第5話 惨めな僕と過去の友

 部活が始まって一週間。この間に、僕は初めてちゃんとした友達ができました。教室を見ていると美琴は、一ヶ月の間に友達がたくさんできているようだ。時々思うんだ。あんな陽キャの女子と僕みたいなやつが友達で本当にいいのかなって、でも、彼女はそんなことを気にせずに話しかけてくれる。だから思うんだ。友達でいいんだなと。そう思うこの前の僕でした。

 そして今、部活の活動で本を一冊書くことになり、協力するようにと部長に言われたのだが、僕は今まで、全てのことを一人でやってきた。料理も掃除も洗濯もだ。僕は協力というものを知らない。だから、美琴と協力するのは難しく、非常に気まずい。今のところ、美琴が想像しやすいということで、学校を舞台にした本を書くことになったのだが、現在進行形で、僕にどういう路線で書くかを尋ねられている。僕は、それに答えられるように考えて考えて、僕は言葉を発した。


「い、いっそのこと、自分達の経験を書いてみるのは?」


それに対し、美琴は


「いいね、それで行こう!それじゃあお互いの記憶に残っていること紙に書いていこう!」


「うん」


さて、どうするか。さっきまで僕は聞かれたとき、どう書くのかしか考えていなかった。だから、紙に書けと言われても書くことがしょうもない。だって例えば、家で奴隷のように家族から扱われていたこと。友達が0人でずっと虐められていたこと。遠足では、クラスの人達と組めず先生にすら見捨てられたこと。友達かと思っていた人に裏切られて、大怪我をしたこと。どれも書くに当たってクソしょうもないじゃないか。それでも僕は、それを書くしかないと思って紙に書いていく。しばらくして書き終わった紙をお互いに見せる。いったい美琴は何を書いているのかと美琴の書いた紙を見てみる。そこには、初めてできた友達のことや友達が大怪我をしたときの記憶。他に、新しく学校にきた人と友達になったこと、その友達がまた別の学校に転校して行ったことなどだった。そして、途中一人の友達が不登校になったこと。僕はさっきあった転校してしまった子の転校した時期が気になった。その日は、中学二年生の終わりの時期だった。僕は恐る恐る美琴に聞こうとしたが、美琴が僕の書いた紙を読んで泣いていた。それはそうか、普通に人生をおくっている人は僕みたいな生活は絶対しないだろう。そして他人から見たらそれは恐ろしいものだろう。だけど僕は、どうしても聞きたいことがあったから聞いた。


「ごめん泣いているとこ悪いけど、この転校して行った人って誰?」


その質問に対し、まだ少し泣いていながらも美琴は答える。


「あの子ね。あの子の名前は“西川大雅”君だよ」


やっぱりだ。やっぱりこいつだった。覚えていたくなくて自分から忘れた存在。あのとき僕を騙して精神の限界まで追い込んだあのときの転校生。西川大雅。何で美琴とあいつ、大雅が友達になれたのかが分からない。でもこのことは言っておくことはやめておこう。そう考えていると


「もしかして、大雅君のこと知ってるよね。だって名前聞いたときに三月君の顔、少し驚いていたから」


あ。もうこれだめだ正直に話そう。


「うん。大雅のことは知ってる。僕の学校にいく前はどんな感じだった?」


とりあえず聞いてみる。美琴がこいつの本性を知っているかを知りたい。


「三月君の学校にいく前は、とにかく元気だったよ。でもその有り余る元気があるせいで怪我をよくしていたよ」


はい、確定大雅の本性を美琴は知らない。よし、もう言ってやろう。


「そう、でも僕の方ではそんな素振り一切なかったよ」


「そうなんだ。じゃあ、三月君の学校では、大雅君はどんな感じだった?」


「…大雅は、僕を虐めた人だ」


「え?!」


「始めは、ずっと虐められてきた僕と友達になろうなんて言っていた優しい人だと思っていた。でも違ったんだよ」


「嘘だよね?」


そうだよね。そういう反応するよね。でも、真実を言わないといけない。今の僕がある理由を言わないといけない。だから話続ける。


「美琴は信じたくないだろうけど、本当のことなんだ。人には裏の顔があるまさにこのことだよ」


「……」 


「美琴には辛いと思うけど続けさせてもらうね。僕は7人目なんだ」


「何……の?」


「大雅が今まで虐めてきた人の人数。あいつは、過去に幾度となく転校を繰り返しては一人を虐めていたそう僕が気絶する前に聞こえたことなんだ。虐めの僕はその被害者だったんだよ」

言葉が続く。美琴は、まだ信用しきれていない。


「美琴の書いた紙を見たけど、一人の友達が不登校になった時期とあいつが僕の学校に転校して行ったときの時期を思い出して。きっと時期は近いはず」


もし、僕と同じ虐め方が同じなら、時期は近いはずなんだ。


「あの子と……大雅君が転校した……時期……?!」


この様子だとあたりだろう。きっと僕の言っていることが本当だとわかったはずだ。でも美琴はだいぶ辛いだろうだから。


「ごめん。聞いてて辛かったよね、でもいつか言う必要だったんだ。今日はもう終わろう。明日まとめればいいよ」


「うん……。ありがとう。三月君の過去を教えてくれて。でも大雅君があの子と三月君を虐めていたなんてね。そんなことに気づけなかった私を許せない。でも、人を虐めていてヘラヘラと笑っていたあいつのことがもっと許せないんだ」


美琴は、そう言いながら目に涙をいっぱい流していた。


「ありがとう。美琴」


僕達は荷物を片付け、帰路を辿る。別れるまで、僕は美琴と一緒にいたが、別れるまで美琴はずっと涙を堪えていた。今日のことでお互いのことは少しはれたとおもっていることを願う……。


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