第179話 月
「これまでのワイバーンと違って賢いですねぇ」
陽花が適度に水分補給しながら、酸を飛ばしていく。翼膜を狙ってるんだが、イビルワイバーンはスピードを活かして避けたり、体の頑丈な部分で受け止めて翼膜に酸が当たらないようにしている。
「もっと強力な液体を生成するしかありませんか。桜ちゃん、ちょっと時間を稼いでください」
「合点承知〜」
桜は糸弾をボスに向かってぽんぽこ撃って陽花に近付けないようにする。あの糸弾ももう少し改良の余地があると思うなぁ。
糸弾に糸をくっ付けて、追尾性のある糸にするとか。ホーミングさせる事が出来るなら、翼膜なんて簡単に撃ち抜けると思うんだけど。そういうのは難しいのかしらん?
「なるほど〜。考えた事無かったよ〜。試してみよ〜」
って事で早速教えました。
桜が自分で気付くのを待とうか迷ったけど、こういうのって、気付かない時はとことん気付かないからな。外から見てる奴の方が分かる事はいっぱいある。
「う〜ん。操作が難しいな〜。一つ二つならなんとか〜。慣れるしかないね〜」
「桜ちゃん、ブレスだわ。なんとか防いで」
「お姉さん無茶振り〜」
陽花は液体の生成が忙しくてブレスに対応する暇がない。桜に対応を丸投げ。
桜は苦笑いしながら、全身から糸を出す。
「耐熱仕様の糸カーテンだよ〜」
そんな事を言ってブレスを明後日の方向へ受け流す。まあ、俺が居る場所ですね。
わざとですか? 俺はカメラの操作に四苦八苦してるというのに。一応憑依はして、やばそうになったら介入は出来るようにしてあるが、基本的にこの狭間はオフの予定だったってのにさ。
まあ、俺の尻拭いをさせてる感じだから申し訳なく思ってるけども。でもほら、みんな成長出来るから良いよねの精神。
この狭間を攻略し終わったら、この四人は更にレベルアップしてる事だろう。
俺はこっちに受け流されたブレスを天使の翼をファサリとして消し去る。
トカゲのブレスなんてこれで充分よ。中々の強キャラムーブだったのでは? 残念ながら俺が撮影してるから、そのシーンを撮れなかったけど。
「ちぇ〜。ちょっとぐらい焦げた方が面白いかったのに〜」
「確信犯か。カメラが壊れたらどうするんだ」
全く。お高いんですよ、この機材は。
電気屋さんで言われるがままに買っただけだけど。お金持ちだけど、物を無駄にして良いって訳ではない。後でお説教してやる。
「準備出来たわぁ。いくわよぉ」
そうこうしてるうちに、陽花が手の中に液体を生成し終わっていた。
紫と緑が混ざったようなとても見た目がよろしくない液体だ。なんだろあれ。
陽花は自分で取り込んだ液体をそのまま出すだけじゃなくてアレンジして出したりするからな。あれがなんなのか予想も出来ん。
陽花はそれをボスの上にまばらにばら撒いた。どこに逃げてもとりあえず当たるようにって事だな。
「えっぐ。なんだあれ。当たった瞬間に爛れてるじゃん。イビルワイバーンの皮って結構耐久性あるのに」
酸なんだろうか? いや、なんか苦しみながら落ちてきたぞ? 毒? 即効性が高すぎない? ワイバーン系は自身が毒を持ってる事もあって、毒耐性は強いんだけど。
「がっはっはっは! 落ちてきたぞ! チャンスだ!」
「あの液体に触れても大丈夫なんでしょうか?」
墜落してきたボスに公英は待ってましたとばかりに突っ込んで行った。
神田さんはあの液体に触れても大丈夫なのか分からないからちょっと躊躇してる。
「人間には害はないわよぉ」
「あの液体の色でそれはあり得ないと思うんですけど…」
神田さんはそう言いながらも突っ込んで行った。君も結構極まってるね。パンピーなら、害がないって言われても触りたくないと思うけど。
「前回は七海にトドメを持って行かれたからな!! 今回は俺様が首を吹き飛ばしてやる!」
七海とな? やはり君達二人は仲良くなってらっしゃるね。よきよき。俺は後方腕組みおじさんで暖かく見守らせてもらおう。
結婚式には呼んで下さい。そういう仲なのかは知らないが。
「月パーンチ!!」
なんだそれ。
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