第176話 イギリスの狭間
「ええっと。ホグワーツはどこにあるのかな?」
イギリスに到着した。
俺はイギリスについてあんまり詳しくないので、飛行機の中でハリーポッタ◯を見て勉強しました。これでロンドンの事はばっちりだぜ。
「まだ完成してないよ〜」
「くそ。来るのが早すぎたか」
いつもの野次馬のお出迎えをこなして、狭間を見に行った。やっぱり違和感があるので、禁忌領域なのは確定。
実際に入った探索者達の情報から、多分あそこだろうなって目星はついてる。
これで明日からは攻略に向かう訳だけど、ホグワーツを見てみたいなと思って、場所はどこなのか聞いてみたんだけど。
まだ完成してないらしい。
お前は何を馬鹿な事を言ってるんだと思ってるだろう。実は一昨年ぐらいから、実際にホグワーツを建設してるらしいんだ。
能力なんて不思議なのが出てきて、狭間出現初期の頃はそんな事してる余裕はなかったけど、段々生活にも慣れてきて。
どこかの会社が実際にホグワーツを作ってテーマパークにしようと考えたらしい。
素晴らしい考えだと思います。
お金が足りてないなら是非声をかけて欲しい。喜んで出資させてもらいますよ。
技術者の関係でちょっと難航してるらしいけどね。お世辞にも生産系能力者の技術は高くないし。簡単になら真似できるらしいけど、出来るだけ忠実に世界観を再現しようとしてるらしい。素晴らしいと思います。
日本の生産者学校へ留学はいかがでしょう? 技術交流なんかも出来たら良いなと思うし、日本人はそういう魔改造得意よ?
是非ご検討お願いします。
「日本も映画を再現した何かを作って欲しいな」
「だんちょ〜が作れば良いじゃ〜ん。お金はあるんだしさ〜」
なるほど。それもそうだ。
そういえば『スキナー』の上杉さんの召喚能力を使って怪獣映画とか作りたいとか思ってたんだっけ。まずはそういうのからやってみようかな。
俺はお金を出資するぐらいしか出来ないけど。演技云々はパスね。恥ずかしいからしたくない。
「SF映画とか撮るなら天使とか居たら盛り上がると思うけどな〜」
「嫌だ。まじで恥ずかしい」
「動画で攻略動画が流れてるんだから今更じゃ〜ん」
「それはそれ。これはこれ」
それに俺は出演するんじゃなくて楽しみたいの。俺が出たらネタバレになって楽しめなくなるじゃん。帰ったら多分暇だし、早速広報部の奴らと相談しよっと。
「はい。という訳でね」
やって来ました特級の狭間、禁忌領域。
「アメリカのグランドキャニオンみたいですっ!」
神田さんが興奮気味に言ってる通り、ここは大峡谷なのである。
元は普通の荒野だった。魔物達がうようよいたけど、こんな大峡谷ではなかった。
だけど、どこぞの天使がここで魔王四天王と激突。好き放題魔法やらをぶっ放すもんだから、大地は抉れに抉れて、こんな事になった。傍迷惑だよね、ほんと。
それだけなら禁忌領域にする必要はなかったけど、俺が激闘の末、魔王四天王を撃退すると、いつしかここにワイバーンが住み着いた。俺はラッキーと思ったね。
あいつらはA級の冒険者なら倒せるから、危険って程でもない。でもワイバーンは美味しいんだ。美味しいから人気がある。
ドラゴンみたいにS級冒険者を引っ張り出しても勝てるかどうかみたいな相手じゃない。
だからワイバーンが見つかると、貴族や金持ち達はA級冒険者に高額の依頼を出して狩って来てもらう訳だ。
俺は独占したかった。好きな時に好きなだけワイバーンを食べたかった。
だから結界を張りました。ここは禁忌領域ですよと世界中に布告して。
どうも。クズですみません。
そのせいでこちらの世界に迷惑を掛けちゃったみたいで。しかも、結界を張ってから一回もここに来てないっていうね。
俺が終の住処と決めて住んでた魔の森にはドラゴンとか居たから。普通にワイバーンより美味しいので。それならわざわざそこまで行かなくても良いよねって。
魔の森を見つけたのは、結構遅かったからなぁ。仕方ないんだ。ごめんちゃい。
「で、俺が一向に狩りに来ないもんだから、好き放題繁殖してワイバーンがうようよ居るって話よ」
「だんちょ〜の尻拭いって事〜?」
そうとも言う。
俺もこっちに出現するまで存在を忘れてたぐらいだからね。
でも現代にワイバーンの素材やら肉を供給出来ると思ったら悪くないのでは?
異世界では中級者から上級者の定番装備でしたし? こっちでも役に立つんじゃないかなと思います。
「はい。じゃあ元気に攻略していこー」
あ、俺は今回カメラマンね。
アメリカの狭間はまともな要請が来たら俺が攻略しようと思ってるけど、ここはそんなに強くない。所詮ドラゴン擬きのトカゲである。
更なる四人の成長の為に、俺は心を鬼にして撮影させて頂きますよ。
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