秋津の可愛い店員さん
僕はこれから秋津に飲みに行く。秋津の居酒屋の可愛い店員さんに会いに。コバさんにコンビを組まないか打診しに。
13時に最寄りの駅に集合して秋津に向かいに行くことにした。コバさんにその旨を連絡したところ。
「了解。今から少しだけ寝る。」
との返事が
「了解っす。おやすみなさい。」
そう返事して待ち合わせ時間まで暇をつぶすことにした。今日僕は女の子に会う。そう思うと香水でもつけようかなんて気がしてくる。すぐに近所のコンビニに行きAXE(アックス)を買ってきて自分に振りかけた。いいにおいがしてくる。
(これで今日の飲みは成功だぜ!)
僕は嬉しくなった。
そんなことをしながら時間をつぶしていたら13時が近づいてきた。コバさんから連絡はないがとりあえず最寄りの駅に向かうことにした。最寄りの駅の駐輪場についたところLINEが来た。コバさんからだ。
「いる?」
(ん?どういうことだ?)
(もしかしてコバさんもう駅にいるのかな?)
「コバさんもう駅にいます?」
「いるよ。」
(やばっ!コバさん時間通りに来てる⁉)
コバさんから起きたら連絡来ると思ってダラダラしてたらコバさんが先に現地についていたのだ。今回僕から誘ったのに!
焦った僕は
「今駐輪場にいます!すぐに駅に向かいます!」
と連絡して小走りで集合場所に向かった。
集合場所にコバさんがいた。いつもと違う雰囲気のコバさん。なんだかいつもよりかっこいい。普段はキャッチボールに来る姿しか見てないのでちゃんとした私服のコバさんは初めてだった。
「すいません!遅れました!」
と言いつつも心の中で
(起きたなら連絡しろよ!)
と毒づく。つくづく自分の性格の悪さには嫌気がさす。
「じゃあ行きましょうか!」
「あっこれ!」
とコバさんにSuicaを2枚見せられた。以前コバさんと石神井の草野球の応援に行った際コバさんがSuicaをなくしてしまい僕のSuicaを代わりにあげたのだ。Suicaが見つかったら僕のSuicaを返してくれるとの約束だったのだ。Suicaを2枚見せられた僕は綺麗な方のSuicaを受け取った。僕は相変わらず性格が悪いのだ。ただ、コバさんも汚い方のSuicaを取りやすいように上にしていたのでコバさんも性格が悪いのだ。お互い様である。
「あざっす!」
「う、うん!じゃあ行こうか!」
性格の悪い僕らは秋津の居酒屋に向かった。
電車に乗ってすぐお笑いコンビに話をしようとしたがコバさんに
「話は居酒屋でしようぜ」
と言われ
「確かにそうっすね」
と言い、電車では最近太ってきたから痩せたいとか、コバさんは体重何㎏なんですかとかしょうもない話をしていた。
途中で武蔵野線に乗り換え性格の悪い僕らは新秋津に向かった。
すぐに新秋津についた。新秋津に降り立ち煙草が吸えるところを探し、僕らは一服した。
コバさんは居酒屋の店長である。コバさんの居酒屋トークを聞きながら一服し、いざ目的の居酒屋に入った。
「いらっしゃいませー!」
元気なおばさまが店に向かい入れてくれた。
「2名なんですけど行けますか?」
「カウンターとテーブルどちらでも大丈夫です!」
これからテーブルにくるお客さんを見越して僕はカウンターを選んだ。そんなやり取りをしながら僕は店内を見まわしていた。
(あの可愛い店員さんがいないっ!)
カウンターに座った僕はコバさんの膝を叩き
「あの可愛い店員さん今日いない」
と小声で言った。
「ぶっ殺すぞ!」
コバさんは言った。可愛い店員さんがいるから大事な休みをコバさんはこの秋津昼飲みに使ってくれたのだ。
「それじゃあ飲みを楽しみましょう!」
そう言い僕はノンアルビール、コバさんはハイボールを頼んだ。可愛い店員さんはいなかったが、今回の飲みで僕はもう一つの目的があるのだ。
「コバさん話してもいいですか?」
「ん?何?いいよ!」
「コバさん俺とコンビ組んでM-1出てくれないっすか?」
「断る!」
コバさんは笑いながら言った。予想はしてたけど少しがっかりした。
コバさんから
「まずは、R-1じゃない?」
と、言われた。確かに僕は今お笑いに対して行動できていない。そんな状態でお笑いコンビに誘うというのは順番が違うのかな?
「人力舎とかなんか事務所に入った方が相方見つけやすいんじゃないかな?」
「あと、今俺ら同盟結んで愚痴とか言い合ってガス抜きしてる関係がコンビを組んだら壊れると思うんだよね」
「だからコンビは組みたくないかな」
僕はハッとした。人はビジネスの関係になるとかかわり方が変わってくるのだ。それで壊れた関係も過去にある。で、コバさんとは関係を壊したくない。
「そうっすね。確かにコバさんとの今の関係続けたいんでコンビ組むのはなしにしましょう。」
そういって僕のお笑いコンビ作戦も無事に散った。
そんな話をしててふと厨房の方を見るとあの可愛い店員さんがいるのだ!
コバさんのももを叩き。小声で
「コバさん!あの可愛い店員さん来てます!」
コバさんがちらっと見て笑う。
「テンション上がりすぎ(笑)」
そこから僕らはくだらない話をした。YouTubeのアイディアだったり日々の愚痴だったりいろいろと話した。じゃあそろそろ行こうかというところでコバさんが2万円を手渡してきた。
「今日は良いよ。俺が払うよ。」
「初めてコバさんがかっこよく見えました。」
「来週のキャッチボールで頭勝ち割るよ(笑)」
そして、僕はその2万円を手に機会をうかがった。あの可愛い店員さんがレジに行くのを待っていたのだ。可愛い店員さんがレジに行った。
「あっすいませんお会計で!」
機会を逃さぬようすばよく立ち上がり声を掛けた。成功だ。
可愛い店員さんに癒されながらお会計をすました。
その様子をコバさんはこっそり撮影していて、あとでその動画を見せてもらった。その動画では”デブがすました顔して会計してもらっていた”のだ。
はたから見たら俺はこんなんなのかと苦笑した。
そして、僕らは帰路に就いた。
「コバさん今日はありがとうございました!」
「うん!ありがとうね!楽しかった!じゃっ!」
「じゃっ!」
僕らは別れた。
とても楽しい1日だった。
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