第210話 情報収集


 俺達が瓦礫だらけの中国に居座ってから数日。マジックテントで寝泊まりして、お偉いさんが来るのを待っていたが、ようやく集まり始めた。


 お偉いさんだけじゃなくて、一般市民も集まり始めてる。話し合いがどうなるのか気になるんだろう。中には俺達に文句を言ってきた奴もいるが、そういう奴は永遠の眠りについてもらった。


 恨むなら上の人間を恨みたまえ。君達の上層部が俺達を襲撃するって、馬鹿な選択をしたんだから。


 それにしても。


 「結構な人数が集まってくるな」


 「社会の闇を見てる感じがするよね〜」


 俺は100人ぐらいかなって適当に思ってたんだけど、そんな事なかった。目算だけど、既に500人は超えてるし、中には中国在住の日本人もいる。やっぱり嫌われてるところでは、嫌われてるんだなぁと思いましたね、ええ。


 今回の襲撃の大元を画策したのは、中国上層部だけど、色んな国の思惑でも入り混じってるのか、日本人もいるし、他の国の人もいる。


 善人ムーブはちゃんとしてたのにな。それでもこんなに嫌われるのか。いや、善人だからこそ邪魔だったってのはあるかもしれんが。別に俺はムーブが善人だっただけで、そういう人間じゃないんだけどね。


 「うーん。醜い」


 「色々な人間がいるんだねって再確認出来るね〜」


 集まったお偉いさんや、関係者達の反応は様々だ。絶望したような表情をしてる者、殺意のこもった視線を向けてくる者。この期に及んで、未だに許されると思ってるのか、こっちに媚びを売ってきて利益を得ようとする者。


 馬鹿な人間の見本市をみてるようだ。


コメント

・うわぁ

・まさかの自国の人間がいる事に衝撃を隠せないんだが

・これ、やばくない?

・日本も標的にされちゃう?


 因みに配信は継続中。

 俺達がテントで寝泊まりしてる時は流石に止めてるが、起きたら配信をしてしっかりと世界にお届けしている。


 「さて。集まったけど、どうせまだこれが全員じゃないだろう。他国の人間がいるって事は、そこから指示してる奴もいるんだろうし。そこら辺はしっかりと聞き出さないとな」


 「これだけの人から情報収集するの〜? ちょっとめんどくさいね〜」


 めんどくさいのは確かだけどね。こればっかりは仕方ない。傲慢ルシファーで無理矢理聞いて、全員に関わった人間を聞いていかなくちゃ。今回に限っては一人も逃さんぞ。


 他国にいる人間はすぐに引き渡しを要求する。寄越さなかったら、その国に隕石をお見舞いしてやるって言ったら、渡すだろ。


 それでも渡さなかったら仕方ない。その国にも消えてもらおう。


 集まった人間に予め用意しておいた紙とペンを配っていく。で、傲慢ルシファーで、関係者の名前を嘘偽りなく書けって言えばいっちょ上がりよ。


 後は書き終わった紙を集めて集計するだけ。面倒な作業だけど、これが一番手っ取り早いと思う。


 俺が世界中に呪言を届けれたらこんな面倒な事をしなくても良いんだけどねぇ。残念ながら俺の魔力はそれが出来るほど多くない。


 「自分の実力不足を恥じるばかりです」


 「それで実力不足なら世界は破滅してるよ〜」


 現にこの国は破滅してますが。

 それはさておき、今回の一件で久々に大量の魔力を使ったからか、少しだけ最大魔力量が増えた。


 現代に帰って来て初めての成長である。そんな記念すべき成長が虐殺ってのは、なんとも残念な話だけどね。


 この増えた魔力量をしっかりコントロール出来るようにしないとな。ただ大量に魔力を持ってるだけじゃ、宝の持ち腐れ。使いこなしてこそである。


 魔力量は増えれば増えるほどコントロールが難しくなるけど、今までに何回も経験してる事だからね。日本に帰るまでにモノにしてみせよう。


 まあ、帰れるか分からないんだが。

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