第123話 旅行準備
「今の所要請は無しと」
「そうですね。最近の話題は全て織田さんが持って行ってますので、他国は面白くないでしょう。とりあえず自国の探索者達の精鋭を選抜して攻略に当たるみたいです」
「死ななきゃいいですねぇ」
事務所の応接室にて。
朝倉さんが目に隈を携えてやってきた。
世界中に1級狭間が大量発生して一週間。
かなり忙しくしてるらしい。どこかしらからすぐに要請があると思ってたんだけどな。
台湾と韓国は要請しようか最終会議をしてるらしいけど。
なんと現在。日本と韓国の仲は良いのである。
この100年で何があったんでしょうね。
後で勉強してみようかしらん。
「じゃあ俺達は日本の狭間を攻略しますね。要請がないならゆっくり攻略出来ますし」
「はい。是非お願いします」
大阪に出現した狭間はこの前のブートキャンプ組で攻略しようと思っている。
報酬も名誉も全て山分けって訳だ。
「狭間探知機はとりあえずうちで管理しておきますね」
「申し訳ありませんがよろしくお願いします」
本当は世界探索者協会に売っ払う予定だったんだけど、どうやらそれどころじゃないし。
この騒動が落ち着いてから改めてご相談って事になりますね。
「それと毎度の事で申し訳ないのですが、今回の攻略風景を撮影する為に大村君を同行させてもよろしいでしょうか?」
「大丈夫ですよ」
大村さんも災難だな。
またしても1級に入る事になるとは。
まぁ、禁忌領域でも無い限り大丈夫だろう。
あ、なんかフラグみたいな事言っちゃった。
「者共! 旅行の準備を始めるぞ!」
「いえ〜い!」
「色々な所に行けるかもしれませんねぇ」
「ふむ! 行った事ない場所ばかりで楽しみではあるな!! 俺様の筋肉も喜んでおる!!」
家に戻ってきて全員に声を掛けた。
大阪に行くのは確定だし、何ヶ国からか要請があるのも確定だろう。
となると、旅行の準備をしないといけない訳で。
「俺と桜は前回フランスに行ったから、それなりに用意はあるけど、公英と陽花はないよな?」
「ですねぇ」
「がっはっはっは! 俺様はタンクトップがあれば充分よ!!」
いやいや。
タンクトップだけは困るよ。
前回みたいにカジノとか、正装が必要な場所に行くかもしれないじゃん。
高級料理店とかさ。お前、タンクトップで高級レストランとか恥ずかしすぎるぞ。
「ねぇ〜。買い物に行くんでしょ〜? 七海ちゃんも誘ってあげようよ〜」
「それは勿論。九州から出た事がないって言ってたし、旅行の用意もないだろう。ここはギルド長として奮発してやらないとな」
神田さんには月々の給料と狭間を攻略した時の何%かをボーナスで渡す契約をしてるんだけど。
俺達はあんまり狭間攻略しないから、ボーナスがあんまり無いんだよね。
こういう時は奮発してあげないと。
まぁ、今回の大量発生で大金を手に入れる事になるだろうけどさ。
因みにガチャ組に給料はない。
欲しいものがあったら言ってくるし、買い物も俺のカードを勝手に使っている。
緊急用に現金もいくらか支給してるしな。無くなったらまた渡すって言ってるんだけど、今まで無くなったと言われた事がない。
カードはいくら使ってるのか分からんが。
「じゃあちょっと神田さんのとこに行くか」
さっきまで事務所の休憩所の一角でとある生物と睨めっこしてたから、まだ居ると思うんだ。
「おーい。調子はどう?」
「あっ! お疲れ様です! 感覚的にはもう少しかなと思うんですが…」
休憩室の椅子に座って、ひたすらに水槽を睨みつけていた神田さんに声を掛ける。
「見てる時ってどんな気持ちなの?」
「そうですね…。ヒグマはまだ可愛さがあってなんとかなったのですが、オオスズメバチは虚無でしたね。本当は虎とかライオンとかそういうのが良かったんですが、当時の担任に強く勧められて…。普通に強いからそれは良かったんですけど」
「じゃあ今は?」
「虚無です」
それはすまんかった。
でも多分、その担任も俺と一緒の漫画の事を知ってたんじゃないかな。
なんたって小○艦長の変態だし。じゃなきゃ、ピンポイントでオオスズメバチなんて選ばないでしょ。
「織田さんに勧められて調べてみたんですけど、この生き物も強いんですね」
「モンハナシャコが人間サイズになるとそりゃ強いだろうよ」
そう。俺がお勧めしたのはモンハナシャコ。
絶対みんなも好きだと思うんだよね。
パンチ力、動体視力、機動性。
どれも素晴らしい能力を持ってるのがモンハナシャコなのです。
ビジュアルはあんまりよろしくないけど、間違いなくこれで神田さんは強くなる筈だ。
出来れば大阪に行くまでに覚えて欲しいもんですな。
「神田さんには後で、能力に役に立つ本を貸してあげるよ。それを見てモンハナシャコの次になりたいものを選ぶといい」
「そんなのがあるんですか? 是非お願いします!」
おや? 担任は神田さんにテラフォーマー○の事は教えなかったのかな?
神田さんにとってあれほど役に立つ漫画はないと思うんだけど。
「あ、そうだ。本題を忘れてた」
ついつい話し込んで買い物の事を忘れてた。
俺は、これから遠征が増えるだろうから旅行グッズを買いに行こうと神田さんを誘うのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます