第194話 サーキット
「皆の者! 準備は良いか!」
「いえ〜い!」
「おう!」
「ええ」
「はいっ!」
「いざ行かん! サーキットへ!」
ロシアから帰ってくると、公英達三人が買った車が納車されていた。
ってなると行くところは一つ。サーキットしかありませんよ。
「出来ればゲームみたいに普通の道をぶっ飛ばしてやりたいけどな」
「普通に捕まるよ〜」
まあ、そうだな。間違いなく捕まる。
流石に使徒様ぱぅわーでもどうしようもない。まあ、サーキットでぶっ飛ばせるんだから良しとしましょう。
各々自分の車に乗ってサーキットへ向かう。本当は俺でも知ってる有名な鈴鹿のほうまで行きたかったんだけど、初めてって事で筑波へ。
まあ、正直リアルで車をぶっ飛ばせたらどこでも良いんだけどね。
「やっぱりこれだけのスポーツカーが走ってると目立つなぁ」
普通に交通ルールを守って筑波までの道を走ってるんだけど、5台も一緒に走ってたら目立つ。車好きの人達って改造とかしたりもしてるのかな? 俺達はほとんど弄ってないんだけど。サーキットで走れるようにしてもらっただけだし。
って事で筑波サーキットに到着。
専門の人にちゃんと指導してもらう。
流石に現実ではゲームみたいに車体をガシガシぶつけ合うなんて出来ないからね。
やって良い事、悪い事をしっかり教わって軽くコースを走らせてみる。
「うっひゃ〜! あたしのスープラちゃんが一番だよ〜!」
軽くって言ってるのに、桜は直線コースでぶっ飛ばす。あいつに恐怖心はないのかよ。
俺ですらこんな速度を上げても良いのかと不安になってるぞ。
「魔物の方が怖いよね〜」
「言われてみればそうか」
それとはまた違う恐怖心だろうが、確かにどっちが怖いと言われれば魔物の方が怖い。
ってか、魔王の方が怖い。あれより恐ろしい存在は未だに出会った事ないね。
「それにぶつかりそうになったら糸でクッション作るし〜」
「ぶつかる前提で話をするな」
やれやれ。事故なんて起こす気は毛頭ないぞ。初実戦で俺のランエボ君をおしゃかになんて絶対してやんない。
「がっはっはっは! 俺様は筋肉で解決してやる!」
「私は液体になれば問題ないですねぇ」
「私はっ…私は…」
「神田さんも無理に対抗しようとしなくてよろしい」
一応結界は張っておいてやる。
万が一事故っても体は無事だから安心してくれ。
慣れてきたところで、今度は二人並んでのレース。俺の横には真っ黒のアメ車。
公英がブオンブオンと吹かしながら、俺の方を見てる。
「ダッジの凄さを思い知らせてやろう!」
「日本車が最強って事を教えてやる」
まあ、公英は体格的に日本車に乗りにくいって理由もあるんだろうが。
「くそっ! 前でフラフラすんじゃねぇ!」
「仕方あるまい!」
スタートしてしばらく。
公英に先手を取られたが、コーナーやらで距離を詰める。で、そろそろ抜かせそうなんだけど、公英が曲がる度にフラフラするもんだから、ぶつけそうで抜けない。
馬力はあってもコーナリングがね。
まあ、本来はこういう走り方をするような車じゃないみたいだし仕方ないのかもしれんが。
「勝った! がっはっはっは!」
「釈然としねぇ」
俺がもっと攻めれば良かったんだろうが、ぶつけたくなかったし。それでドヤ顔してる公英には腹が立つ。
「スープラちゃんは世界一〜!」
「は、速すぎますっ!」
「楽しいわねぇ」
ここで一番楽しんでるのは桜だな。
ビュンビュン飛ばしてる。神田さんは少しおっかなびっくりって感じで、陽花はただ気持ち良く走ってる感じだ。
「楽しみ方は人それぞれって感じか」
「そうだな!」
それでも、どうしても勝敗をつけたくなるのは人間の性ってやつかね。
「公英! もう一回やるぞ! 次はぶち抜いてやる!」
「受けて立とうじゃないか! ダッジと筋肉の奇跡のコラボレーションをみせてやる!」
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