第265話 渋々
生産者同士の話し合い。
最初は少しぎこちなかったものの、少し専門的な話をすると、マシンガントークが始まる。
そこから全体に波及して、結局最終的には良い感じの話し合いになったんじゃないかと思う。
まあ、まだ一回目だしね。これから定期的に開いて、情報交換を続けていきたい。楽しい世の中の為なら俺だって協力しますよ。
「やっぱりレベルが低い」
「これからだって、これから。お前だって科学やらなんやらに苦戦してるんだろ?」
ゴーレムの為今回の話し合いには参加できなかったけど、別室から繋いだカメラで話し合いの様子を見ていたミリスは、レベルの低さを嘆いていた。
ミリスからするとまだまだ初歩的なところで足踏みしてる感じらしい。
因みに『シークレット』の面々は、ゴーレムがギルド内を動き回ってる事は知ってるものの、何も言ってこない。どうせ使徒様がまた何かやってらぁと思ってるんだろう。
それでいて外に情報が漏れてないんだから、『シークレット』のみんなは出来た奴らである。異世界ではミリスや他の少人数ぐらいしか心を許せる人達って居なかったからなぁ。
むしろ敵の方が多かった。国を救ったのに、俺の人気に嫉妬して闇討ちしてくる王様とか、俺が能力を使った時の姿があまりにも神聖だから、勝手に俺を教会の象徴に祭り上げて、いざ悪魔の能力を使うと異端者だの言ってくる教会連中。
………なんか現代に戻ってきてもおんなじ事をやってるような気がするな…。
どうも、成長しない男織田天魔です。よろしくどうぞ。
さてさて。生産組のテコ入れはこれからも続けていくとしてだ。
直近の問題はと言えば、やっぱり魔王アリスだろう。ポンコツロリ女神から話を聞いた限りではあいつが現代にいるのは確定だと思われる。
あいつが何かする前に話をするなり、殺すなりしておきたいんだけど。後々問題が起きてから行動するってのだけは避けたいし。
個人的には魔王アリスは嫌いじゃないんだけどな。いや、最初は滅茶苦茶嫌いだったけども。
あいつに何回泣かされたか分からんし、舐めプで何回も屈辱を味合わされた。まあ、魔族の中では話が通じる方だったし、出会い方が違えば友達になれそうな奴ではあったんだけど。
あの時は殺すしかなかったんだよなぁ。あいつの魔力をどうにかしない事には、永遠に魔族や魔物か生み出される状況だったし。
あいつは俺を殺そうと思えば何回も殺す機会があったのに、楽しそうに毎回俺を見逃してさ。最後の一回で俺が勝っただけで、殺したのは何か変な後ろめたさがあった。
今思えばあいつは遊び相手が欲しかっただけなんじゃなかろうかとか思ったり。
まあ、ちょっとおセンチな考え方になったけど、これはあくまで俺の考えだ。やっぱりまずはアリスに直接話を聞くべきだろう。
問題はどうやって会うかって事だ。
「あいつがもう少し魔力を補給するなりして、分かりやすくしてくれれば捕捉出来ると思うんだけどな」
最近暇な時間は遊ばずに魔力を張り巡らしてアリスを探してるけどやっぱり見つからない。あいつが隠蔽なんてまどろっこしい事をするはずないし、魔力を補給出来てないんだろう。
「となると魔力を補給する為に狭間に向かう訳で…」
次行くとしたらハワイの狭間か? そこで姿を隠して待ち伏せするってのもありだな。今の俺が大々的にアメリカに行ったら面倒な事になるのは間違いないし。
個人的にはアメリカに行きたくないけど、今はそんな事言ってられない。ハワイなら本土と離れてるし、まぁセーフって事で良いだろ。
ハワイ観光もしたかったけど無理だろうなぁ。異世界に転移する前は行ってみたいと思ってた場所なんだよね。
俺の好きなゲームの舞台にもなってたしさ。
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