第146話 攻略開始


 韓国の1級も禁忌領域じゃなさそう。

 良かった。安心して引率出来ます。

 って事で、早速突入。


 「およ? 珍しくフィールドタイプじゃない」


 「迷宮型だ〜。だんちょ〜と初めて入った1級の狭間の時と一緒だね〜」


 あーそういえばそうだな。

 あの時はアンデッドだっけか。今回は特有の臭いがしないから大丈夫だろう。


 「って事はこれあれか。楽して攻略出来ない感じか」


 「フィールドタイプならその場から動かなくても攻略出来るのにね〜」


 それな。今回はわざわざボス部屋まで行ってあげないといけない訳だ。

 なんてわがままな狭間なんだろう。


 「ん? オーガだ」


 「オーガですって!?」


 「なんだと!?」


 出て来た魔物はオーガだった。

 俺は滅茶苦茶ノーマルな狭間だなとガッカリしてたんだけど、韓国勢はそうじゃないらしい。

 何故かかなり驚いている。なんで?


 「昔1級の狭間が崩壊した時に出て来たのがオーガだったんだよ〜。それからオーガは恐怖の象徴みたいな感じなんだよね〜」


 あ、確かそうだったな。動画で見ました。

 そんな何年も前の事を未だに気にしてるのか。

 しかも崩壊したのは韓国じゃないでしょ? インドじゃなかったっけ?


 「あんなの、筋肉質なオークと変わらんだろうに」


 「だんちょ〜は強いからそういう事が言えるんだよ〜」


 それもそうか。俺も異世界ビギナーの頃は逃げ回ってた訳だし。熟練者になっても魔王から逃げ回ってたが。


 「えーっと、大丈夫です? 無理ならこっちで処理しちゃいますけど」


 むしろ公英がやってるけど。現在オーガと公英がタイマンしてる真っ最中だ。

 滅茶苦茶楽しそうですね、はい。


 「いえ。こんな機会は滅多にありません。是非自分達もやらせて下さい」


 「分かりました。じゃあいきますか」


 丁度公英が殴り殺したところだ。

 無傷とはいかないが、滅茶苦茶苦戦した訳でもなさそう。


 「でもオーガでラッキーだな。あいつらはタイマン性能がそれなりに高めだから。訓練するにはもってこいの相手だ」


 「じゃあ次はあたしがやるね〜」


 まずは『シークレット』の面々がタイマンでやれるかどうかの確認。

 桜と陽花は公英よりあっさりと。神田さんはギリギリの勝利って感じだな。


 「神田さんは受けを学ぶべきか」


 「そうだね〜。避けるのが下手だったね〜」


 モンハナシャコは攻撃力は文句ない。

 それに目も良い。でも避け方が下手くそで、次の攻撃に繋げるのが遅い。

 そこらへんが課題かな。まぁ、勝てたからそこは良いんだけど。


 で、問題の韓国勢はやっぱり苦戦。

 タイマンではてんで勝てない。

 四人で一匹にやっと勝てるかどうかって感じ。

 これも連携が下手っぴだったら、どうなってたか分からない。異世界の熟練Cランクパーティぐらいの実力かな。


 前回同様うちの面々を一人ずつつけてオーガと戦ってもらいたいところだけど、神田さんが怪しいからな。そこは俺がフォローに入るか。


 あ、因みに今回もカメラマンさんがいる。

 『撮影』の能力持ちではないけど。普通に戦闘系能力持ちの協会員さん。ご苦労様です。結界だけ張っておこう。


 「公英はそろそろ何か武術を覚えろ。力押しも頭打ちになってくるぞ」


 「桜は糸の射出スピードをもうワンテンポ早く」


 「神田さんは大きく避けすぎ。最小限の動きで避けないと。しっかり見えてるんだし」


 「陽花も近接がもう少し出来るようにならないとな。防御を疎かにしすぎだ。液体になれば食らわないはいつか痛い目を見るぞ」


 俺は韓国の探索者を指導しつつ『シークレット』の面々にも厳しく注文していく。

 連続で1級を攻略してちょっと気が抜けてるのかもしれん。いずれは俺無しで攻略出来るようになってもらいたいんだから。

 禁忌領域でもない1級は鼻歌を歌いながら攻略してもらいたいね。


 「皆さんビビりすぎです。相当当たりどころが悪くないと死にませんよ。即死じゃなけりゃ俺が治せますから。もう半歩前に進む勇気を持って下さい」


 韓国勢はまず腰が若干引けてるのをなんとかしないとね。オーガはそれだけ特別って事だろうか。

 蹂躙されてる過去があるから分からんでもないが、ここには俺がいるんだ。安心して突貫してほしい。


 「うーん。1人で戦うのは時期尚早か」


 連携して戦うと固さは取れるんだが、ソロで向かわせると途端にガチガチになる。

 慣れが必要かな。まぁ、まだ初日だし焦らずいこうか。今日は4人で倒せたのが収穫って事で。

 明日は3人でやってみてもらおう。


 「今日は初日ですし、この辺にしときましょうか」


 「お疲れ様〜」


 ふむ。うちの面々はまだ余裕がありそうか。

 やっぱり経験は偉大だな。明日はもう少し絞るとしよう。


 「よーし。焼き肉いくぞー」


 「昨日のお店〜?」


 「そう。ハマっちゃった」


 普通に美味しかったし。

 サービスもかなり行き届いてました。


 それにこの辺はあんまり周りにお店がない。

 結構田舎に狭間が出現したもんで。昨日行った焼き肉屋さんがあるだけで奇跡レベルなんだよね。

 台湾同様屋台も出てるけど、ガッツリ食べるならあのお店に行くしかあるまいて。

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