第167話 攻略終了
「頑張ったなぁ」
ペルーの狭間を攻略し始めて一ヶ月が経過した。今は四人でボスの吸血鬼と戦い終わったところだ。
あっちの世界では吸血鬼もアンデッド扱い。てっきりリッチ・キングがボスだと思ってたけど、吸血鬼が出てきた時はびっくりした。
高耐久再生持ちで遠近両用の戦闘スタイルはかなり厄介。ここでの一ヶ月の成長がなければ、桜達はあっさりやられてただろう。
魔王四天王の一人も真祖の吸血鬼だったしな。あいつは強かった。二度と戦いたくない。消し炭にしても復活してくるとかバグだろ。今回の吸血鬼は低位だったからなんとかなったが。
「お疲れお疲れお疲れーい。マジで四人だけで攻略出来たな」
「「「「………」」」
俺がテンションを上げて四人に話しかけに行くが、誰も返事してくれない。
全員が倒し終わった後その場に転がったからな。普段は外からの見た目を意識する陽花ですら服をボロボロにして転がっている。
かなりえっちぃ。放送ギリギリである。
そろそろ防具ってか、ちゃんとした服を着せるべきなんだろうな。今まで普通の服で挑んでたし。それもおかしいんだけど。
禁忌領域を攻略出来たし、今更いらないだろと思うかもしれないが、禁忌領域の難易度はピンキリなのである。
ここはかなり易しい方。俺が福岡で攻略した魔族の方が全然強い。
帰ったらちゃんと考えてみよう。
大村さんに編集でやらしくならないようにお願いしますねと言いつつ、俺はドロップ品を確かめる。宝箱は開けない。これは攻略者達の楽しみだからね。はてさて何がでるやら。
「うぅ〜。体中が痛いよ〜」
「がっはっはっは…。これで俺様の筋肉は一段上へと昇華された」
「アルコール…。アルコールが足りてません」
「皆さんっ! 宝箱を早く開けましょう!」
時間にして15分。ようやく四人は再始動した。その間、俺は大村さんとぴーちくぱーちく雑談していた。今回の攻略に感動したらしく、大号泣してたからな。感受性が豊かなんですね。
それにしても神田さんは復活が早いな。公英ですら笑い声にいつものやかましさがないのに、なんかめっちゃ元気になっとる。
神田さんがここまで成長出来るってのは良いね。これからの人類の希望になる。ガチャ組じゃなくてもやれるってのが分かった。
俺が指導してるからか成長も早い。俺は異世界で何から何まで手探りだったからなぁ。
あ、それとボス攻略の前に探索は全て終わっている。宝物庫には大量の金銀財宝、なんか豪華な武具、呪われてるのもあった。
それは全部ペルーに売却だ。あ、呪われてるのは俺達で回収するけど。
俺の悪口が書いてある紙も見つけた。ご丁寧に状態保存の魔法まで掛けて。そっこー消去したけど。異世界語だからバレないと思うけどね。翻訳されたら面倒だ。出来るか知らないが。
攻略で得た素材やドロップ品、採集したモノは攻略した探索者のものだ。
だから全部俺達の取り分にしても良いんだけどね。みんな特にいるものはなかったみたいで。それなら売ってお金にする事になった。売却するならその地の探索者協会でって契約だし。
今回俺はほとんど何もしてないから取り分無しだ。きっちり売却した額を4等分して、みんなに渡す予定である。まぁ、ガチャ組のお金は結局俺が管理してるんだが。
最近ようやく自分用のクレジットカードを持つという事をしてくれたぐらいだ。
それまでは俺からお金を貰うか、俺のカードを持ち出すかだったからね。
そんなにお金を使わないってのもあるが。
まぁ、それはさておき宝箱だ。
何が出るかな何が出るかな。
「おっきい魔石がたくさ〜ん」
「ふむ。これは鉱石か? 鈍い金色だ」
「こっちは薬草ですねぇ」
「これは糸でしょうか?」
宝箱の中身は素材パックみたいなもんだった。今までの人類ではお目にかかった事がないようなモノばかり。
魔石はさておき、公英が持ってる鉱石はオリハルコンだし、陽花の薬草はエリクサーの材料、糸はアラクネ・エンプレスの糸。
どれもこれもかなり良い素材。異世界でもそれを全部売れば三代豪遊して暮らせる。
かなり良い宝箱だと思うけど、問題は現代の生産職がそれを扱えないだろうって事だな。
それを使うのは当分先になるだろう。少しずつ持って帰って、うちの生産職のお土産にさせてもらおう。
狭間から出ると大賑わい。
攻略宣言をして長かったペルー攻略も終了だ。皆さんお疲れ様でした。
宗教勢力だが、つい最近姿が見えなくなった。どうやら本国の奴らに強引に連れて帰られたらしいけど、うるさかった奴も連れ帰った奴も俺に謝罪の言葉は無し。
普通は迷惑をかけたんだから、詫びがあっても良いと思うんですけどねぇ。
ロリ女神さん。狭間の出現お願いしますぜ。
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