第216話 日本風


 「それで〜? どうやって処分するか決めてるの〜?」


 「ああ。色々悩んだけどな。今回は日本風にいきたいと思う」


 残すところは馬鹿の処分だけって事になって、桜や他の面々はわくわくしてるように見える。君達はいつからそんな蛮族になったのかね。


コメント

・陽花お姉様の顔が爛々としてる…

・美しい顔なのに怖い

・長かった騒動もこれで決着かー

・日本風?


 「あ、グロいのが無理とか血が無理な人は見るのはお勧めしないよ。今のうちに画面は閉じておいてね」


 勿論配信はしてる。後々間違いなく歴史の教科書に載るような事件だからね。やはり映像で残しておいた方がなにかと良いだろう。


 人間は都合の悪い事を忘れる生き物だからね。今回の出来事をしっかり残しておいたら、今後馬鹿な事をする人間も減るんじゃないかって思惑もある。


コメント

・日本風の処刑?

・なんかあったか?

・グロいとか血が出るんだろ?

・うーん…思い浮かばんな

・ま、まさか…


 俺はアイテムボックスからポンポンと短剣を取り出していく。本当はドスみたいなのが良かったんだけど、流石に持ってないので。


 短剣なら腐るほどあるから。異世界のダンジョンの浅い階層で、滅茶苦茶出てくるからね。捨てたり売ったりしても良かったんだけど、忘れてたりしてアイテムボックスの肥やしになっていた。


 「よーし。じゃあみんな切腹しよっか」


コメント

・ひえっ

・そんな笑顔で…

・切腹かー…


 切腹。日本人なら一回ぐらいは聞いた事あるだろう。歴史の授業とかで出てくるだろうし。馬鹿な俺でも知ってるからね。


 簡単に言うと自分で腹を切れって事だ。責任を取って自害しますってやつだな。確か切腹はそういう時に使われたんでしょ?


 本来は介錯人というか、腹を切った後に首を斬って苦しませないようにするみたいだけど、そんな甘っちょろい事は許さない。


 苦しんで苦しんで失血死してくれたまえ。俺的にはこれでも甘いと思ってるしね。むしろ感謝してほしい。多分陽花の酸とかよりはマシだろ。


 切腹って言葉を聞いた途端に日本人の関係者は顔を青というか、真っ白にして絶望した表情になり、説明を聞いた他国の人間も同様だ。


 「切腹か〜。生で見るのは初めてかも〜」


 「そりゃそうだろ」


 むしろ実際に見た事ある人なんていないだろ。いや、裏の世界とかではやってるのかもしれないけどさ。普通に暮らしてたら見る事なんて絶対にない。


 「結構死ぬまでに個人差があるみたいですねぇ。刺し方にもよるんでしょうけどぉ。半日ぐらいは苦しむんじゃないでしょうかぁ。己の過ちを悔いながら、命の灯火が消えていくんですねぇ」


 陽花がスマホをぽちぽちしながら、切腹について調べてる。ちょっと俺も気になるな。見せて見せて。


コメント

・上手い事大動脈を切れたらすぐに死ねるだろうけど、無理なら半日ぐらいは掛かるだろうな

・ひよってちょびっとしか刺さない奴もいそう

・てか、そういう奴らが大半だろ

・そんなの使徒様が許す訳ねぇよなぁ?


 「じゃあ覚悟が決まった人から始めてくださーい。やらない人は無理矢理やらせますよー。自分のタイミングでやる方が俺は良いと思いまーす」


 俺は関係者一人一人に短剣を笑顔で手渡しながら言っていく。


 「俺が求めてるやり方じゃなかったら、何回も蘇生させてやり直しますからねぇ」


 短剣を渡した後に首に刺して楽に死のうとした奴がいた。俺はそれを止めずに、死んだのを確認してから蘇生してやった。


 俺にざまあみろみたいな顔をして死んでいったけど、許す訳なかろうに。何回でもコンテニューさせてやるよ。魂が持つ限りだけど。


 まあ、魂が摩耗するほど蘇生を繰り返してたら、それはそれで拷問だ。そっちが良いってなら止めはしないよ。


 生き返って再び絶望した表情をしてる奴を見るのは非常に面白い。何人かは切腹が終わった後に蘇生させてやろうかな。


 やっと苦しみが終わったと思ったらやり直しになるんだ。良い罰になるだろう。首謀者にはそうしよっと。


 「はい。じゃあ始めてくださーい」

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