【最終章:右目と名前(2)】
立花美香の『
空木カンナと相葉由紀も、そこでの
「家の中とてもオシャレですね」と真中しずえが言い、「
普段は
立花美香たちが
「いや〜すみません。道が
しかし、横から「先生、古いっていうことを
真中しずえは、車から降りてくる田中洋一のところに行き、「楽しいドライブだった?」とちょっと意地悪そうな笑顔で聞いてきた。「わかってて聞いてるね」と、田中洋一はちょっと不満げに答えたが、車を降りて周囲を
「ね、科学探偵クラブに入れてよかったでしょ?
「うん、もちろん。ありがとう!」
真中しずえがそうやって上から目線で
羽加瀬信太も車から降りた時はゾンビのような表情で
その様子に気づいた立花美香が近づいてきて「キャンピングカーが好きなの?」と聞くと、「はい。キャンピングカーで
「中に入ってみたい?」と聞かれ、「え、この車の中に入ってもいいんですか?」と大きな声で返事をすると、その声に気がついた真中しずえが「そのキャンピングカーの中に入るの?私も中を見てみたい!」とみんなに聞こえる声で言ったので、みんながキャンピングカーの周りに集まることとなった。
「キャンピングカーの中は
キャンピングカーの中に入る
立花美香のキャンピングカーには、テーブルやソファーだけではなく、小さいながらも台所やシャワー・トイレもついていた。みんながキャンピングカーの中を見学したあと、まだ
すると立花美香は、
「一人で旅行に行くんですか?」と、真中しずえは続けて質問した。
「ええ、一人でよ。このキャンピングカーは寝るスペースが二人分あるので、誰か一緒にいってくれる人がいるといいんだけどね」と、少し
「でもね、一人での旅行もいいものなのよ。自分のペースで自分の好きなところに自分が好きなだけいられるの。しかも、キャンピングカーだと
すると今度は相葉由紀が立花美香に質問をした。
「もしかして立花先生って
「ええ、もちろんよ。このキャンピングカーで旅行するときはいつも持っていってるわ。」
「わーすごい。写真とかも
「そうね、写真を撮ることもあるけど、やっぱり直接自分の目で見る方が好きね。相葉さんは星を見るのが好きなの?」
「本を読んでると、ときどき『
「そうなのね。輝く星空とまではいかないけど、ここもあなたたちが住んでいる場所よりもずっと星がきれいに見えるわ。夜になるのを楽しみにしていてね。」
「ほんとですか!?」
「ええ、ほんとよ。それにね、このキャンビングカー、寝る場所が運転席の上にあるでしょ。その天井はガラス
「そうなんですね。いいなー。私もそういうところで寝てみたい。」
「寝てみる?」
「え、いいんですか?」と、その質問に相葉由紀が答える前に、横から真中しずえが聞いてきた。「ええ、もちろんよ。実はね、寝る場所をどうするかで少し
「もしかして男子は外でテントを
「ふふふ、違うわよ。ちゃんとみんな屋根のある場所で寝てもらうつもりですよ。女の子たちにはさっき家の中も見せたんだけど、寝室は一階と二階に一つずつあるの。一階の寝室は少し大きめだから、五人までなら全然大丈夫なの。でも、二階の寝室は三人が寝たらもうスペースがないの。」
「男女別の部屋にした方がいいと思うので、どういう組み合わせにするか少し悩みますね」と沢木キョウが言うと、「えっと、どういうことだ。男は俺と田中、沢木、羽加瀬の四人か。で、女性陣も・・・四人か。で、五人の寝室と三人の寝室しかないないのか。なるほど、それは難しいな」と、ようやく状況を理解した池田勇太が「う〜む」と
すると、「池田先生は自分の車で寝ればいいと思います!」と、授業で手を挙げて質問に答えるような
「
「それは良いアイデアですね。この合宿は三泊四日だから、私たち女の子は一日交代でキャンピングカーで寝ることにしましょう」と、空木カンナは、真中しずえと相葉由紀の方を向いていった。「わー、キャンピングカーで寝れるなんて幸せ」と相葉由紀が喜んだ。真中しずえも、「立花先生、本当にいいんですか?」と喜びを
「ええ、もちろんよ。よかった、みんなキャンピングカーで寝ることに賛成してくれて」とホッとした様子の立花美香の横で、自分たちはキャンピングカーで寝れないということを知って、田中洋一と羽加瀬信太は
「さて、みんなお腹もすいたでしょうから。お弁当の時間にしましょうか。みんなきちんとお弁当は持ってきた?」と、夜にみんなが寝る場所が決まって一安心した立花美香が、みんなの方を向いてそう言った。
「はーい」とみんなは元気よく答えたが、池田勇太だけは「あ、しまった」という顔をした。その表情に目ざとく気がついた真中しずえが、「池田先生、もしかしてお弁当持ってこなかったんですか?立花先生が『最初の日は
「『一応』ってなんだ」と言いたそうだったが、お弁当を忘れたのは事実だったので池田勇太は何も言い返せずにいた。
「あらあら、池田先生、お弁当をお持ちになっていないのですか?」
「え、あ、はい。すみません。
「
「池田先生って、すごく
「いえいえそんな。」
「池田先生のお昼ご飯ですが、この家には、
「え、いいんですか?ありがとうございます。いやー嬉しいなー。自然の中でのインスタントラーメンって、すごく美味しく感じられるんですよね。いや、立花先生と一緒に食べられるなら、どんなご飯でも美味しいですよ!」
ガッハッハと笑いながら上機嫌な様子の池田勇太を、科学探偵クラブの全員が冷めた目で見ていた。
***
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます