第202話 デンキウナギ
デンキウナギに変態した神田さんはバチバチバチバチと雷光を纏っている。
「なんでこう、雷属性って心をくすぐられるんだろうね」
「がっはっはっは! 男のロマンだな!」
ほんとにかっこいいと思う。未だ心の奥底…いや、表層にある厨二心が疼くんだよね。俺も天使で合成魔法に成功した時は、かなり長い間雷魔法を愛用して、向こうで黒歴史を曝け出しまくっていた。
「私には分からない気持ちだね〜」
「言っておくけど、桜の糸もロマンの塊だぞ。糸使いに憧れない厨二病はいない」
まあ、俺の天使も厨二心を充分刺激してると自負してますけどね。天使とか悪魔とか、中学二年生男子には避けて通れない道だろ。
で、厨二病のレベルがどんどん上がっていくと、中級者辺りで糸ってのが選択肢に入ってくるわけだ。俺も水魔法を使って細い糸みたいな使い方をして楽しんだもんだ。
上級者とかになると一周回って拳銃とかに戻ってくるんだよな。
まあ、織田天魔の厨二病話はさておきだ。
今は神田さんのデンキウナギだ。
ビジュアルは置いておいて能力は一級品。
俺が渡した魔法首輪から特製の鎖を取り出して、ぶんぶん振り回してる。
あの鎖はうちの生産職の奴らが頑張って作ってくれた神田さんの専用装備みたいなもんだ。鎖の先端が尖っててそれを突き刺して体内に電気を流すって使い方をするらしい。
デンキウナギの本家はワイヤー付きの手裏剣みたいなのを使ってだけどね。神田さんはちょっと脳筋寄りの武器にしたらしい。
………最近公英と仲が良いけど、筋肉感染してないだろうな? このまま脳筋スタイルに変更してしまうかもしれん…。モンハナシャコとか肉弾戦でやり合ってたから、どうしても思考がそっちよりになったのかも…。
「シャーッ!!!」
ボスのなんたら蛇も神田さんを脅威と認識したのか、威嚇しながら突進してくる。
「はぁ!!!」
「ギシャーー!!」
神田さんは突進を避けて胴体に鎖を突き刺す。鱗がそこそこ硬いから、微妙にしか刺さらなかったけど、少しでも刺されば充分だ。
まあ、この刺すことすら中国軍は出来なかったみたいだけどね。それだけで神田さんがどれだけ成長してきたか分かるだろう。潜ってきた修羅場が違いますよ。
刺さった瞬間に神田さんは電気を流し込む。ボス蛇は悲鳴のような声を上げてるけど、流石にまだ死なない。
「もっともっと火力を上げていきますよー!!」
ボス蛇が暴れ回り始めたので、神田さんは胴体から鎖を引っこ抜いて距離を取る。で、また攻撃を避けつつ、隙を見て体に鎖を突き刺しては電流を流す。
「ギ、ギシャ…」
そんな事を繰り返してると、ボス蛇の動きが麻痺し始めて動きが鈍り始めてきた。
もうそうなればこっちのものだ。神田さんは武器を魔法首輪にしまって、即座にモンハナシャコに変態する。
一番変態回数が多い事でかなりスムーズに変態は完了して、既にパンチのチャージ状態。
ボス蛇はなんとか動こうともがいてるけど、麻痺してるせいでそれも出来ない。
「太陽パンチ!!」
神田さんの白光りした腕から放たれるパンチはボス蛇に直撃。
かなりの衝撃と共にボス蛇が消滅した。
「あのパンチって下手したら俺の結界を一枚ぐらいなら抜いてくるんじゃないかな」
直撃させられるならS級の魔物でも仕留めれると思う。勿論相性にもよるけど。下位竜ぐらいなら問題なくやれそうだ。
「やりましたっ!!」
ぴょんぴょこ跳ねて喜んでる神田さん。
1級ボスを危なげなくソロ攻略だもんな。
中国の軍を壊滅させた相手だってのに、良くここまで成長したもんだぜ。俺の指導の賜物かな。
でも結局モンハナシャコで仕留めたから、シャコ姉には変わらないよね。今回は撮影してないから大丈夫だけどさ。
シャコ姉脱却の為にカッコいい生物に変態して倒すとか息巻いてなかった?
まあ、デンキウナギで倒してもあだ名がウナギになるかもしれんが。
シャコとウナギ。
どっちが良いか俺には分かりませんね。
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