【第三章:仲間(5)】
その日のお昼休み、いつものように沢木キョウ・真中しずえ・空木カンナ・羽加瀬信太が田中洋一の机の周りに集まって田中洋一の
「おい、
すると、「空木さん、実は僕も君が言った『毒』のことがちょっと気になってるんだよね」と
「えー、沢木君も
「この学校に
沢木キョウは左手で顔の左半分を
「お、おい、もっとわかりやすく説明しろよ。結局、その毒って何なんだよ。それを
「え、今の説明でわからなかったの?えっとね、もっと
「え、ガンって、あの病気のガンか?」
「そうよ。あ、でも大丈夫。羽加瀬君はすぐに解毒したから。あの毒、十時間以内に解毒すれば細胞の中に入らないから平気よ。」
「十時間・・・」
「昨日、私は保健室係の仕事があったから、保健室で少し作業したんだよね。それでね、作業が終わって帰る前にこの教室に寄ったんだけど、誰もいなくて椅子は一つも机の上に乗ってなかったよ。だから犯人は、まあ犯人は羽加瀬君だったみたいだけど、今朝早くに椅子を机に置いたんじゃないかなって思ったの。だから、解毒は全然間に合ったよ。」
羽加瀬信太は何も言わずにうつむいていた。
「な、なあ、俺にもその解毒薬をくれないか?」と、いつもとは違った様子で酒見正が空木カンナにお願いをした。
「え、なんで?」
「いや、特に理由はないんだけどさ、ほら、俺ももしかしたらさ、お前の椅子を
「あー、そういうことね。それなら大丈夫。私が『毒』をぬった場所は、普通は触らない場所だから。机の上に乗せるために持ち上げるときとかに
「で、でも・・・」
『キーンコーンカーンコーン』
空木カンナと酒見正が会話をしているときに、お昼休みの終わりを
「あ、予備チャイムが鳴っちゃった。授業が始まる前にトイレ行ってくる。あーあ、田中君の今日の手品楽しみにしてたのにな」と、空木カンナはそう言って、何かを言おうとしていた酒見正と
そして、空木カンナと入れ
***
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