【第二章:科学探偵クラブ(6)】
「で、何で僕も
場所は旧校舎の図書室。
「これだけいれば
「あれ、カンナどうしたの?」
「この
「開きそうなの?」
「ううん、全然。」
「今、池田先生が
「そうね。でも、何だかちょっと不思議なのよね。」
「何が?」
「ここって何年も使われてなかったんだよね。」
「そうだと思うよ。池田先生もそんなこと言ってたし。」
「でも、その
「気のせいよ、そんなの。ほとんど使われてなかったから新しく見えるだけじゃないかな。」
「そうかなー」と、真中しずえの言うことにあまり
「池田先生が来たみたい」と相葉由紀が言ったが、そこに
「あの・・・僕も掃除を手伝ってもいいかな?」と聞いてきた羽加瀬信太に、「もちろん!ありがとう」と真中しずえは答える。その返事を聞いて羽加瀬信太はとても
と、そこに小さな
「やあ、待たせてごめん。お、信太も来てくれたのか。これだけいれば掃除には十分だな。」
「先生、
「すまんすまん。鍵の番号を見つけるのに
「え、じゃあ鍵の番号は見つけられなかったんですか。」
「いや、それは大丈夫。きちんと
「番号は何だったんですか?」
「うーん、本当は児童には教えちゃいけないことになってるんだけどな。まあいいか。誰にも言うなよ。」
「言わないから大丈夫です。科学探偵クラブだけの
「科学探偵クラブって何?」と、横から羽加瀬信太が聞いた。
「あ、そうか。信太君はこないだいなかったもんね。えっとね、科学の力で不思議な謎を解いていくグループなんだよ。」
「面白そうだね。」
「でしょ。信太君ももう科学探偵クラブの一員ね。」
「え、僕も入っていいの?」
「もちろん。で、今日は幽霊の謎を調べるために来たんだよ。」
「幽霊の謎?図書準備室の掃除じゃなくて?」
「ほら、信太も何言ってんだこいつ、って顔してるじゃないか」と池田勇太は言った。「幽霊なんていないんだよ。さあ、掃除掃除。鍵を開けるぞ。」
「先生、ひどい」と言いつつも、池田勇太の
「『0123』の
「え、何その
という二人の会話を聞きながら、ドアに一番近いところにいた空木カンナが南京錠を開けようとする。だが、その鍵は開かなかった。
「先生、開かないですよ。」
「ほんとか?『0123』だぞ。」
「『0123』に合わせましたが開きません。」
「おかしいな」と言いつつ、今度は池田勇太が自分でも
「先生、どうしますか?」と空木カンナが聞いた。「
「さてと、私たちはその間どうする?」と真中しずえが聞いたとき、羽加瀬信太はドアのところに歩いていって何やら南京錠をガチャガチャしていた。
「信太君、何してるの?もしかして、
「えー、そんなの
「うん、僕もそう思うよ。でも、池田先生が
「開いた?」
「ううん、ダメだった。さすがにそんなに
「ねえ、私の誕生日は七月十二日なの。『0712』を試してみてくれる?」
と、真中しずえが自分の誕生日の四桁を伝えると、「うん、いいよ」と言いながら、羽加瀬信太がその数字を合わせた。すると、『ガチャ』と小さな音がして南京錠が開いた。
「え?」
「どうしたの?」
「開いちゃった。」
「ほんと?『0712』で開いたの?」
「うん・・・」
「じゃあ、ドアを開けられるってこと?」
「たぶん・・・」と言いながら、羽加瀬太郎が南京錠を外してドアノブをゆっくりと回すと、『ギギィ』と音がしてドアが開いた。図書準備室の中は真っ暗で、少し
「ど、どうしよう・・・」と羽加瀬太郎がみんなの方を向いて言うと、真中しずえは「中を見てみるしかないよね」と答えた。
「でも、
しかし、相葉由紀の言ったことは聞こえなかったのか、空木カンナはドアを全開にして図書準備室に体を半分いれた
「うん、電気はちゃんとつくね」と
「やっぱり
「そうね、しかも古い校舎だけあって、この部屋の作りも
「ここを掃除するのはちょっと大変かな。」
「私もそう思う。この人数が全員入るのも少し
「私たち、掃除に来たんじゃないのよ」と、空木カンナと沢木キョウの会話に、真中しずえが割って入る。そして、「幽霊の謎を解かなくちゃ。私も中にいれて」と言って、二人の間を通って図書準備室に入っていった。
それに続いて羽加瀬信太も、少しおどおどして
図書準備室の中に入った四人が
「どうしたの?大丈夫?」と、おどおどした声で相葉由紀が隣の図書室から聞いてきた。
「大丈夫大丈夫。なんか
「え、もしかして
「血じゃないわよ。ただの
「幽霊がいた場所は、その後に床が
「ごめん」と田中洋一が答えるのとほぼ同時に、図書準備室の中で「
「こっちも雨漏りしてるっぽい」と図書準備室の奥の方にいた羽加瀬信太が言う。「古い
「その鍵、
「『0712』でした。」
「『0712』?」
「そうです、私の誕生日でした。」
「『0712』?真中の誕生日?何だそれ。職員室にあった記録では、やっぱりこの鍵の番号は『0123』だったぞ。」
「ほんとですか?でも、実際に『0712』で開いたんですよ。池田先生も試してみますか?」
池田勇太が真中しずえから南京錠を受け取り、『0712』に数字をセットすると『ガチャ』と音がして確かに鍵は開いた。
「あれ、ほんとだ。おかしいな。誰かが新しく鍵を変えてたのかな。まあいいや、あとで職員室の
「で、中に入ってどうだった?幽霊とやらはいたか?」
「幽霊はいませんでした。でも、雨漏りはしてました。」
「雨漏り?」
「はい、天井から。少なくとも2ヶ所。」
「どれ、ちょっと見てみるか。」
そして、真中しずえから雨漏りをしていることを聞いた池田勇太は図書準備室の中に入る。そして、真中しずえがその後に続いた。
図書準備室の中で真中しずえが指差した天井を見て、池田勇太は「あー、たしかにこれは雨漏りしてるな。
「池田先生、掃除はどうします?」と真中しずえが聞くと、ハッと
「図書準備室の中をもう少しだけ見ててもいいですか?」
「なんだ、まだ幽霊を探してるのか?」
「いえ、そういうわけではないんですが。」
「少しならいいよ。でも床が濡れてるから気をつけるんだぞ。あと、きちんと電気を消して鍵もかけておいてくれよ。」
「はい、わかりました。ありがとうございます。」
図書準備室から図書室に出てきた池田勇太は、真中しずえに言ったのと同じ内容を他の五人にも
池田勇太がいなくなってから、「でも、まさか、真中さんの誕生日で鍵が開くとは思わなかった」と相葉由紀は真中しずえに話しかけた。
「私もびっくりしちゃった。やっぱり私って何か
「真中さんが自分の誕生日が
「まさか、そんなのないない」と開いた右手を左右に
三十分ほど
残った三人である、田中洋一・沢木キョウ・空木カンナも、
「え、もしかしてキョウ君は幽霊の謎が解けたの?」
「まだわからない点はあるけど、大体のことはわかったよ。」
「本当!?」
「ふふっ」と空木カンナが笑う。
「え、もしかして空木さんもわかったの?」
「それはどうかな。
「えー、教えてよー。」
「やっぱり空木さんもわかったんだね。じゃあ、明日この三人で『
「犯人って・・・相葉さんを驚かせたのは、幽霊じゃなくて人間の
「もちろんだよ。」
「でも、明日わかる
「そうかもね。」
「じゃあ明日まではこのことはこの三人だけの
「え、真中さんには言わないの?」と田中洋一が聞くと、「どうする?」と沢木キョウは空木カンナの方を向いて彼女の
「やめときましょうか。犯人のためにもね。」
「あー、やっぱりそういうことか。じゃあこの三人で行こう。僕はこの後ちょっと買い物に行ってくるよ。
「あ、そういうことね。いってらっしゃい。」
「何が何だか全然わかんないよー」と
***
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