第188話 ロシアへ
「ロシアさんよー。狙ってやってるのか? タイミングが悪すぎるんよ」
「ほんとにね〜。やっと現実でかっ飛ばせると思ってたのに〜」
俺達の気分はもうサーキットなんだ。
まもなく納車ってところで、攻略要請なんて、狙ってやってるとしか思えませんよ。
「どうするの〜?」
「条件もまともだし行かないとだな。後回しにしても、純粋にサーキットで楽しめないだろうし」
はぁ。やれやれ。
ロシアかぁ。もう俺がスパッと攻略して速攻で終わらせちゃおうか。
ロシアの狭間も、四人を成長させる為には中々悪くないんだけどなぁ。
「わはははは! ロシア到着!!」
なんて色々言ってたものの、それはそれ、これはこれ。
さっさと準備してロシアに飛んだ。
だるいなーとか思ってても、いざ到着してみればテンションは上がるもので。
いつも通り空港で野次馬さんのお出迎えだ。
「ロシアの人は綺麗な人が多いね〜」
「肌が白くて妖精さんみたいですっ!」
野次馬対応しながら、周りを見てみると確かに綺麗な人が多いな。
でも歳をとったらぶくぶく太っていくって聞いたけど、その辺はどうなんでしょうね。
単に体質の問題なのか、それとも不摂生なのか。それは分からないけど、俺は桜達の方が綺麗だなって思いますよ。
「さてさて。元気に攻略していくぞー」
翌日。早速狭間に向かって攻略開始。
既に情報は共有してある。
「よ、よ、よ、よろしくお願いします!」
で、どうやら前回の俺が頑張って撮った動画はネットでは不評だったので、今回はロシア側に撮影の能力を持ってるひとを用意してもらった。
大村さんに来てもらうのが一番なんだけどね。あの人は一応日本の探索者協会所属だから。そう簡単に連れて来れない。
ペルーの時は非常事態って事で無理を言ってお願いしたけどね。
で、ロシアにお願いしたんだけど、この撮影持ちの人は普段は趣味で能力を使ってる、所謂インフルエンサーとやらで、狭間に入った経験は皆無。滅茶苦茶緊張してらっしゃる。
初めの頃の大村さんを思い出しますねぇ。
『シークレット』にも撮影持ちの能力者が欲しいんだけど、中々日本で見つからない。
別に国籍は指定してないから、日本人じゃなくても良いんだけどね。
それはさておき。
そのうち慣れるだろうと思いつつ、目の前の魔物を見る。
場所自体は普通の森だ。
何故ここを禁忌領域にしたのかというと…。
「臭いが酷いね〜」
「吐き気がしますっ!」
ただ単に臭いからだ。
俺が近付きたくなかった。
そのくせ、対処を誤ればS級冒険者でも命が危ない場所ときた。魔物自体は強くないけど、ひたすら面倒。そんな場所なんだよね。
「公英、お前の横にある木も魔物だぞ」
「のわっ!!」
ここは植物系の魔物の宝庫。
素材も優秀で、森を丸ごと燃やして処理するのも勿体ないななんて思ってたんだ。
でも狭間になってくれたのなら話は別。燃やして良いなら、楽ちんちんだ。
どんな殺し方をしてもドロップアイテムを確保出来るからね。最低でも魔石はゲット出来る。
「だんちょ〜。この臭いの大元はなんなの〜?」
「ラフレシアと幽霊が合体したみたいなやつ」
名前は知らん。
元はドリアードっていう魔物だったらしいけど、そこから意味の分からん進化をして、悪臭を放つ害悪魔物になった。
あいつの使う植物魔法はかなり強力だぞ。
森に根付いて、この森を支配してるからな。森のどこにいても、ここにある植物を使って攻撃してくる。
「だんちょ〜の魔法で終わらせな〜い?」
「どうしようかな。特殊な敵との戦闘も良い経験になると思うんだけど」
「私と公君は幽霊が相手だと攻撃出来ませんっ!」
「いや、幽霊擬きだからちゃんと実体はあるぞ。だから大丈夫だ」
ふむ。まずはちょっと四人で戦ってもらうか。そこから様子を見てどうするか決めよう。あっさり攻略しても良いけど、せっかく撮影者を用意してくれたんだから、それなりに良い画をお届けしたいしね。
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