【第三章:仲間(1)】
沢木キョウ(さわぎ・きょう)が六年三組の教室に入ってきたとき、教室の後ろの方で何人かが集まってもめていた。
「どういうことだよ、もう一回言ってみろよ。」と、酒見正(さかみ・ただし)が教室のはしの方まで聞こえるような大きな声で
「だから・・・」
羽加瀬信太は何かを言ったようだが、声が小さかったため、最後の方は何を言ったのかは誰にも聞こえなかったようだ。それを聞いて、「あ?言いたいことがあればもっとはっきり言えよ」と酒見正は羽加瀬信太の
酒見正に押されて
沢木キョウは自分の机にランドセルを置き、隣の席でオロオロしながら羽加瀬信太たちの
「僕もついさっき教室に入ったばかりだからよくわからないんだけど、何やら信太君があの二人が
「もしかして、先週の旧校舎の図書館で起きたことと関係あるのかな?」
「あの三人の会話はよく聞き取れなかったんだけど、おそらくそうだと思う。もう図書館から漫画は取らないってこととかを言ったのかも。」
最後の方は周りの人に聞かれないように、田中洋一はヒソヒソ声で沢木キョウに伝えた。と、そのとき、「あなたたち、何してるの!」と教室中に
怒った表情を顔に
「なんだよ
「どう関係あるんだよ」と、今度は一ノ瀬さとしが、真中しずえの手を
「私は六年三組の学級委員長として、この教室内で問題が起きてたら
「何言ってんだよ。俺たちはこの三人だけが関係している大事な話をしてるんだ。お前は関係ない。」
「そんな
「なんだと!」と、一ノ瀬さとしの顔は怒りでどんどんと赤くなった。そして、一ノ瀬さとしの右手が上がり、田中洋一が「あ、まずい」と思ったとき、「ドン」と大きな音がした。
田中洋一をはじめ、六年三組の教室にいるみんなが音をした方を見ると、にっこりと
と、そのとき、「おーい、朝の会を始めるぞー」と
池田勇太が
「空木さんがランドセルを
「お、そうか。ランドセルは
しかし、みんなが自分の席に着こうとしているとき、田中洋一の耳には「昼休み、いつものところに来いよな」という酒見正の声が、ひそひそ声ではあったものの、ハッキリと聞こえた。
***
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