第231話 初日終了
「あ、ありがとうございました…」
「うむっ!! 中々楽しめたぞ! 俺様も勉強になった!!」
コメント
・うおーっ!
・すげぇ!!
・負けはしたけど、たんぽぽちゃんになんとか喰らい付いたのは凄いな
瑞樹君と公英の戦いは、当然公英の勝利に終わった。技術は目を見張るものがあるし、これからも『学習』で上がっていくだろう。
でもやっぱり肉体スペックがね。公英と合体したら物理最強探索者になれるんじゃないかな。瑞樹君も筋トレしよう!!
なんて筋肉菌罹患者みたいな事を言いつつ、初日のブートキャンプは終了。
実は瑞樹君の問題は簡単に解決出来る。魔道具を持たせれば良い。身体能力を向上させる魔道具ってのは、結構ポピュラーで低レベルの狭間の宝箱にも出てくる。
じゃないと、『剣術』とかの能力を持ってる探索者が上のランクで戦えない。どれだけ剣の達人でも、もやしじゃ意味がない。ある程度の身体能力は必須なのだ。
勿論、1級や2級の狭間で出る魔道具の方が、身体強化の倍率は良いけどね。
それに武器の効果で身体強化が付いてる場合もある。斬れ味アップとかのおまけでついてるんだよね。
「だから落ち込む事はないんだよ、瑞樹君。自分を鍛える事も必須だけど、そういう魔道具もあるんだから」
「本人に聞こえるように言ってあげなよ〜」
「そのうち自分で気付くでしょ。こういうのは自分で気付かせてこそだよ。少し考えれば分かるんだから」
伊達夫妻は瑞樹君を甘やかしたりしていないのか、魔道具を持ってたりしなかった。協会長って立場だったら、我が子の為に魔道具とか、お高い武器とか用意出来そうだけど。
まあ、狭間に入った事もないみたいだからね。それで1年足らずでここまで成長出来たのは凄いだろう。
いきなり武器や魔道具に頼りすぎも良くないし。その辺も考えて甘やかしてないのかと思う。
真面目な性格みたいだし、後数年もすれば体も鍛えて技術も更に上がって。良い探索者になるんじゃないかな。
「うちのギルドにスカウトしたいけど、所属先が決まってるんだよねぇ」
「うちは戦力が過剰気味なんだし良いじゃ〜ん。一つのギルドに戦力が固まりすぎるのは良くないって団長が言ってたでしょ〜」
「まあ、そうだけどね」
瑞樹君はある程度訓練したら、協会のお抱え探索者になる事に決まっている。甘やかしてない伊達さんだけど、そこはしっかり囲い込んでるらしい。
協会には『超回復』の真田さんっていうエースがいるけど、後継者もこれで確保出来た訳だ。
日本探索協会の未来は安泰だね。
「はい。皆さん、初日の訓練お疲れ様でした。今日は初日という事で、軽めの訓練で済ませましたけど、徐々に強度を上げていきますんで。しっかり休んで明日も頑張りましょうね」
「今日が軽め…」
「明日はそれ以上!?」
「予想以上にきついな…」
転がってる探索者達から悲鳴が聞こえた。みんなも普段から訓練してるんだろうけど、まだまだ甘い。もっともっと追い込んで、三途の川が見えるぐらいには頑張ってもらわないと。悲鳴を上げれてるならまだまだ元気だ。
人間、死ぬ直前ってのが一番伸びるんだよ。大丈夫。死んでも蘇生するから。蘇生を公にしたから、気軽に使えちゃうぜ。訓練効率もアップ。やったね。
コメント
・日本語以外何を言ってるか分からんけど、絶望してるなってのは分かる
・各国の名だたる探索者が死にそうになってるのは新鮮だなぁ
・本当に強くなりたかったらこれぐらいしないといけないって事か
「みんな可哀想に〜」
「余裕をぶっこいてるけど、お前達もだぞ。せっかくの機会なんだから、もう一段レベルアップしてもらおう」
俺がそう言うと『シークレット』の面々から表情が消えた。
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