第255話 再生能力


 「『覇槍』の方も魔物とぶつかったみたいだよ〜」


 「トロールか。マジで見た目がブサイクだよな」


 「よだれがダラダラしてるのが嫌だよね〜。近付きたくな〜い」


 いきなり暴言で失礼するけど、ほんとに見た目がキモいんだ。ハリポ◯の初期に出てくるトロールの更に10倍ぐらい気持ち悪くした感じ。


 見た目はキモイし、なにより臭い。シュールストレミングぐらいだな。嗅いだ事ないけど。怖いもの見たさで、たまに嗅いでる人いるけど。マジでやばいらしいから。一種の兵器だよ、あれは。


 「あんな感じで再生するんだ〜」


 「ふむぅ。打撃は効果が薄いか? やはり跡形も無く消滅させてしまうのが手っ取り早そうだ」


 「シャコパンチの出番ですね!」


 バンチョフが先陣を切って、トロールと戦って腕を切り落とした。さっきも言ったけど、トロールは動きが鈍い。再生能力と馬力を除けば、そこまで強くないのだ。


 ただその再生能力がマジで面倒ってだけで。


 画面には切られた部位辺りが、シャワシャワと泡で包まれたようになって、すぐに腕が再生されている。動きは鈍いくせに、再生は早いんだよなぁ。


 『次、切ったらすぐ燃やせ!』


 『うっす!』


 まあ、予めバンチョフには再生するよーって教えておいたから。それなりに対策はしてあるだろう。情報は教えたけど、対応策までは聞いて来なかったから、教えてない。


 聞いてきたら答えるつもりだったんだけど、そこは自分で考える事にしたのか、それとも単にバンチョフがそれに思い付かなかっただけなのか。


 あいつならどっちもありえそうである。


 「燃やすのはやはり定番ですねぇ」


 「まあ、多少傷口を焼かれたところで、お構いなしに蘇生するけどな。多少ってだけで、しっかりと焼いたらその限りじゃないけど」


 「『少女KARA』の魔法使いは確か優秀やったな?」


 「まあね。魔力が少ないせいで、高火力の魔法をバンバン叩き込める訳じゃないけど、コントロールはそこそこ良かった。傷口を焼く程度なら出来るでしょ」


 「他にはどんな倒し方があるの〜?」


 「陽花が言ってたように溶かすとか。異世界には、そういう薬品は当たり前のようにあったからな。まあでも、これは評判が悪い。採取出来る部位まで溶かしちゃうからな。狭間はドロップアイテムに変換されるから、そんなの気にしなくて良いけど」


 後は凍らせるとか、一撃で殺し切るとか。心臓部にある魔石を正確に潰せれば、間違いない。


 異世界にいた剣聖のじじいは、細切れにしたりもしてたな。俺は採取する必要がないなら、一撃で消滅させてたし、採取するなら魔法で魔石を撃ち抜いていた。


 バンチョフの槍でも魔石の位置さえ分かれば出来ると思う。やっぱり教えてあげたら良かったかな。


 「一応倒し切ったね〜」


 「でも一体倒すのに時間が掛かり過ぎだ。戦闘音を聞いて、すぐに次が集まってくるぞ」


 ノロマだから、集まるスピードも遅いだろうけど。


 「少しの時間で話し合ってるな。やっぱり本人達ももっと効率的に倒したいんだろう」


 果たしてバンチョフ達は自分で効率の良い倒し方に気付けるか。それとも、今日の攻略が終わったら俺に連絡をしてくるか。


 どの道どのギルドも、今日中に狭間は攻略出来ない。『シークレット』が例外なのである。


 今日は明日からより効率的に戦えるようになる為に、肌で戦って情報収集がベストって判断するかな。


 「さーてイタリアの方はどうなってるかな?」

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