【第二章:科学探偵クラブ(3)】
2時間目の
「私、実は旧校舎に入ったことないの」と、空木カンナは言った。「そっか、カンナは
「うん。去年の授業は全部、私たちのクラスがある新校舎だったし、あえて旧校舎に行く
「ううん、そんなには行かないよ。旧校舎の古い図書室に行くときくらいかな。」
「旧校舎の図書室と新校舎の図書室ってそんなに違うの?私、去年この学校に転校してから実はまだ一回も図書室には行ってないんだ。」
「え、そうなの?もったいないよ。色んな本があるんだよ。読書は
「大好きだよ。本はいいよね。自分が知らなかった新しい
「そうよね。私も読書は大好きなの。でも、今の空木さんのセリフ、すごい
「でしょー!」と、真中しずえが二人の
「カンナってこんなに可愛らしい女の子なのに
「またその話?しずえちゃんっていつも私のことを
「え、私そんなこと言ったっけ?ごめーん。」
「あんまり
「反省してるって。ごめんね。でも私、本当にカンナの大人っぽいところが大好きなの。
「ま、今日はそのくらいで
「ぷっ」と相葉由紀は
「どうしたの?」と真中しずえが聞く。
「なんか二人のやり取りが面白くて。すごく仲の良い
「そうなのよ。空木さんってクラスでは静かにしてるでしょ。でも、すごく
「いいなー、私もそんな友達が
「私たちもう友達だよ。だって由紀ちゃんも科学探偵クラブの
「え・・・?」
「しずえちゃん、相葉さんが
「カンナちゃんは私の
「またそうやって
「由紀ちゃんは昨日どこら辺の席に座ってたの?」と、図書室に入ろうとしていた真中しずえが聞いたのだが、相葉由紀は図書室の入り口で立ち止まって下を向いたまま返事をしなかった。
「どうしたの?」
「昨日のことを思い出しちゃったの。図書室に入るのが怖いの。」
「大丈夫だよ。入ろ?」
「でも・・・」
「じゃあ、私が見てくるね。どこら辺に
「え、そんなの悪いよ。」
「大丈夫よ!」と、真中しずえが空木カンナの代わりに答えるのを聞いて、空木カンナは
「えっと、一番奥の席だった。図書準備室にはいる
「じゃ、行ってくるね」と言って図書室に入っていった
「由紀ちゃんの筆箱あったみたいよ。一緒に行こう」と言って、真中しずえは相葉由紀の手をとって図書室に入っていった。相葉由紀が昨日座っていた席のところにつくと、一足先に図書室に入っていった空木カンナは図書準備室へと続く扉の前にいた。
「カンナ、何してるの?」
「私、ここに入るの初めてだから、ちょっと
「そうね。やっぱり
「うん。数字を回して鍵を開けるタイプの
「空木さん、
「そうかな。『10』の四乗だから、そんなに
「カンナ、それって中学で習う内容じゃないの?」
「あれ、そうだっけ?」
「もう、カンナって本当に小学六年生なの?」
「あー、またそうやって
と、そのとき『キーンコーンカーンコーン』と三時間目の授業が始まるチャイムの音が
「あ、まずい」と真中しずえが言って、走り出した。「幽霊探しの続きは放課後にしよう」と言いながら走る真中しずえのあとを追っていた相葉由紀は、「なんかとんでもないことに
***
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