【第二章:科学探偵クラブ(8)】
その日の帰りの会が終わった後、「今日はお父さんが早く仕事から帰ってきて家族で出かけるから先に帰るね」と空木カンナに言って真中しずえは帰っていった。「うん、バイバイ」と言ってから、机の中に
「あの、空木さん、ちょっといい?」
「うん、いいよ。図書室に行こうか。田中君と沢木君にも声かける?」
「う、うん」と羽加瀬太郎は答えて、空木カンナと一緒に田中洋一と沢木キョウのところに歩いていった。二人が近づいてくることに気づいた沢木キョウは「洋一君、じゃあ僕らも行こうか」と田中洋一に声をかけた。
「え、どこへ?」と聞いた田中洋一の
「相葉さんの言ってた幽霊は僕のことだと思う。ウソをついてごめん」と泣きそうな声で羽加瀬信太は話し出した。
「でも、学校で
「それは違うよ。本当なんだ。信じてって言いたいけど、今日の朝にウソを言った僕のことは信用できないよね。」
「君が
「本当?」
「うん。それよりも私は君の話が聞きたいな。私に
「・・・うん。」
そう
空木カンナ・沢木キョウ・田中洋一の三人は、羽加瀬信太が話し始めるのを静かにじっと待っていた。
「僕、酒見君と一ノ瀬君にいじめられてるんだ」と下を向いたまま羽加瀬信太はポツポツと話し始めた。目には
「最近はあっちの図書室にある漫画をこっそり
「だから
「・・・うん。
「なるほど。で、その漫画をこの図書室の隣の図書準備室に
「うん。家に持って帰っても隠しておくスペースはないし、親に見つかってほしくもないから・・・。」
「木を隠すなら森の中、ってことね。で、これからどうするの?」
「わからない。空木さんたちは先生にも言うよね。きっと親にも知られる。
羽加瀬信太の目からは
「え、ちょっと待って空木さん。沢木君も。羽加瀬君がかわいそうだよ」と田中洋一が口を
「田中君もありがとう。でも大丈夫だよ。最後まで
「『0000』から124回試したってこと?」と、沢木キョウが聞いた。
「うん。まさか本当に開くとは思わなかったんだけどね。」
「すごいね。
「新しい鍵に替えた理由は?漫画を
「これで幽霊の謎は全て解けたってことかな」と、空木カンナが言ってから、
羽加瀬信太は下を向いたまま、「わからない。僕はどうすればいいと思う?」と消え入りそうな小さな声で逆に聞いてきた。
「う〜ん、それは
「洋一君から先にどうぞ」と、
しかし、空木カンナは田中洋一の意見に同意することなく、「酒見君や一ノ瀬君が羽加瀬君に漫画を
「え?」と、思わぬ質問に、田中洋一は少し驚いてそう言うと、「そこをはっきりしておかないと、きっと二人はそんなことは言ってないっていうと思うんだよね。そうしたら、羽加瀬君が一人で漫画を新校舎の図書室から盗んで、ここの隣の図書準備室に隠してたってことになるよ」と、空木カンナは自分の考えをそう
「え、そんな。羽加瀬君がそんなことするわけないよ。先生だってきっと信じてくれるよ。羽加瀬君はいつも
「証拠はないけど、悪ガキは悪いことをしてるに違いないし、
「そ、そんなつもりはないよ。でも・・・」と田中洋一が言葉につまっていると、それまで
「え、そんなの大変だよ」と田中洋一が言ったが、「ありがとう。でも大丈夫。元はと言えば、最初から僕がノーと言えばよかったんだもん。それに、実際に漫画を
「
「
「うん、あの二人が羽加瀬君にしてたことを気づけなかった先生にきちんと説明する必要はないよね。あ、もしあの二人がもし
「そうだね。一ノ瀬君が体が大きいって言っても、
「え、僕は
***
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