閑話 女子会
「牛丼にチーズを乗せようと考えた人は天才だよ〜。シンプルなのが一番好きだけど〜偶にこういう味変を楽しむのも良いよね〜」
「私は牛皿とビール、お漬物で満足ですよぉ」
「そう言えば、昔はチーズ牛丼が一種の差別用語みたいになってたみたいですよ。チーズ牛丼を頼む人はオタクだーとか、陰気な人だーって」
「おかしいよね〜。誰が何を食べようかは自由なのにさ〜」
『シークレット』の近くに誘致された吉野さんのテーブル席の一角にて。桜、陽花、神田が、女子会を開いていた。
開く場所は女子会とは似つかわしくない場所だが、既に桜と神田は、牛丼系を五杯も食べていて、陽花も生ビールは五杯目。本人達的には大満足である。
勿論、女子会のスタートからここだった訳ではない。昼は色々買い物したり、美味しいスイーツを食べたり、夜になると少しおしゃれな店でディナー。
そして、家の近くまで帰ってきて、吉野さんで締めに入ってるのである。
「それにしてもいっぱい買ったね〜。もう当分服とかは買わなくて良いかな〜」
「私もです。こんなに一気に買ったのは生まれて初めてですよ」
追加で牛丼の大盛りを、ビールのお代わりを頼みながら、会話を続ける。ここはギルドから近い事もあって『シークレット』でも御用達の吉野さんだ。
ちらほらとギルドで働いてる人も見かけるし、野次馬が近寄ってくる事もない。この辺の住民はしっかり統率されていた。
「そういえば〜たんぽぽちゃんとは最近どうなの〜? 良い感じなんでしょ〜?」
「私も気になるわねぇ。あの公君が恋愛に興味を持つと思ってなかったわ」
「えぇ…。どうって言われましても…。普通だと思いますよ? あ、でも今度どこかに出かけようって誘ってもらいました!」
話題は女子会らしく恋の話に。
公英と良い感じの神田の話だ。
「デートじゃ〜ん! へぇ〜。たんぽぽちゃんがね〜」
「七海ちゃんは公君のどこが良いのかしら? 言っちゃなんだけど、筋肉しか興味がなかった男よ?」
「ええっと…。確かに普段は筋肉筋肉と暑苦しいですけど…。意外と頭が良いし、優しいし…。頼り甲斐のある男性だなぁと…」
「普段とのギャップにやられちゃった訳だ〜! きゃ〜! 青春〜!」
「眩しいわぁ」
やいのやいのと吉野さんで大盛り上がり。どうやら、三人は吉野さんを居酒屋と勘違いしてるのかもしれない。陽花以外はお酒も入ってないシラフなのだが。
「そ、それよりもお二人はどうなんですか!? その、あれですよね? 二人は織田さんと大人な関係というか…」
「まあ、言い方は悪いけどセフレみたいなもんだよね〜」
「お互いがしたい時にする。でも恋愛感情はないみたいな感じかしら?」
「だね〜。恋愛というよりは友愛って気がする〜」
「ほえぇ。私にはちょっと理解出来ない感じですね…」
「まあ正直、私もあんまり分かってな〜い。私は楽しかったらそれで良い享楽主義な人間だし〜」
「私もそうねぇ。団長さんがどう思ってるかは分からないけど」
桜と神田は追加できた大盛りの牛丼を平らげ、更に追加で大盛りを注文。陽花もビールを飲み終え、お代わりと牛皿を注文した。
一応おしゃれなディナーをしてきた後なのだが、三人の胃袋と肝臓はまだまだ余裕があみたいだ。
「まあ、適当な感じで良いんじゃないの〜? お互いに恋人が居たらダメだけど〜居ないなら、自由にやっても良いよね〜」
「それもそうですね」
「それよりも七海ちゃんの次のデートの話をしようよ〜」
きゃぴきゃぴやいやいと吉野さんでの女子会は続く。
結局三人が家に帰ったのは朝方。それまで、ひたすら吉野さんでお喋りを続けていた。店側からしたら迷惑かけてだったかもしれないが、吉野さんでの三人のお会計の合計が四万円を超えていた。
売り上げにしっかり貢献したという事で、勘弁してもらおう。
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