第177話 ライダー
「だんちょ〜! みてみて〜!」
「ワイバーンライダーか」
イギリスの狭間を攻略し始めて一週間。
休みなしで毎日入ってる事もあって、『シークレット』の四人組はワイバーンにあっさりと慣れた。
単独で倒すのにはかなり時間が掛かるが、四人で協力すると、三分掛からず始末出来る。強くなってくれて天魔君は大満足です。
ワイバーンって飛んでるのと、尻尾の毒針が厄介なだけで叩き落としさえすれば、そこまで脅威じゃないんだよね。
桜が糸で、陽花が酸で翼を破壊して地上にワイバーンを落とす。後は公英か神田さんが、顔面パンチでKOである。
で、討伐に慣れてきたのか、桜がワイバーンの首に糸を巻き付けて飛び乗った。
そのまま首付近に跨って、ワイバーンライダーごっこをして遊んでいる。
遊ぶ余裕まで出て来ちゃったのである。
「桜ちゃん! 私もやりたいですっ!」
「がっはっはっは! 俺様も乗りたいぞ!!」
魔物を手懐けられたらなぁ。
ああやって遊ぶ事も出来るんだが。
確かハリーポッタ◯にもドラゴンが出て来てたはず。ホグワーツにワイバーンを常駐させたり出来たら面白い事になると思うんだけど。
残念なことにテイム系の能力は異世界でも見た事も聞いた事もない。
魔物とは相容れないって事なんでしょうかね。『召喚』は結構見るんだけどな。
昔はドラゴンを手懐けようと躍起になったけど、結局無理だったしなぁ。
あ、でもフェニックスとは仲良くなれたな。相性とかあるんだろうか。
まあ、それはさておき。
「おおーい! 俺も乗せてくれー!」
自分で飛べるけどね。
やっぱり空をこういう風に飛べるのはロマンですよ。
「なんかアメリカが怒ってるな」
「逆ギレだよね〜」
夕方になったので、今日の攻略は終了。
今日も狭間の前でたくさんの野次馬の対応をしつつ、ホテルへ帰る。
で、今日撮った動画をノーカットでそのままアップしてスマホを見ると朝倉さんから連絡があった。
どうやらアメリカさんが激おこぷんぷん丸らしい。うちと交渉中なのに、他の国に攻略しに行くのは非常識だとか言ってるらしい。
因みにバチカンはいつも怒ってるので相手にしない。放置である。
「非常識って。自分達の事を棚に上げないでくれます? って感じなんだけど」
そりゃ俺は普段はちゃらんぽらんな人間ですけどね。狭間関連に関しては人類の為に色々行動したりして頑張ってるんですよ?
あんな舐めた条件で攻略してもらおうなんて虫が良すぎるでしょうよ。詫びもない。条件はクソ。どっちが非常識かは世界の皆さんもお分かりだと思うが。
「困るなぁ。あそこはマジで崩壊前に攻略しないと面倒なんだけど」
「こっちから手を出さなかったら、スライムは何もしてこないんですよね? それなら正直崩壊しても大丈夫なんじゃないですか?」
「甘いよ七海ちゃ〜ん。絶対外に出て来たら手を出す人が居るよ〜」
「だな。スライムってのは、ゲームの影響なのかどうしても舐められがちだ。余裕で勝てると意味の分からん自信を持った奴らが突貫するのは目に見えてる」
なんでアメリカに出現するかな。
もっと物分かりの良い国に出現してくれたら良かったのに。
「本当に滅びちゃうかもね〜」
そうなった方が人類の為かもしれんな。
こういう時に変な意地やら見栄を張られると、本当に困る。
魔王の脅威に晒されながらも権力闘争をしてた異世界の馬鹿な宗教国家みたいだな。
あの時は上層部やらを爆撃して消したけど、今回はスライムさんに消されるかも。
でもそうなったらそうなったで、領地を巡る争いになりそうだな。
人間だもの。絶対そうなる。
「アメリカの上層部を全員暗殺しようかな」
「だんちょ〜の仕業ってバレそうだよね〜」
そうだよな。そういう事が出来る実力者ってのは限られてるし、アメリカと揉めてる俺は間違いなく容疑者第一候補だろう。
流石の俺もここからピンポイントで魔法を撃って当てる事は出来ないからな。
大雑把で街ごととか吹き飛ばして良いなら出来るかもだけど。
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