第214話 お電話
「これ、あれだな。映画とかである略奪とか暴動とか起きそう」
ゾンビ映画とかで世界が崩壊すると、そういうのあるよね。地震とか被災地でもそういのがあるって聞くし、今この機会を狙って盗みを働きまくってるやつとかもいそう。取り締まる人とかほとんど居なくなっちゃったからね、多分。いや、軍人はいなくなったけど、警察は残ってるか。
俺の知ったこっちゃないけど。
そんな事を思ってるとぷるぷると電話が。
「織田です」
『お疲れ様です。朝倉です』
俺が知る限り日本で1.2を争う苦労人の朝倉さんからだった。どこぞのトラブルメーカーが、次から次へと問題を持ってくるからね。今もかなり忙しくしてるんじゃなかろうか。可哀想に。
『日本では織田さんの行為は何も問題ないという事で決まりました。反対というか、批判をしてた人も織田さんが挙げたリストに名前が入ってる人ばかりでしたからね』
「おお。それはありがたいです。最悪日本には戻れないかななんて思ってたんですけど」
『流石の政府も織田さんを手放すほど馬鹿じゃありませんよ。いえ、馬鹿は居たんですが…』
はぁとため息を吐きながらお疲れの朝倉さん。どうもすみませんね。面倒な事をしちゃって。俺も絶賛後悔中ですよ。
既にめんどくさくなってきてるから。早く帰ってダラダラしたいもん。
『つきましては織田さんにお願いしたい事がありまして』
「この状況をさっさと終わらせられるなら、大抵の事は頑張りますよ。どこかの国を滅ぼせば良いですか?」
ここで疲れてる朝倉さんに小粋なジョークを一発。少しでも精神的疲労を和らげてあげようという天魔君の心遣いだったのだが。
「ほんとに勘弁してください」
どうやら通用しなかった様子。すみません。
コメント
・使徒様がまた物騒な事を言ってる
・電話相手は誰だ?
・多分本部長の朝倉さん
・専属織田係みたいな役目を担ってるからな
・ひゃー。胃が10個あっても足りなさそう
「それでお願いとは?」
『織田さんの転移の力をお借りしたい。こちらでも精査しましたが、リストに名前が挙がっていた日本人は黒だったので、そちらに送りたいのと、政府からの人間、そして探索者も一緒に転移させて頂きたいのです。飛行機で行ってもいいのですが、今は少しでも時間を短縮したいので』
「なるほど」
気を取り直して詳しく話を聞くと、俺の転移能力を借りたいって話だった。馬鹿やらかした人物はもちろん、とりあえず現状を落ち着かせる為の政府の人間を何人か。それに探索者である。
中国をボコボコにした後に、国土を回復させたけど、次元の狭間の等級が低いのは今もどんどん生まれ続けている。
この国は軍人が全部狭間の処理をしてたけど、俺がほとんど殺しちゃったから、いずれ狭間が崩壊して魔物が外に溢れ出てしまう。
10級のなんて崩壊するのは早いし。探索者からしたら、雑魚な相手で学生でも処理出来る相手だが、能力を持たない一般人は違う。
早急に狭間を攻略する為に日本から少数だけど探索者を派遣するらしい。どの国も探索者の数は足りてないから、大勢とはいかないみたいだけど。
『もしかしたら他国からも転移のお願いがあるかもしれませんが…』
「それは日本が良いと言うならやりますよ。とにかくもうダルくなってきたんで、さっさと終わらせたいです」
他国からのお願いは日本が交渉して良い感じにしてくれたまえ。
よし。とりあえず働くか。今回の馬鹿みたいな騒動もようやく終わりが見えてきたな。
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前話の冒頭。
『めっ!』の部分を『滅っ!』に変えました。コメントを見てそっちの方がそれっぽいと思ったのでwww
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