本好きの俺からしたら必要以外の選択肢はない。
学校に着き、会場に案内された俺は席について待つ。
まもなく式は始まり、ありがたいお言葉を聞くだけの時間となる。
そんな面倒くさい時間もわずか1時間ほど。
心を無と化せば話が終わっている。
ほら・・・・・・。
「これで入学式を終わります。各生徒は各クラスの担任の指示に従ってください」
良い忘れてたけど、俺は5組。
担任は若そうな女性の
ふぅ。
ようやく帰れる。
んで、出席番号は16番。
クラスの人数は36人。
ん?
なんか嫌な予感しかしない。
そんな予感を抱えながら座席表を見る。
・・・・・・あぁ。
嫌な予感は当たるものだ。
真ん中の席の前から2番目。
出席番号を見た時点から嫌な予感がしたんだよな。
その後、様々なプリントを配られたが・・・・・・。
一応目は通して帰ろう。
文字があったら基本的に読む人なので・・・・・・。
解散後はワイワイと廊下が騒がしくなる一方で、教室には俺を含めて2人しかいないという気まずい状況が完成する。
しかも今気付いたことではあるが、今朝電車でハモった人じゃねぇかよ。
まさか同じクラスとは・・・・・・。
相手に気づかれないようにそっと教室を出る。
そのまま学校を出ると途中にあった図書館に行く。
すげぇ。
広い。
梅川にあるあの図書館でさえあの広さなのにその倍はあるぞ。
長居するのも良くないしね。
◆
家は梅川中央駅直結のマンションの37階だ。
ちなみに最上階です。
家に帰ってすぐ、食事と言う事っだったので、すぐに着替えたりしてダイニングに行く。
「裕志、暇なら
「え?」
陽菜、というのは俺の妹で今
「もう2時間位寝てるから。起こしてきてね」
「えぇ・・・・・・」
少し躊躇いながらも陽菜の部屋へと足を進める。
偶に部屋に入るとマジで不機嫌になるから。
「おーい。入るぞ」
案の定、返事はない。
扉を開けて入ると、ご丁寧に布団を被った陽菜が静かに寝ていた。
起こすのダルぅ。
「起きろぉ〜陽菜ぁ〜」
「あと5分」
「そう言って起きないパターンだからダメだ。起きろ」
う〜ん、と言いながら、陽菜は右目から青い瞳をのぞかせる。
そして1回伸びると両目を開く。
左目は黄緑色。
これは決してカラコンとかを入れているわけではなく、純粋に生まれつきそうだったのだ。
雛を連れてダイニングに行くと、食事が準備されていた。
「食べますかね」
陽菜が揃ったところで食事をすることに。
◆
食事が終わって軽く片付けを終わらせると、俺は通ってる図書館に行くことにした。
「何処行くの?」
「下の図書館」
このビルは地下6階から地下2階は商業施設、地下1階から地上3階は駅、地上4階は図書館、地上5階から7階は商業施設で、地上8階より上はマンションとなっている。
「いつ頃ご帰宅で?」
「21時頃には帰ると思う」
「9時ね。了解」
「あ、陽菜も行く〜」
「(マジかよ)」
「裕志、陽菜も連れてってあげて」
それ、ただただあなたが面倒見るのが面倒くさいだけですよね?
「わかったよ。さっさと準備しろ」
「は〜い」
幼いなぁ。
これでも今年で小4なんだけど・・・・・・。
そんな陽菜を連れてマンション専用エレベーターで4階に行く。
空いているようで何より。
勉強をするときは自室よりもすぐに調べものを出来る図書館のほうが良いと思うんだよね。
ここの図書館も広い。
ワンフロアー全てが図書館だからそりゃ当たり前。
2人席を確保し、陽菜と向かい合う形で座る。
家から持ってきた教材を出すと、勉強することにした。
なぜ勉強をやるのかって?
予習ってやつだよ。
後々勉強おいていかれるの嫌だしな。
中1から初めて始まる英語から手を付けることに。
うお、アルファベットの羅列が。
なになに。
『イム田中。ニケトメーツヨー。ホワアボウトヨウ』
なんだこりゃ?
◆
先程の発言が恥ずかしいですね。
勉強しました。
先程のやつは・・・・・・
『アイム田中。ナイストゥーミーチュー。ハウアバウチュー?』
ですね。
まだカタコトだけど。
閑話休題。
時間を見ると、20時45分頃。
一応陽菜には声をかけておきますかね。
「陽菜、もう少ししたら帰るからね」
「・・・・・・」
無視――――――ではない。
チラッと俺の横顔を伺ったので了承ということになる。
返事くらいしてほしいものですけどね。
「んじゃ、帰りますよ」
時刻は20時55分。
流石にエレベーターの事情もあるので早めに帰ることにしたのだが。
陽菜は一向にやめる気配が見えない。
ん〜。
困ったものですね。
最終手段―――――は大人気ないから止め・・・・・・
「早くしないと母さんが怒るよ?」
「―――――それは困るぅ!!」
るわけ無いだろ!!
俺が妹に手加減するとでも思ったか、馬鹿め!!
陽菜は急いで本を戻して帰ってくる。
その後、ギリギリで家に駆け込む。
危ねぇな、おい。
切り札使ってなかったら今頃大変なことになってたぞ。
まぁ、俺はそしたら陽菜を盾にしますけどね。
「続きやるかぁ・・・・・・」
教材を広げて英語をやること約1時間。
「そろそろ寝るかぁ・・・・・・」
教材を仕舞い、本を読むこと1時間。
夢中になると時間がすぎるのが早いとはこのこと。
俺は本にしおりを挟み、ベッドへ潜る。
一瞬、今日の朝の少女の顔が浮かんだが、寝ることにした。
あの子、雰囲気からしてなんかこれからも面倒事に巻き込まれる気しかしないんだが。
気の所為ということにしておこう。
◆
入学式の次の日は休みとなっていたので、今日は何処か図書館でも行くとしますか。
「陽菜〜図書館行くか?」
「何処の図書館行くの?」
「多分狩場中央図書館」
「行くから待ってて」
そう言われて玄関で待つことにした。
母さんに伝えると、夕食までには帰ってこいとのこと。
そして天気予報によれば雨予報が。
雨にならないといいけど・・・・・・。
今日行く図書館は狩場中央図書館。
電車でちょっと(40分くらい)だ。
陽菜の準備が終わり、家を出て駅に向かう。
色々なハプニングがあったが無事図書館につくことが出来た。
ハプニングが何かって?
陽菜が電車で寝て起こすこととか、起こすこととか、起こすこととか。
うん。
それしか思いつきませんね。
閑話休題。
「んじゃ、俺は勉強するから勝手にやってね〜」
「は〜い。なんかあったら連絡する」
「分かった」
俺は席を確保すると教材を広げる。
陽菜を横目で見ると昨日と同じ題名の本を読んでいる。
続きだろうな。
◆
時間は正午。
「陽菜、食事に行こうか?」
「行こ行こ」
すごい乗り気ですね・・・・・・。
そんな陽菜を連れて近くの飲食店に入り、パスタを食べた。
特に深い意味はない。
食事を終えると図書館に戻り勉強を再開した。
英語ムズくないですか?
「もうこんな時間か。陽菜、帰ろうか」
前に座ってる陽菜に話しかける。
陽菜は時計を横目で見た。
3時半過ぎ。
微妙な時間だが、帰るには適した時間だろう。
「分かった」
昨日とは違い、潔く本を仕舞いに行く陽菜。
さて、今朝のことを覚えているだろうか。
雨予報。
空は悪雲が立ち込めていた。
「一雨降りそうだね・・・・・・。駅まで走るか?」
「いいよ。今回は負けない」
「今まで負けた自覚はあると」
「それは違う」
俺と陽菜は走り出した。
それを合図としたように雨も降ってきた。
「雨がぁぁぁ」
雨の中駅まで走る。
疾風のごとく。
駅につくと、後ろを走る陽菜を眺める。
やや後ろを走っていた陽菜はふぅ、と息をつく。
「雨が意外とまだ弱くて助かったな。風邪引く前に家帰って風呂はいるぞ」
「は〜い」
俺らは電車に乗ると家へと急ぐ。
その間約40分。
濡れた髪や服が乾いた。
家へと急いだ意味は何だったのだろう。
あ、そうか。
体を温めるためだよね。
まだ少し肌寒いから。
ということで家に戻って来て陽菜に風呂を譲る。
その後夕食を食べて俺は自室で読書をして寝た。
明日から学校だし。
◆
起きたのは4時半。
寝たのが10時だから6時間半寝たことになる。
起きて最初にするのはもちろん顔を洗ったりすること。
それとは別に俺は朝、ランニングに行く習慣がある。
朝から運動することでその日が締まる感じがする。
頭に色んなことが入ってくるし。
ちなみに陽菜も走ってます。
今日は疲れて寝ていますが。
1時間ほど走ることにいつの間にかなっていた。
「んじゃ、行ってくるわ」
「行ってらっしゃい〜」
走る距離は10km。
最初の頃は5km。
徐々に伸びて行って今は2倍ほどになっている。
何処にそんな走るところがあるのかと言うと、このビルの周り。
ランニングコースがあり、周囲走るだけでなんと5km。
1時間ほど走って、家に帰る。
朝食を食べて制服に着替えて俺は学校へと向かった。
≪To The Next Story...≫
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