第196話 雷神の鉄槌
「イタリアといえばパスタにピザだよな。これは外せない」
「ジェラートとか生ハムもあるよね〜」
なんて事を言いながらイタリア到着。
あんまり来たくなかったけど、こればっかりは仕方ない。サッと攻略してサッと観光してサッと帰らせてもらおう。
だが、嫌そうな顔を野次馬さん達にみせる訳にはいかない。満面の笑みで空港でお出迎えしてくれたみんなに手を振ったり、浄化をばら撒いたりする。
「だんちょ〜」
「ああ。いるな」
野次馬の中に紛れてよろしくない視線を飛ばしてくる奴が何人か。一般人に紛れてるつもりなんだろうが、高慢な感じが隠せていない。恐らくバチカン勢力だろうと思われる。
「まあ、こっちに手を出さないなら放置でいいよ。その代わり手を出した瞬間100倍返しにするけど。一応警戒はしとけよ」
「ういうい〜」
こんな公衆の面前で襲ってこないとはおもうが、あいつらは馬鹿だからな。やりそうな気もしないでもない。
「さてさて。見栄えの良い魔法か」
翌日。狭間の前で腕を組んで考える。
イタリアには申し訳ないけど、長居したくないので、今回は俺がスパッと攻略する予定だ。観光はするが。
だからせめてもの画を提供しようと、見栄えの良い魔法を使おうと思ってるんだが。
なんかこれと言って思い付くのがない。
「敢えて天使を全面的に押し出して、バチカンを挑発するか、禍々しい感じを出して神の代行者と思われてる幻想をぶち壊すか」
「イマジンブレイカーだね〜」
上◯君みたいな事を言っちゃいましたね。
でもなぁ。
悪魔系に憑依出来るのは隠しておきたい。
他の天使からも七つの大罪の悪魔に憑依出来るのがバレたら見せてくれって言われそうだし。
バチカンと縁を切れるかもしれないのはポイントが高いんだけどね。あいつらは本気で俺を神の代行者とか思ってるから。
間違いではないっぽいのが笑えるけど、あいつらの信仰してる何某の神の代行者ではないので。
「バチカンに喧嘩売る方向でいこうか」
うんうんと悩んだ結果、そういう事になった。って事で狭間に突入。
場所はなんか草原っぽい場所だ。これから使う魔法の事を考えると映えるし、ピッタリなロケーションである。
「カメラマンさんちゃんと撮って下さいねー」
「お任せを」
今回も撮影持ちの能力者をイタリアからお借りしている。ナルシスト臭がぷんぷんするが、ちゃんと撮ってくれるなら問題ない。
「
風魔法と水魔法が使える天使に憑依。
風と水の合成魔法は雷なんだよね。なんでかは知らん。
俺は手を真上に掲げて魔力を放出する。
すると、晴天だった天気がどんどん悪くなっていく。
あっという間に黒雲が出現して、上空ではゴロゴロと鳴っている。まるで神様が怒ってるようだ。
狭間内の魔物、今回は牛系の魔物も異常を察知して俺達の方に突っ込んでくるが、もう手遅れである。
「くたばれ。
俺が腕を振り下ろすと同時に地上にはあちこちで雷が降り注ぐ。しかも魔物を的確に狙って、俺達には被害がない。完璧な魔力操作で、使った俺が惚れ惚れしてしまうぐらいだ。
まあ、かっこよく言ったけど、追尾性能のある雷だとでも思ってくれれば。でも知らない人から見たら神罰に見えたりするんじゃなかろうか。
これをバチカンさんはどう見るかな。
天魔君がその気になれば、国でこれを使うって事を理解してくれれば良いんだけど。
無理かなぁ。理解できるならこんな面倒な事になってないような気がするし。
「うっひゃ〜! 天変地異だよ〜!」
「こんなの映画でしか見た事がありませんっ!」
桜と神田さんは大はしゃぎだ。そこまで喜んでくれるなら、もう少しサービスしたくなっちゃうね。
って事で、俺が腕を振ると少し遠くの方で竜巻が発生する。雷に大竜巻。もう大災害である。
「ひ、ひえっ」
ナルシスト系カメラマンが悲鳴をあげて尻餅をつく。なんか入る前まで余裕そうにしてたけど、それは痩せ我慢だったらしい。
「そろそろ良いか」
俺が拳をギュッと握ると、これまでの大災害が無かったかのようにピタッと止まる。
そしてあっという間に黒雲が晴れて、さっきまでの空が戻ってきた。
「これはひどいな! 地面がぐちゃぐちゃではないか!」
「素材回収は骨が折れそうですねぇ」
魔物が居るだけだった草原は、酷い事にかっていた。残念ながら普段使いは出来ない魔法ですな。
「桜さんお願いします」
「も〜。しょうがないな〜」
こういう時は素直に桜さんにお願いするに限る。糸を使ったら一瞬で回収出来るからね。すみませんがよろしくお願いします。
ささ。観光しますよ。
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