第264話 意見交換会
「今日集まってもらったのは他でもない。情報交換会をしましょうよって事だ。出来ればこれからも定期的に開いていきたいと思ってる」
アリスの事は気になるけど一旦置いておいて。
今日は『シークレット』のギルド会議室に、生産関係のギルドの人達に集まってもらっている。目的はこの世界の生産関係のテコ入れだ。
「ギルドの秘密とか、秘伝、機密情報もあるだろうけど、正直俺から言わせればまだそんなレベルに達してないと思う」
言い方は悪いけど、まだギルド単位で色々秘匿してる段階じゃない。とにかくこの世界の生産関係は遅れすぎてると思ってる。ポーションですら未だにちょっと傷を回復する程度。
ダンジョンからのドロップ品を再現すら出来てない。本当に腕の良いところで、大きい傷も治せるってレベルだ。それも一日に一本作れるかどうかって感じらしいし。
まあ、異世界と比べるのもおかしな話ではあるんだけどね。あっちの世界は魔道具ありの生活が当たり前だし、15歳になったら全員が能力をもらえる。
こっちの世界は魔道具がなくても便利な道具はあるし、能力をもらえるのも全員じゃない。それに狭間が出現した時は、とにかく戦闘系の能力者が優遇されて、生産関係の能力者はないがしろにされ、むしろ下に見られる風潮もあった。
馬鹿だなぁとは思うけど、そのせいもあって生産関係はかなり遅れてるのだ。日本はラノベのお陰なのか、比較的生産者を馬鹿にするような事は無かったみたいだけど、老害とか他の馬鹿どもが足を引っ張って結局生産どころか、戦闘系も遅れる事になってしまってる。
で、俺がこの世界に帰ってきて、老害とかを排除して、なんとか戦闘関連は少し先に進める事は出来た。
なら次は生産関連でしょうよ。一応生産学校なるものは建ててもらったけど、上の人間の技術力が低いままでは教えられるものも教えられないってもんよ。
今の俺には影響力がある。こんな生意気な事を言っても、内心反発しようが、とりあえず話は聞いてもらえるのだ。
「勿論『シークレット』からも意見交換会に人は出すつもりです。狭間探知機を作った山田花子さん、最近グロテスクな映画で引っ張りだこな界隈で『R18大王』と呼ばれてる技術者も。それに必要とあらば、実験に必要な素材、お金、設備も提供しましょう」
最近の『シークレット』の悩み。それはお金の使い道がないって事だ。一時期馬鹿みたいに狭間を攻略しまくって、それはもう唸るほどのお金を手に入れた。
それだけじゃなくて、『シークレット』所属の生産者も最近、ミリスが入った事によって技術革新が起こり始めて、更に金が稼げそうときた。
狭間崩壊の被害にあった場所の復興支援の寄付とか、その他にも色々な慈善団体に寄付してもとにかく金がある。
俺は良く知らないけど、経済を回すには金は貯め込みすぎても良くないんでしょ? それなら、ここらで派手に使っちゃおうかと思いまして。
この世界がより便利にそして楽しくなるための先行投資ってやつだ。魔法技術をバリバリに使ったテーマパークとか、映画とかその辺も早く体験したいし。
それにロリ女神の当初の目的であった魔法と科学の融合はこういう事だったんだと思う。
ロリ女神がポンコツで現代人が思ったより対応出来なかった事でいささか発展は遅れたものの。
これでようやくスタートラインに立てるんじゃないかと思います。早く俺が楽しんで暮らせる世界を作って下さい。
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