第147話 韓国観光


 「うーん。まぁ、この辺が限界か」


 期限の1週間が経った。

 『シークレット』の面々は戦う度に動きが洗練されていって、オーガを倒す速度も上がっていったんだけど、韓国のギルドはソロで倒せる様にはならなかった。まぁ、二人でなら勝てる様になったんだけど。


 「もう少し時間があればな」


 最初は早く1週間過ぎろと思ってたもんだけど、ずっと教えてると元が弱いからか、どんどん成長していく。それを見てるのが面白いんだよね。

 育成ゲームをしてるみたいで。


 「観光もしたいし仕方ないね」


 俺は慈悲ミカエルに憑依して、光魔法を乱射する。

 この1週間でみんなが結構倒してくれてるから道中は楽だな。1級だからそれなりに広い迷宮だけど。


 「そしてボス部屋に到着」


 「だんちょ〜って何級の魔物でも同じ様に倒すよね〜」


 「大差ないからな」


 ゴブリンだろうが、オーガだろうが。

 頭を貫けば死ぬし。




 「はい。観光スタート」


 なんのドラマもなくボスも討伐し終わった。

 あっけなさすぎて申し訳ない。韓国のギルドの人達はもう笑ってたね。台湾より順応性があるんじゃないかな。


 で、素材は協会に卸して観光。

 韓国も楽しそうな場所が色々あるんだぜ。


 「南大門市場だーい!!」


 まずやって来たのは南大門市場。

 中々にディープな感じ。この狭い路地にいっぱいお店が並んでるのが良いよね。


 「これがカルグクスか」


 韓国式手打ち麺カルグクス。

 狭い場所に10軒ぐらい店が並んでて、すっごい窮屈。だがそれが良い。

 公英はかなりきつそうだけどね。でかいから。


 「思ったよりも辛くないな」


 「麺がもちもちしてて美味しいよ〜」


 「スープも美味しいですっ」


 韓国海苔ってなんでこんなに美味しいんだろうな。海苔で一番好きまである。


 「ふむ。意外とスープはコクがあるのだな! 実に興味深い!」


 「このお酒美味しいですねぇ。なんて名前でしょうか?」


 公英がでかい体を縮こまらせてグルメみたいな事を言ってる。でも確かにコクがあって美味しいスープなんだよな。ちょっと見た目からは想像出来ない。陽花はいつも通り。お酒がメインです。


 カルグクスを堪能した後は、太刀魚横丁へ。

 因みにさっきの場所はカルグクス横丁って言うらしい。

 この南大門市場には三大横丁があるらしいから、そこは全制覇させてもらう予定だ。


 で、太刀魚横丁の名物。

 カルチジョリム。太刀魚の煮付けらしい。


 「俺、太刀魚って食べるの初めて。どんな味がするんだろ」


 煮付けとか焼き魚は俺、あんまり好きじゃないんだけどね。別に味が嫌いとかじゃない。骨が面倒だなって。全部取り除いてくれたら、喜んで食べるんだけど。

 でも名物って言われたら食べるしかあるまいて。

 最悪骨ごといってやらぁ。


 「定食みたいな感じで出てくるんだね〜」


 「ご飯と合いますねっ! とっても美味しいです!!」


 むぅ。これは中々。骨が面倒だと思ったけど、身が骨からスッと取れるから食べやすい。

 しかも辛くない。見た目は真っ赤なんだが。

 甘辛いって感じ。これは良いな。


 「うむ。ネギや大根も良い味をだしておるな!」


 「お酒が進みますねぇ」


 そしてここでもついてる韓国海苔。

 素晴らしい。お前だけでご飯何杯もいけちゃう。

 キムチも毎回ついてくる。流石韓国。


 そして最後にうまいもん横丁。

 ここは韓国料理が勢揃い。

 屋台にズラリと並んでる。


 「ビビンバ、チヂミ…。焼肉屋で食べたのばっかりだな」


 「あ、トッポギがあるよ〜」


 「もちもちしてるやつですよね? 私食べたいですっ!」


 ほう。トッポギ。

 それはまだ食べてない。俺のもお願いします。


 「この辺はB級グルメが置いてる感じだな!」


 「お酒のつまみに丁度良いですねぇ」


 ホットク。

 シナモン入りの黒砂糖をパン生地で包んで焼いた韓国屋台スイーツの代表格。


 マンドゥ。

 これは、まぁ、餃子みたいなもんだな。

 でも韓国では焼き餃子より、蒸し餃子の方が人気らしい。勿論焼き餃子もあるけどね。


 他にもねじり揚げドーナツのクァベギ。韓国の練り物ハッバー。韓国式焼き鳥のタッコチと。


 「韓国侮れんな。日本に全然負けてない」


 「美味しいのばっかりで目移りしちゃうね〜」


 結局南大門市場で1日過ごしてしまった。

 今日は他にも色々回ろうと思ってたのに。


 「だから言ったでしょ〜。予定なんて立ててもその通りにいかないんだって〜」


 「だな。よーく分かった。でも楽しかったから良いのです」


 なんたって今回はケツがないから。

 台湾の時は韓国に来る予定があったから、仕方なかったけど、今回は後は帰るだけ。

 俺達の気の済むまで観光出来るって寸法よ。


 「他国は相変わらず自分達で〜って感じ〜?」


 「みたいだな。あ、いやペルーが要請してくるかもみたいな事は言ってたな」


 ペルー。ペルーね。

 一体何があるんだ?

 マチュピチュぐらいしか分からんぞ。


 「ペルーですか? 料理が美味しいって聞きますよ」


 「お酒はどうなのかしらねぇ」


 「ナスカの地上絵もペルーじゃなかったか? 俺様はペルー筋はどうなのかが気になるがな!」


 へぇ。料理美味しいんだ。

 それは楽しみだ。ナスカの地上絵も見てみたいし。


 「ペルー筋ってなんだよ」


 勝手な造語はやめてください。

 ついていけませんよ。

 

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