第215話 集合


 「桜ちゃーん! 久しぶりー!」


 「七海ちゃんもー!」


 朝倉さんにお願いされて、日本から人員を転移させた。初めて体験する転移酔いにグロッキーになってる人がいっぱいいたけど、それはさておき。


 政府の人や日本探索者協会の職員、探索者を1000人単位で転移させて、みんな周りを見渡してなんとも言えない表情をしている。


 国土とかは復旧させましたよ? 全て元通りになってるはずです。まあ、中にはそんな関係なく、テンションが上がってる人もいるけど。


 『風神雷神』の毛利姉妹とか。早速女子で集まってきゃぴきゃぴしてる。


 「ほー。わい、中国来たの初めてやねん」


 「俺もですよ」


 『リア獣撲滅』の柴田さんも来てる。

 日本でも上位に位置するクランが二つも来て大丈夫なのかって思ったけど、日本は今の所4級の狭間までしかなくて暇だったらしい。


 万が一を考えて『風神雷神』と『リア獣撲滅』の二つしか上位ギルドは来てないけど、みんな来たがってたみたいだ。


 他にも中堅どころのクランが何個か来てるけど、早速手分けして崩壊しそうな狭間からどんどん攻略して行くらしい。


 狭間探知機を発明しておいて良かったね。既に大活躍である。


 「で、これがそうですか」


 「ええ。最後まで抵抗してましたが、無理矢理連れて来させてもらいました」


 出張してきたクランの代表と挨拶して、朝倉さんのところへ。なんだか目の隈が凄いなぁ。今度枕の魔道具をプレゼントしておこう。あれで寝れば気分爽快。疲れも吹っ飛ぶぞ。


 で、俺の目の前に手錠をされて転がってるのは、日本で今回の襲撃に関係していた政府やら企業の人間。リスト見ながら名前を確認して、処刑待ちをしている奴らが待機してるところに放り投げておく。


 「では織田さん」


 それが終わると世界各国を回って関係者を次々に転移させる。中には露骨に媚びを売ってくる国の人間もいたけど、とりあえず放置。


 自国の人間は関係してたけど、政府とは関係ないんですってのをアピールしたかったんだろう。あんまり興味がない。中国はモロに国主導でやってたから制裁したけど、それ以外は正直どうでも良い。


 関わった人間がいる奴らの国を全部処理してたらキリがないし、日本にも滅っ! ってしないといけなくなる。次はないぞと笑顔で警告しておいたから、後はなんとかしてくれるだろう。



 それから約一週間。

 関係者は全員集められて、そいつらからも聞き取り調査をして、もう関わってる奴らがいないか入念に調査した。実は逃げ切った奴がいましたとか、そういう面倒な展開とか求めてないので。一回でスパッと終わらせたい。


コメント

・うわぁ…

・リストを見て分かってたけど凄い人数だな

・やーいやーい嫌われ者ー


 騒動から時間が経った事もあって、配信のコメント欄は落ち着きを見せている。前までみたいに軽口とかも見られるようになって、ありがたい限りだ。


 因みに俺の扱いは今まで通りになった。日本で普通に探索者活動をさせてもらいます。まあ、当分海外遠征はなしかなーとは思ってるけどね。こんな事になったし。


 俺の事が危険だとか言ってた奴らは大体静かになるか、この騒動に関わってる奴らだった。それもあって、世間では今の所俺の事をどうこう言う奴らはいない。


 まあ、時間が経てば忘れてまた同じ事を繰り返すんだろうなとは思うけど。人間ってそうだもん。


 「さて。残りは君達だ」


 関係者の処分の仕方は俺に任せられている。中には自国の法律で裁きたいとか、寝言を言ってくる国もあったけど、そんなの許す訳がない。絶対逃げるし。


 ここまで生かしておいたのは今回の罪をはっきりさせて、俺は被害者だと世界中に分かってもらう為である。調査も終わったらもう用無しだ。


 潔く死んでもらおう。

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