第200話 ご飯を食べながら
「って事で中国に行く事が決まりました」
朝倉さんとの話し合いが終わって、家に帰って来た。
「だんちょ〜の事だから拒否すると思ったよ〜」
「まあ、それも考えたけどな」
俺も正直、中国という国は好きじゃない。なんでって言われたら色々理由はあるけど。
あの国民性がどうしても好きになれない。あくまでも俺の意見ね。
でも好きじゃないからって拒否して、狭間崩壊で一般人が被害にあうのはどうかなと。
中国の人の中にも良い人はいるし、俺のいる日本にも馬鹿はいる。
バチカンとかアメリカみたいに、今の所俺には何の危害も加えられてないし、無礼な事をされてないのに、好きじゃないからって拒否するのはクズすぎるかなーと。
「団長殿は甘いな。確かに今の所は何もないが、行ったら絶対に何かしてくるぞ。あそこは日本の現状を良く思ってないからな」
「そうなんだけどさ。ワンチャンまともに対応してくれる可能性もない訳じゃないでしょ? ロシアだって警戒してたけど、割とまともだったし」
公英がどでかいステーキをフォークとナイフで綺麗に切り分けて、美味しそうに食べながら言ってくる。
あ、因みに今はみんなでご飯を食べてます。公英が警備員の人に良い肉を貰ったとかで、美味しくステーキに仕上げてくれました。
エプロンをつけてキッチンで料理をしてる公英には違和感しかなかったね。
色黒筋肉ハゲ達磨が、鼻歌を歌いながら料理してるんだぜ? 思わず動画を撮ってSNSに上げてしまうぐらいには、シュールで面白かった。
それはさておき。
公英はあんまり乗り気じゃないらしい。
日帰りでさっさと帰ってくる予定だから、なんならお留守番しててくれても良いよ?
むしろ俺だけの方が何かあった時に対処しやすい。
「向こうに着いてすんなり帰れるかが問題だよね〜。飛行機に細工とか平気でしてきそうだよ〜。帰りの飛行機で爆発したり〜」
「物騒だな。流石にそれはないだろ」
「そう言い切れないのがあの国の怖いところなんですよねぇ」
桜はステーキ丼をお代わりしつつがっつき、陽花はサイコロステーキをアテにお酒を飲みながら言ってくる。
みんな中国の事嫌いなのかな? 俺は別に嫌いではないんだけど。好きでもないってだけで。簡単に言うと興味がない。
日本と中国の仲が悪いとか、正直知ったこっちゃない。そういうのは政治家さん達の話で、一応ただの探索者である俺には関係のない話だ。
自分の影響力は理解してるけど、理解してるからこそ、馬鹿な事はしてこないんじゃないのって思ってるんだよね。
俺の考えが甘いのかな?
「私は新しく変態出来る生物が増えたので行ってみたかったんですけど…。皆さんがそこまで言うならちょっと不安になってきました」
「え? 初耳なんだけど」
「ついさっき出来るようになったんです」
ステーキの付け合わせのポテトを食べながら神田さんが言う。とうとうあの生物に変態出来るようになったのか。
漫画でも人気キャラだったからなぁ。
神田さんがどんな感じで変態するのか気になる。
「行くのは良いんだけど〜。万全の準備をして行かないとダメだよね〜。毒とかにも警戒しないと〜」
「そこまでやってくるのか?」
「分からないけど〜。そういう可能性もあるよね〜って話だよ〜」
なんか中国に日帰りで行くって話だけなのに、テロ組織のど真ん中に突っ込んで行くって話みたいになってません?
流石にそこまでしてこないんじゃないかって思ってるんだけど。異世界ならそういう国もあったけど、ここは現代だよ?
そんな事したら情報が一気に広まって非難轟々で国家としてやっていけなくなるんじゃないかなって思うのは、俺の認識が甘いだけなんだろうか?
うーん、なんか面倒になってきたなぁ。
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