29話。
食料については奴隷商達を通じて此処まで運んでもらうことになった。ただ余りにも此処を訪れる頻度、もしくは運び込む量が多いと怪しまれてダンジョンの場所が何者かによってバレるかもしれな……ん?そういえばこの前来た冒険者達の記憶を読んだ時に何か……あ、まずい。アレから上に報告が行っていることを完全に失念していた。う~む、どうせ放っておいても何かしら来るならもうこの際気にせずに行くか。
ひとまず日持ちする物と、育つかは分からないが作物の種を用意して
次に住居についてだが、久し振りに
墓地が追加された理由は恐らくダンジョン内で人間がそれなりに死んだことで解放されたのだろう。洋館については何故?と一瞬思ったが、どうやら吸血鬼を配下に加えたことによって追加されたらしい。なるほど、自分の仲間にした種族によって今後は階層の作成が楽になるんだな。オリゴスを仲間にする前に一人でせっせと地面を均したのも、あれはあれで楽しかったが……。まぁそういった手法が取れなくなる訳でもない。手塩にかけてやりたければその時考えればいいのだ。
ひとまず暫く手を付けられなかった第二階層の作成に早速取り掛かる。久々に聞いた地鳴りの音と共に、第一階層の奥に扉が現れた。扉を開けば真っ暗な空間にまっすぐ続く階段があった。どうやら左右に壁はなく、転びでもしたら何処に繋がっているかも分からない奈落へと真っ逆さまとなるらしい。宙に浮いている私には関係ないが。
サングィスとガーラ達
一旦オリゴス達
建設の決定をした瞬間、辺りは目を開けることも儘ならない程の光に包まれた。咄嗟に目を隠そうとしたが、今の自分には手も瞼もないことを失念しており光が直撃……するかと思いきや、そっと白い手袋が私の目元を覆った。更にはガーラ達一家も自らの翼で覆い隠すように立っていたのを見て、突然の状況にも対応し細かい気配りまでできるサングィスの万能執事感に感心していると、やがて光が開けていった。
そこには指定した洋館が建っており、しかも周囲が土壁ではなくダンジョンの外に合ったような森に囲まれている。地面は芝生のようなものへと変わり、天井には夜景が広がり、一瞬にして此処が第二階層であることを忘れさせるような光景に様変わりしていた。
何が起きたか分からない、という風に固まっているガーラ達を他所に私はサングィスに目配せをする。彼は当然のように一礼した後、周囲の調査へと取り掛かった。
まず壁や天井について。第二階層に到着した時の土壁の範囲よりも拡張されているのは間違いないが、どうやら無限に広がっている訳ではなく途中で不可視の壁があり行く手を阻まれるそうだ。破壊出来そうかどうか尋ねてみたが、第二階層だけならともかく上の第一階層にどのような影響が出るか分からない為やめた方がいいとのこと。それもそうだな。可否については何も言わなかったことは流しておこう。
次に洋館を取り囲む森。これは至って普通の森らしい。ダンジョン内で生成されたからと言って、木々が
そして本題の洋館。私を含めても五人で住むには余りにも大きかった。当主の執務室や二十、いや三十人は共に食事が取れそうな食堂。それに見合う大きな台所。客人用の応接間、侍従用の部屋、他にも色々……。過剰過ぎる。そもそも
しかし私の思いに反してサングィスは、
「これだけ大きければ手入れのし甲斐も、料理のふるまい甲斐もありますな。」
といつものようににこにこと笑顔で答えてみせ、ガーラ達は、
「こ、このような立派な場所に住まわせて貰えるだなんて……これから一生を掛けて御恩を返します!」
と寧ろ気合が入ったようだった。解せぬ。
事前にサングィス、ガーラ達と協議した結果、洋館はひとまず私の居城?とすることになり、彼らは私に仕える執事、及びメイドとしてそこに住むことになっていた。恐らくガーラ一家はサングィスから掃除等の家事について色々と教わるのだろう。彼の後をひよこの様についていく姿を見送りつつ、執務室と思しき部屋で
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話的にはいったん区切りですかね。恐らくここまでが一章になると思います。多分。
因みに今後の展開は何も考えてないです。敵も味方も何も案がない状態なので、更新が遅くなるかもしれません。というか、三連休に更新出来なかったのは展開を考えていたからでした。
二章からも完全見切り発車のまま進んで行きますので、今後ともよろしくお願いします。
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