第148話 帰国
「カムバックジャパンヒーハー!」
観光旅行から日本に帰国した。
いやー、結局韓国には結構長めに滞在しちゃったね。やっぱり観光は良い。ギルドのみんなにもいっぱいお土産買ってきましたよー。
「なんですかこの韓国海苔の量は」
「いや、安かったから買い溜めしとこうかと」
食堂に韓国海苔を大量に持ち込んだら、呆れた顔をされた。向こうで過ごしてる間にすっかりハマっちゃって。
「普通にスーパーに売ってますよ」
「本場の韓国海苔はまた違うから!!」
風情がない事言わないの。韓国で買った事に意味があるんだ。そんな事に言うとあげないよ?
こんなに美味しい韓国海苔が食べれないなんて地獄だよ?
「同じのがスーパーにありますし」
「もう! 天魔君怒るよ!!」
『料理』の能力持ちにあるまじき思想。
確かにこれも韓国のスーパーで買ったけども。
なんか向こうで仕入れた方が凄い感があるでしょ? ミーハーとか言わない。
「ポテやーい」
「にゃにゃ」
台湾・韓国観光旅行から帰って来てまず確認したのは、ポテが太っちょになってないかどうか。
今回はしっかり釘を刺しといたお陰か、前回程酷くはない。それでも太っちょ気味だが。
「これなら軽く運動したら戻りそうだな」
「にゃーお」
部屋に転がってた猫じゃらしみたいな玩具を目の前でフリフリしてポテと遊ぶ。
あー癒されるな。観光疲れを癒す為にもちょっとの間は引きこもらないと。
「だんちょ〜。朝倉さんが来てるよ〜」
「そうでした」
ダラダラしようと思ってたのに。そういえば朝倉さんが来るって言われてたのを忘れてた。
仕方ない。応接室に行こう。朝倉さんには普段からお世話になってるからね。頭が上がりません。
「ポテちゃんおいで〜。お土産あげるよ〜」
「にゃおーん」
甘やかしすぎるなよー。
「まずは狭間探知機ですね」
「ほう。これはこれは」
朝倉さんと応接室でお話し。
まずは狭間探知機について。
世界探索者協会が管理する事になったらしい。
『シークレット』には年間レンタル料が頂ける。
まぁ、ほとんど山田花子さん行きだが。
「結構な額をもらえるみたいで」
「はい。狭間を探すのに使っていた諸々の面倒が無くなる訳ですからね。これぐらいは当然かと」
交渉頑張ってくれたんだろうなぁ。
伊達さんには感謝です。ただの隠れオタクじゃないって事を見せつけてくれました。
「そして生産者学校についてですが」
「はい」
これも俺が台湾・韓国に行ってる間に話が進んだらしい。前回言ってたように、岩手、千葉、京都、福岡。それに鳥取もプラスして、設立される事が正式に決定したらしい。
今は場所の選定をしてる最中。
「生産ギルドの協力も得られる事が出来まして」
「渡した素材が役に立ちました?」
「それはもう」
その辺の交渉は朝倉さんにお任せしてたんだけど、交渉を有利に進める為に、俺がいくつか食い付きそうな素材を朝倉さんに渡してたんだよね。
貴重な薬草やら、鉱石やら、魔道具やら。
まぁ、俺からしたら異世界でいつでも拾える程度のものなんだけど。アイテムボックスの中に大量に死蔵してある。俺が長い間引きこもってた魔の森は素材の宝庫だしね。
一時暇潰しに採取とか採掘してたのが役に立ちました。
協力してくれたら、この素材を少し融通するのもやぶさかじゃないよと囁いてやれば一発よ。
生産系の奴らは見たことない素材とかに弱いからね。天魔君の掌の上でコロコロと転がるがいい。
「後日織田さんには顔合わせして頂けたらなと」
「勿論です。俺も興味ありましたからね。なんならこっちから向こうのギルドに行って、どんな感じなのかを見せて貰いたいぐらいです」
「ではそのようにお伝えしておきます。織田さんの電話番号は先方にお伝えしても?」
「はい。お願いします」
俺は生産に関しては素人同然だけど、異世界知識がどこかで役立つかもしれん。
一回見てみたかったんだよね。あ、うちの生産組を連れて行ってみようかな。良い刺激になるかも。
「そして最後がペルーの事についてですね」
「ああ。要請きました?」
「はい。面倒な事は何もありません。今回はカメラマン以外の同行者も居ないので、普通に攻略して頂いて大丈夫です」
「おっ、それはありがたいですね」
育成ゲームも面白いけどね。
他国の人間を育てるぐらいなら、日本の探索者育成にもっと力を入れたい。
で、その探索者達が他国の探索者を育成してくれたらいい。なんでもかんでも俺がやると疲れる。
「すぐに行かないとダメです?」
「いえ。崩壊するまでに攻略して頂ければ」
それは良かった。
せっかく日本に帰ってきたばっかりなのに、また他国に行かないといけないのかと。
いや、観光に行けるのは嬉しいんだけどね。
メリハリが大事よ。
ずっと飛び回るのは疲れちゃう。
「じゃあちょっと休憩してから行きますかね」
「お願い致します」
その後も軽く雑談した後、朝倉さんは帰って行った。追加で『疲れを吹っ飛ばせ薬』をお願いされたけど。相変わらず忙しくしてるらしい。
本当に大丈夫なんだろうか。あの人ずっと働いてるよね。
「ペルーね。ちょっと観光スポット調べておかないと」
あ、生産ギルドの人間に会うなら、アイテムボックスの中身も整理しとかないとなぁ。
何かの弾みでぶっ壊れ魔道具とか、素材を出してしまったら面倒な事になりそうだ。
「部屋丸々一室を金庫にしたのに、整理するのが面倒で使ってないし」
今回が良い機会と思って整理するかね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます