【最終章:右目と名前(6)】
沢木キョウは何かを
相手は
しかし、田中洋一に包丁を
「あの包丁さえとりあげられれば、自分と田中洋一で力を合わせて相手を
「沢木君、聞いている?何を考えているのかな?もしかして、この
「空木様、サイレンの音が近づいてくるのが聞こえます。」
「私にはまだ聞こえない。どのくらいの
「このスピードだと十分、いえ、もしかしたら八分ほどで
と言い、田中洋一の手首を
「おかしい。彼らが出て行ってから、まだ二十分くらいしか
「立花、すぐに
「三分で
その
立花美香がすぐに右を見ると、そこにいるはずの沢木キョウが消えていた。沢木キョウは身をかがめて立花美香に
立花美香が沢木キョウの
「洋一君、逃げるよ。一階におりて家の外に出よう」という沢木キョウの呼びかけに、田中洋一は
立花美香が自分の腕時計を見て時間を確認し、空木カンナと会話をしているとき、立花美香と空木カンナの両者が自分から目を離したことに気づいた沢木キョウが、音もなく
空木カンナが立花美香に「右!」と叫んだときには、沢木キョウは自分の左手で立花美香の右手首を掴み、それを自分にむかって引き寄せるとともに右足で立花美香の右脇腹を
立花美香はうずくまっている。たしかに沢木キョウの言うとおり、今が逃げるチャンスだと田中洋一は思った。しかし、その瞬間「
田中洋一の目の前を何か光るものが通り過ぎ、沢木キョウの
沢木キョウの手は血で真っ赤にそまっている。近くに立っている立花美香の左手にはサバイバルナイフが
立花美香は「しまった」という表情をしていた。しかし、空木カンナは「立花、
「空木さん、何を言ってるの?キョウ君を助けて。立花先生も、そんなところに突っ立ってないで
そんな田中洋一には目もくれず、空木カンナは部屋を出ようとする。自分の横を空木カンナが通ろうとしたとき、田中洋一は「空木さん、
田中洋一の叫びに、空木カンナは一瞬だけ悲しい表情をしたかのように見えたが、すぐに不敵な笑みを浮かべ、「何を言ってるの?これが本当の私よ」と田中洋一に向かって
「ウソだ。そんなの空木さんじゃない。真中さんと親友だった空木さんはそんなんじゃない。いつもの空木さんに戻ってよ。キョウ君を助けて!」
「何を言ってるの?私と真中しずえが
空木カンナは、氷のような
***
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます