夢を見る。

 

 夢の中で僕は、あの日のプールサイドにいる。僕は、プールの中を見ながら、自分の男性器を擦って自慰をしている。


 水の張られていないプールの中では、何組もの男女がまぐわっている。肉が、流れるように波打つ。絶えず水音が鳴り、身体はくねり、吐息と喘ぎ声が空間を満たしている。


 一様に、みんな楽しそうな顔をしている。


 相手も、自分と同じように、情けなくも快楽を感じている。それはどんなに安心することだろう。


 肌と肌がふれあい、きっとプールの底の人たちの体温は、みな一定で、身体が冷えている僕には、それが羨ましかった。


 射精し終え、静かに冴えた頭でふと気づく。


 どうして自分だけ、プールサイドにいるのか。

 僕は、みんなと一緒がいいのに。


 湯気の立ち上る血の池に入ろうと、僕は立ち上がる。一歩、足を進める。


 物音がした気がして、僕は、足をとめて、顔を向けた。


 更衣室につながる扉が、しまるのが、遠くに見えた。

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